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少しだけ、わかったような気がしたが、正直、いまの俺には、よくわからない。
ぶらぶらと歩いていたら、いつの間にか、海に来ていた。いい景色だな、と思ったが、よく見ると、海岸がゴミだらけになっている。
「小川くん・・・・・」
「あ?」
「久しぶり、ボクのこと覚えてる?」
「・・・・・あっ、川田(こいつ、川田だ)」
川田は、中2のキャンプの授業の次の日から、学校へ来なくなった。
『ボクねぇ~、この間、お腹が減って、減って、死にそうになったから、家で飼っていたハムスターを焼いて食べちゃったんだ』
この話が広がると、川田は姿を消した。
それから、20年。俺の中に、川田は存在していなかった。
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