な行( 4 / 11 )
何もかも解からなくなってしまった
僕は大の字にうつぶせになり、地球を抱いてみた
鼓動は僕か、地球の鼓動か
このまま、土に帰ろうか
地球よ、世界よ、俺は何でこんな心の形で存在してしまったんだ
時々、冒険して死の恐怖を存分に味わい、鼓動が速くなり、苦しい。
死にたくないと願う
そこから逃れ、しばらくして、ぼやぼやと浮かび上がるのは
遅かれ早かれ死ねるという安堵
解らない
生きたいのか死にたいのかそれさえ
もう、何もかも解らない
な行( 6 / 11 )
眠り海
君の最後の言葉は何だったかな
あまりに突然の別れだったから
何気なく聞き流した言葉を探そうとする
無駄な試みと分かっていても
日々の生活や努力を積み重ねても
巨大な力を前にしては
なす術もなく
太陽の邪魔をする雲はない
美しく孤独な青い空
海が穏やかに輝く
眠りにつき、小さな寝息を立てているよう
楽しくて笑顔が絶えない人生も
苦しくて心を支えきれない人生も
等しく意味がある
長く生き延びた命も
幼く散った命も
等しく価値がある
君に会いに行くよ
いつか会いに行くよ
何処にいるかは知っているから
あのちっぽけな物語の続きをしよう
な行( 7 / 11 )
何と例えればいいのだろう
その美しさを何と例えればいいのだろう
ふさわしい言葉を見つけるのが難しい
遠い昔、小学校の苦手科目の宿題のよう
それでも間違い覚悟でひねり出す
霞の空の向こうにぼんやりと透ける真実
その強さを何と例えればいいのだろう
ふさわしい言葉を見つけるのが難しい
遠い昔、迷子になった時の五差路のよう
それでも間違い覚悟でひねり出す
容易に開けられても決して動かすことはできない巨大な冷蔵庫
その哀しさを何と例えればいいのだろう
ふさわしい言葉を見つけるのが難しい
遠い昔、夏祭りですくい上げた金魚の飼育のよう
それでも間違い覚悟でひねり出す
訳も分からず檻に入れられた人たちの媚びた笑顔