アジア理解の経済学

第8章 市場を創る-市場経済化( 2 / 2 )

8.2 市場成立の条件

 中国では1980年代、90年代を通じて市場経済の基礎が出来上がり、2000年代から今までで安定した市場が形成されたと言ってよい。計画経済という特殊な環境の中から市場経済を創り上げていった。


 市場経済導入の基本的な前提は、自由な意思決定と所有権の交換である。


 自由な意思決定とは、経済活動を行う経済主体(一般に、企業や家計)が経済行動を自分で決定するというものだ。モノを購入するのかどうか、モノを販売するのかどうか、意思決定を行うのは政府ではなく、企業や家計が自由に行えることが重要である。


 計画経済時代は自由な意思決定ができなかった。配給切符制度では、何をどれだけ購入するかというのは家計は決めることができない。企業は何をどれだけ生産するかということさえも計画という縛りがあるので決めることができない。家計と企業は経済活動の意思決定を持つことはできなかった。経済活動のもっとも基本的な行動、売買を誰が決めるか、それは政府だったのである。


 改革開放の最初は、意思決定を企業と家計に戻すことであった。農民は人民公社から何を作付し、どれだけ農作業に従事するか決められていた。請負制を導入することにより、少なくとも、どれだけ生産するか、について、自由な意思決定を取り戻すことができた。計画以上のモノを生産すれば豊かになれる、この思いはたくさん生産しようという意思決定をもたらしたのである。


 企業も請負制により、意思決定を持つことが可能になった。計画経済時代は政府から決められた計画を実施するだけの「工場」であった。経営者は存在せず、計画を管理実施するだけの管理者、「工場長」が存在するだけであった。請負制の導入は「工場長」から経営者への転換をもたらした。何をどれだけ生産するか、少なくとも自分の工場が儲かるように売れるものを生産しようという意思決定を行うようになった。売れる商品であればたくさん生産しようという意思決定も行われた。売れないのであれば、生産を中止するという意思決定を行うことも可能であった。


 自由な意思決定が市場経済の重要な前提の一つだったのである。


 次に重要な前提は、所有権である。市場で取り引きが成り立つためには、所有権が存在しないといけない。とくに労働、資本(企業)、土地という生産要素(モノの生産に直接携わるもの)が自由に取り引きできることが必要だ。


 計画経済時代は、どこの職場で働くかは政府によって決められた。大学を卒業すると「分配」というシステムによって就職先が政府によって斡旋された。自分の労働力をどこで使うか、決めることはできなかった。


 農村でも状況は同じであった。生まれた育った農村にある人民公社に所属し、決められた時間労働をしなければならない。自分の労働を自由に売買する権利がなかったのである。


 改革開放以降、農民は都市に出稼ぎにでるようになった。自分の労働を地元の人民公社ではなく、都市の企業に売りたいという現象が発生したのである。また農村に下放されていた青年たちが都市に戻り始め、彼らは「分配」というシステムの恩恵を受けることがなかった。彼らを救ったのが、個人企業であった。自らが職を求め、小さな個人企業を労働者を探し、マッチングする労働市場が発生した。


 資本(企業)も国のものという曖昧な制度から民間の所有に転換していった。人は自分の資本(企業)であれば一生懸命働く。人のものであれば一生懸命さはない。企業が民間に売却され、民営化され、企業が取り引きされるようになった。同じく土地も売買可能なものとして取り引きされるようになったのである。


 市場経済が成立した中国とはいえ、これをよりよいものとするためにはまだまだ改革が必要である。人々が満足する市場経済、経済学が想定するような規範的な市場はなかなか存在しないのが現状である。規範的な市場とは、全員が納得しているような状態を実現する市場である(正確にはパレート最適が成立している市場)。


 例えば、近所のコンビニで売られているものが需要と供給で決まっているとはいえないし、コーラが安いからといって、車で20分の安売りスーパーに行くよりも近所のコンビニで定価で購入したりする。それにコンビニでものが売られているからたぶん安心なんだろうけど、新製品などは期待が裏切られたりすることは当たり前だ。となると経済学で想定するような市場にはなかなかお目にかかれないということになる。


