誰しもが演じているんだ生きている限り、演じると決まっているそれは心臓が動いているのと同じこと呼吸するのと同じこと
生まれた時に泣いて始まり死をもって完結する役柄はひとつだけ自分ひとりだけ「こんな役、つまらないから変えてくれ」とどれだけ切実に訴えても
「代役はいない」と運命に険しく突き返される
嬉しければ、嬉しさを演じ悲しければ、悲しみを演じ楽しければ、楽しさを演じ苦しければ、苦しみを演じ情熱、僥倖、滑稽、悲哀、苦悩、虚無それらを幾度となく、繰り返し演じ切りやがて訪れる死のみが、役から開放してくれる
舞台の幕が下りた時、温かな拍手は聴こえるのだろうか?「よく難しい役をこなしたね」と褒めてくれる人はいるのだろうか?涙を流してくれる人はいるのだろうか?