川田は、中2のキャンプの授業の次の日から、学校へ来なくなった。
『ボクねぇ~、この間、お腹が減って、減って、死にそうになったから、家で飼っていたハムスターを焼いて食べちゃったんだ』
この話が広がると、川田は姿を消した。
それから、20年。俺の中に、川田は存在していなかった。
「久しぶりだな、いま何やってんの?」
「いま、ボクは、あそこで暮らしてるんだ」
川田は、某国発祥のキリスト教系の宗教施設で暮らしていた。
「・・・・・そう」
「うん、ボクは、20年前から、ずっと、あそこで生活してるんだ」
川田が、入信した宗教は、霊感商法や、女性信者たちへの性的暴行で、有名になったカルト宗教だ。
川田は、これまでの色々な出来事について、話続けた。
「(誰が決めるんだ?ペット用とか、食用とか・・・ハムスターと、あの日、俺たちが食べた、牛や、豚たちとの違いは何なんだ?)」