 規範的な市場が成立するには3つの条件が必要である。市場には多数が参加すること、取引コストがかからないこと、そして情報が行き渡っていることである。


 まず、多数参加するということは市場取引の大きなポイントだ。売る側も買う側も多数存在すると、自分が買う量を増やしたり、売る量を減らしたりしても、価格に影響を与えることができない。こちらから価格に影響を与えることができないということは、逆に私たちは価格から影響を受けることになる。多数参加し、価格に影響を与えないということが、価格を参考に私たちは意思決定することとなる。


 ところが私たちの社会では、とくに売る側が少数というのはよくある。コーラを販売するのはペプシとコカ・コーラしかないし、コンビニでもセブン・イレブン、ローソン、ファミリーマートなど少数だ。販売する側が少数である場合、販売側が価格を決定できる。実際、私たちの社会では、「メーカー希望小売価格」という名前で、大部分が供給者によって決められている。


 二番目の取引コストがかからない、というのも市場取引がスムースにいく条件である。ところが、私たちが買い物に行くときには交通費やガソリン代などがかかるので、東京のスーパーと北海道のスーパーで価格を比べて安いところに買いに行こうとはならない。


 大気汚染は取引コストを考えていない結果である。工場が生産するときに汚れた煙を大気に排出するのは環境を汚すという取引コストが考えられていない。取引コストをきちんと考慮した市場がいい市場の条件なのである。


 最後に、情報が行き渡っているのは重要だ。情報がないと騙される結果になることが多い。北京空港について、タクシーに乗ったとして、ホテル(目的地)まで行くのにいくらかかるかわからない。そんな時、運転手は外国人に対して騙してしまうというインセンティブがわく。この意味で、取り引きをする人の間で情報がまんべんなく行き渡っていることが重要なのである。


<練習問題>


  1. 中国で市場を導入するポイントは何であったか。

  2. 市場が成立する3条件とは何か。

第9章 情報の非対称-食品は安全か( 1 / 2 )

9.1 「環境激素」

 2008年9月,中国国内で有害物質メラミンが混入した粉ミルクを飲んだ赤ちゃんが腎臓結石で亡くなるという事件が起きた。有害物質メラミンが混入していた粉ミルクメーカーは「三鹿」という乳製品生産の大手であった。同様の健康被害にあった乳幼児は5万人(別の説では30万人)を超え、死亡者は5人に上ったという。

 

 中国政府は、保健所で対象乳幼児を抱える家庭に連絡を取り、無料の超音波検査を行うとともに、北京では有名な児童病院で行列ができたという。また、政府はすぐさま他の大手メーカーの粉ミルクについても調査を行った。安全だと主張していた、蒙牛、伊利、光明といった大手メーカーの液体牛乳からもメラミンが微量ではあるが検出され、中国国内では国内メーカーの乳製品がスーパーの棚から消えた(渡邉2008)。


 メラミンとは、メラミン樹脂として食器などの色付けに使われるものであり、そもそもの毒性は低いという。しかし樹脂(プラスチック)を乳児が取り込むことによってどのような影響がでるか、詳細はわかっていないのが現状だ。それでもやはり樹脂成分のものを乳児が体内に取り込むのは問題であろう。


 メラニン混入粉ミルクの事件以降、中国国内では食の安全について、人々の意識が高くなってきた。粉ミルクがや牛乳などの乳製品がスーパーから消えて以降、人々は国内産ではなく外国産の粉ミルクを求めるようになった。幼い子をもつお母さんにとっては非常に重要な問題である。


 粉ミルクの安全性について、多くの中国人は未だに信用していないようだ。国内で外国産粉ミルクの調達が困難になってくると、人々は香港やマカオ、そして海外の親戚を通じて大量に購入するようになった。日本産の粉ミルクも同じアジアということで非常に人気であったが、2011年の福島原発事故以降は放射能疑惑(実際にヨウ素が検出された)のために、人気がなくなった。そのため、欧米産の粉ミルクに需要が集中するようになった。


