こうするしかなかった。
初めて、救急車に乗った。まだ歩けるのに、俺は倒れた。
「大丈夫ですか?」
やさしい人の手で揺すられながら、俺は、意識を失った振りをした。
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7月の太陽に照らされたアスファルトは、刺さるように熱く、身体が、ゆっくりと焼けていく感覚が全身に広がっていった。
このまま眠ってしまいたい。
これといった学歴も、これといった職歴も無かった俺は、
比べることで、次々と、敵を作り出し、
逆転を狙った。
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