「兄ちゃん、ちょっと蕎麦屋寄っていいかな?」
「えっ・・・大丈夫なんですか?」
「大丈夫かどうかはわからねぇけど、最後に行っときたくてな、いいだろう?」
「はい・・・」
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源さんが立ち寄った蕎麦屋は小さな店だったが、中に入ると客で一杯だった。
「この蕎麦屋が満員だってことは、まだまだ日本人も大丈夫だな。こんなボロボロの身体の俺が言うのもなんだけどな。ここの店は江戸時代から続いててさ、ザルが天下一品なんだよ。おお来た来た。いいか兄ちゃん、本物の蕎麦ってもんは、最初の一口は、つゆに付けねえで食うんだよ。ほら食べてみな」
蕎麦の香り、こし、インスタントか、立ち喰いの蕎麦しか食べたことがない僕でも、その違いははっきりとわかった。
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