 香港では、粉ミルクが入荷されるたびに、即座に売り切れるという現象が続いた。香港では粉ミルクの品不足、価格の高騰が普通の状態になり、香港の妊婦にとっても粉ミルクの購入は切実な問題となった。


 香港から深センへ抜けるイミグレーション(国境)では、混乱も見られた。いわゆる「運び屋」が香港に粉ミルクを買い出しに出かけ大陸に持ち込む姿が日常となった。その量の多さのために、通関手続きに支障がでるようになった。


 2013年3月1日から香港では粉ミルクの持ち出しに制限をかけることとなった。本来、自由貿易港である香港が貿易に制限をかけるのは非常に例外的だ。香港人の中国大陸に対する不満が香港政庁を動かしたかっこうだ。


 実は,制限がかけられたのは香港だけではない。各種報道によると,2012年6月には,アメリカのウォルマートなどのスーパーで粉ミルクの購入が5缶や12缶に制限されたし,同年9月ニュージーランドのスーパーでも「粉ミルクは1人2缶まで」という中国語の張り紙がなされたという。2013年1月のドイツのスーパーでは粉ミルクを1人4缶までと中国人消費者向けに制限したという。これらは,すべて中国国内の親戚や友人のために粉ミルクを大量購入する華人の行動を制限するためである。


 中国国内では,中国政府が安全宣言を出しても,国内産粉ミルクに対する見方は厳しい。


 それ以外にも,中国国内では食の安全に敏感になっている。大学の学生がネットでニュースになった食品の名前,メーカー,場所をデータベースにして公開した。「窓の外から投げ捨てろ!(http://www.zccw.info/,掷出窗外(中国語),Throw it out the window (英語))」と題された食品不安データベースは,中国食品の安全性に疑問を投げかけている。


第9章 情報の非対称-食品は安全か( 2 / 2 )

9.2 情報の非対称

 日本でも雪印乳業(今のメグミルク),三重県の名産・赤福,汚染米の混入など食の安全問題が話題になる。中国だけではなく,食の安全問題は日本を含めて世界的な関心事だ。


 食品の安全問題は,食品の供給業者と需要者(家計)との間で情報が非対称であるというところに問題がある。生産する側はどのように食品が作られているか知っているけども,購入する側はどのようにして作られているか,食品添加物は安全なのかどうかといった情報を持っていない。


 中国の粉ミルク事件をみてみると,構造的な問題がかいま見える。個別酪農家が生乳を搾乳ステーションにもっていく。搾乳ステーションで生乳を買付ける仲買人は,生乳の成分を調べるとともに,ある程度の基準がみたされないとメーカーにもっていくことができない。とくに生乳に含まれるタンパク質成分は重要な基準であったため,メラミンを混ぜることによって,タンパク質の基準を満たすようにしたのである。


 構造的に情報の非対称性が連鎖するところに食品の安全問題がある。


 ノーベル経済学賞受賞者,アカロフは,情報の非対称を中古車市場で説明し、情報が非対称であると、市場にはレモン(欠陥品)が出回ることを説明した。これをレモンの原理という。


 レモンの原理を中古車市場の例でみてみよう。


 中古車販売のディーラーは売る中古車がどのような状態か,わかっている。事故車であるとか,走行距離をごまかしているとかしていても売り手は自分が優位に立とうとするためにそのような情報を隠す。一方買い手も負けていない。中古車を買おうと思っている人は,売り手がレモンのような欠陥車を売りつける可能性について考えている。実際売り手にあれこれ質問することによってレモンであるかどうかを見極めようとしている。買い手は中古車の価格を低く見積もっているので,売り手が呈示した価格についてもまけてもらおうとする。つまり買い手は,中古車がレモンであった場合のことを考えて,売っている中古車を低めに評価しているのである。

 

 売り手は,中にはいい中古車もあるとしても,買い手が低く評価し値引きを要求していることがわかっている。売り手が思っている以上に買い手が値引きを要求した場合,売り手にとっていい中古車を販売することは利益が出ない可能性がある。そこで売り手は買い手の行動を考えるといい中古車は扱わないということが起きるのである。

