江戸川日記

僕は見送っている( 8 / 11 )

小屋から出ようとした僕は、壁に貼られた1枚の絵と写真を見つけた。

「お父さんありがとう」

と書かれた絵。家族3人で撮った写真・・・。

僕は見送っている( 9 / 11 )

あと少しで、彼の肉体は消滅する。

僕は見送っている( 10 / 11 )

春が終わり、桜が散り、青い葉が芽生え、繁り、散っていく。そしてまた春が来て、花が咲き、散っていく。その繰り返しの中で、当たり前のように幹は太くなり、枝は伸びていく。それが生きること。けれど大半の人は、そこまで到達出来ないまま通り過ぎていく。

僕は見送っている( 11 / 11 )

年老いた時、死を感じた時、弱くなった時、人は立ち止まり、桜の木に手を伸ばし、見上げる。そして感じる。風を、空気を、土を、水を、太陽を、月を、星を。儚く、憐れで、小さな自分の命を知った時、命は全てと繋がり、命は無常という永遠に返る。

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江戸川日記
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