空乃彼方詩集

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ホントに美しいのは

ホントに美しいのは、何かを成し遂げた人ではなく
何かを成し遂げようと心に決めた人

ホントに美しいのは、立ち上がることが出来た国ではなく
立ち上がろうとしている国

ホントに美しいのは、青くも切れ長でもない、決意を固めた目

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バラバララ

楽園で日本人が3人殺された

それでも楽園は今日も日本人で賑わっている



遠く離れた日本ではバレンタインで一喜一憂する若者たち

アベノミクスに踊らされ、スマホに釘付けの大人たち



北朝鮮は核実験

日中は一触即発

暴走老人は自己陶酔

バラバラバララ バラバララ



そして僕は睨みつけるように今月の電気料金を確認したのだ

楽園で日本人が3人殺されたというのに

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平和の文字が消えた時

平和がなくなれば戦争もなくなる
平和主義者が声高に叫べば戦争は流行る
戦争が激しくなればなるほど、人々は平和を渇望する


平和と戦争は真実の海底で絡まりあっているんだ
平和がある限り、戦争はなくならない
平和という文字が消えた時、戦争は滅びる


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暴力教師

その教師はこぶしを握り締め
ほかの部の生徒の顔面を殴る
何秒か間をおいてまた殴る
何発も、何発も
殴られている生徒は逃げようともせず、それを受けている

暴力教師は僕らの顧問
東大出の、銀縁めがねのインテリ暴力教師
僕らはドアを開ければ屋上の床に腰を下ろし
「ああいう奴がいるから駄目なんだ」と愚痴るしかない

いくらか時が経ち
僕は暴力教師と体育館を出たところで話をしていた
内容は覚えていない
その時、はるか頭上を何台もの自衛隊機が通過した
暴力教師は青い空に浮かぶ、それらを眺めながら
「いいよな、君らは。これから航空機のパイロットにだってなれるんだから」と言った。

僕は生返事を返していたに違いない
目を細めている暴力教師の顔を、ポカンと眺めていたに違いない
kumabe
作家:空乃彼方
空乃彼方詩集
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