僕は泣いている( 9 / 10 )
「その死に様があまりにも凄かったから、街の悪ガキたちの間で伝説になっちゃって、みんなで桜の木の下に石屋から石を盗んできて、「大治の桜」っていう石碑を作ってさ、いまは大洪水の時に流れちゃったけど、一時は、千葉や埼玉からも見物客が来るくらいに有名になってたんだよ。ほら、あそこに枝が折れている桜があるだろう?あれがそうだよ。今じゃ知ってるのは、俺と桜の木くらいしかいないけどな・・・」
僕は泣いている( 10 / 10 )
その日、桜を見て泣いている僕に、声を掛けてくれたのが源さんだった。僕は、源さんたちの仲間たちと朝が来るまで飲み明かした。
僕は目を覚ました( 1 / 6 )
泥酔した僕は眠ってしまっていた。心地いい陽射しで目が覚めた時、周りには誰もいなかった。一瞬「昨日の出来事は夢だったのか?」と思った僕の目の前に、大量の空き缶が入った袋を持った源さんたちが現れた。
僕は目を覚ました( 2 / 6 )
「今日の仕事はこれで終わりだ。普段は、街中を走り回らないと駄目だけど、桜の季節は、わざわざ空き缶を持って来てくれる人たちがたくさんいるからな、桜さまさまだよ」
その後、僕は、源さんたちとまた飲んだ。途中、普段なら僕が乗っているはずの電車が通過したはずだが、そんなことはどうでもよかった。