これは買い手,売り手にとってどちらにも得がない。どちらも「相手を騙しているだろう」的な疑心暗鬼に陥っている場合には,市場にはいい物が出回らないということになる。良い中古車の取引は双方にとって有益であるにも関わらず,中古車市場ではいい中古車が出回らない,また取引自体が成立しないことになる。


 これは「悪貨が良貨を駆逐する」のと同じ状態で,市場には粗悪品しか出回らないことになってしまう。これを経済学では逆淘汰という。つまり売り手は買い手よりも売るモノの情報を持っている。したがって売り手はモノの質は最低なものを売って儲けようとする。いい製品が市場から逆に淘汰されてしまうということになってしまう。(淘汰は悪いモノがなくなることを意味するので,ここでは逆淘汰という。)


 中国では多くの人が自国の食品を不安視している。スーバーや百貨店では国産の粉ミルクの売れ行きが悪くなる。企業が努力していい製品にしようと思っても、消費者がそれを信用しないとなると、企業の品質改善のインセンティブが下がってしまう。となると中国市場では質の悪い製品だけが残ってしまうことになる。


 このレモンの原理を避けるために、一般には政府が以下のことを行う。


 一つは情報提供である。品質基準をもうけて、品質通りであるというラベルをはることだ。日本でもJASマークやJISマークが貼られるとともに、食品については賞味(消費)期限や原材料表示を示さなければならなくなっている。中国でも製品に対する品質表示が義務付けられるようになっている。


 もう一つは、検査体制である。ラベルが貼られたとしてもその表示が本当かどうかはわからない。やはり消費者にとって情報が非対称であるというのが問題だ。そこで、その表示が正しいかどうか、政府が抜き打ちで検査をする、そして表示が正しいかどうかをチェックすることが必要である。


 最後に、競争原理が働くようにすることである。つまりもし消費者にウソをついた企業は倒産するなど、市場で淘汰されなければならない。中国でよく問題になるのが、地元政府と企業の癒着である。企業は地元政府にとって雇用を生み出しているので、倒産させると社会不安を引き起こしかねない。そうなると何かしらの理由をつけて、質の悪い製品をつくる企業を期残らせてしまうことがある。市場で消費者から信頼を失うと大きな痛手を負うというペナルティがないと企業行動を律することはできない。



<練習問題>


  1. 中国の粉ミルク事件とは何か。

  2. レモンの原理とこの問題を解決する方法を述べよ。


第10章 外部経済-渋滞( 1 / 2 )

10.1 渋滞「高峰、堵塞」

 中国自動車市場は急速に拡大してきている。2009年の新車販売台数は1364万台となり、アメリカを超えて世界一となった。2008年の「汽車下郷」政策(農村で小型車購入に対し10%の補助)が2010年まで続き、中国自動車市場は2009年に46%成長、2010年に32%成長を達成した。ただし、2011年には政策も終了し、北京、上海などの大都市における新車登録制限により、成長は2.5%に鈍化した。それでも2012年の新車販売数は1900万台に達したので,中国での自動車の増加は急速であるといえる。


 急速に自家用車や商業車が増加すると、道路に対する需要が増加する(道路を使いたい人が増加する)。一方で道路の供給は都市化の進展とともに建設されているが、なかなか間に合わないのが現状だ。


 図は道路の需要(自動車保有台数)と供給(道路総延長)を図に示したものである。自動車保有台数の伸びが指数的に上昇しているが,道路建設は線形的な伸びにとどまっている。


 道路の供給が間に合わず,自動車を保有する人が道路を需要すると都市部では確実に渋滞するということになってしまう。渋滞を経済学的にいうと道路需要と供給のアンバランス(超過需要)ととらえる。


