右手がバカになっちまった。
「精神的なものだと思います」
医者に、そう言われた。
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俺は、まだ、捉われている。
「(冗談じゃねえ!!!)」
右手を電柱に、何度も、何度も、叩き付けた。
皮膚が裂け、骨が剥き出しになった。
また、医者に、そう言われた。
薬が処方された。
感情を平坦にしながら、夜の街を何時間も歩いた。少し前まで、俺が働いていた場所で、次の奴隷が働いている。
今度の奴隷は、俺よりも年上のおっさんのようだ。
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