江戸川日記

僕は見送っている( 10 / 11 )

春が終わり、桜が散り、青い葉が芽生え、繁り、散っていく。そしてまた春が来て、花が咲き、散っていく。その繰り返しの中で、当たり前のように幹は太くなり、枝は伸びていく。それが生きること。けれど大半の人は、そこまで到達出来ないまま通り過ぎていく。

僕は見送っている( 11 / 11 )

年老いた時、死を感じた時、弱くなった時、人は立ち止まり、桜の木に手を伸ばし、見上げる。そして感じる。風を、空気を、土を、水を、太陽を、月を、星を。儚く、憐れで、小さな自分の命を知った時、命は全てと繋がり、命は無常という永遠に返る。

僕は想像している( 1 / 14 )

「最近は、野球をやる子供たちが少なくなったよな。俺が子供の頃は河川敷で毎日のように野球をやったもんだよ」

コロ、コロ、コロ。

そんな話をしていた源さんと僕のところへボールが転がって来た。

僕は想像している( 2 / 14 )

「おっ!話をすれば何とやらだな、よっしゃ一丁俺の強肩を見せて・・・」

ワン!ワン!

そこへ1匹の犬が。

「おっっっ、なんだこのヤロー、あっち行け!こら!」

ワン!ワン!

「うるせ~!バカヤロー!」

ワン!ワン!ワン!

「ハチ、お座り!ハチ!」

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