図1


(注)統計では,2004年から2005年に急激に道路の数字が増加している。急に建設量が増加したとも考えにくいので統計定義の変更によるものと推測している。

(出所)『中国統計年鑑(各年版)』より筆者作成。


 北京では、2012年4月から渋滞解消のためにナンバー別の走行規制を行なっている。これは、五環路より内側の北京市中心部において、平日朝7時から夜8時までの日中に走行できる車両をナンバーによって制限するというものだ。5ケタの自動車ナンバーのうち末尾の数字を参考に、走行できる曜日を指定して,道路需要を制限した。


例えば、4月9日から7月7日(2012年)は以下のようになっている。


走行規制を受ける曜日と、ナンバープレート末尾の数字の対応

 月曜日 3と8

 火曜日 4と9

 水曜日 5と0

 木曜日 1と6

 金曜日 2と7

 (仮ナンバーを含む。末尾がアルファベットのプレートについては0と同等に扱う。)


 例えば,ナンバー末尾が3の車を持つ人は、月曜日の午前7時から夜8時までの日中は走行できないということになる。


 この規制を有効的なものにするために、北京市は主要幹線道路、環状線に防犯カメラを設置するとともに、交通管理部門の車両による目視によって徹底的なチェックを行った。また都市部の主要道路、環状線の出入り口にも人員を配置するなど、規定違反の車両を厳しく取り締まりを行った。


 その成果もあって、ナンバープレートと曜日の対応が変更されると混乱は出るようだが、北京ではナンバー別走行規制が定着してきている。


 実際、私も北京に行き、友人が迎えに来るときに「今日は車運転できない日なんだ」という話を聞く。


 また中国では上海、北京、貴陽、広州の4都市が新車購入制限を行なっている(2013年1月現在)。


 『朝日新聞』2012年12月25日の報道を基本に新車購入制限の内容を簡単にまとめてみよう。


<上海:競売制>


 上海は1994年に乗用車の新規投入枠に競売制度を導入した。マイカーのナンバープレートに,価格下限を設けて非公開の競売制を開始した。落札した人は車両管理所でナンバープレートを落札価格で購入し,そして新車が持てることになる。


 競売制を導入することにより,上海の新車供給量は毎月1万台未満に抑えることが可能となった。しかしナンバープレートの落札価格は上昇し,2012年には6万4000元(約80万円)ほどになるまで上昇したために、上海市以外の周辺省(江蘇省や浙江省)で新車を登録する現象も発生している。


<北京:抽選>


 北京では2010年に「北京市乗用車数量コントロール暫定規定」を発表し,小型乗用車に対する数量規制と割当管理制度を導入した。政府機関には数量枠を与え,枠を使い切ると公用車の新規購入枠が与えられない。また2011年と2012年の小型乗用車の供給枠は各24万台に定められた。


 個人が小型乗用車を購入する場合は、北京市小客車コントロールシステムにアクセスして申請し、公安、社会保障、交通などの数部門の審査を経て、抽選に参加することができる。当選して初めて、市内で自動車を新規に購入できる資格を持つことができるのである。これにより北京は新車の保有台数を抑えることに成功した。


<貴陽:走行規制>


 2011年に貴陽はナンバープレートに関する暫定ルールを発表した。貴陽に新たに投入される乗用車には特殊なナンバープレートと一般のナンバープレートの二種類が用意されている。特殊なナンバープレートの場合登録制限があり,貴陽市交通警察部門へ申請し,抽選方式で無償分配される。この特殊ナンバープレートがもらえた場合,どこでも走行可能だ。一般のナンバープレートは登録制限はないが,貴陽市の第一環状線とそれ以内の道路の走行が禁止される。


<広州:割当管理>


 2012年に広州は「広州市の中小乗用車総量コントロール管理試行通告」を発表した。2012年7月からの1年間の試行期間内に広州の中小乗用車の新規供給枠は12万台に設定される。最初の1ヶ月間は中小乗用車の登録及び移転登録を見合わせ,その後月別に新規供給枠を均一に分配する。2011年の広州の新車ナンバープレート発給件数は33万台,うち中小乗用車は24万台を占めた。つまり総量が半分に規制されることとなった。


岡本信広
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