次元解析を使った方法です。
数学者からみると、まさに邪道ともいえる代物です。
Xの次元[X]を長さLとします。
aX2+bX+cの次元を体積L3 とします.
[a][X]2+[b][X]+[c]=L3
[a]L2+[b]L+[c]=L3
よって、
[a]=L [b]=L2 [c]=L3
[X]=Lを求めるには、係数a、b、cからLの次元をもつ、
b/a、 c/b、 (√(b2+K・ac))/a などが候補です。
Kは無次元の定数です([K]=φ)。
aはゼロでないとしているので、aで割る分にはOK。
c/bは、b=0のとき使えないのでボツ。cで割る場合も同じことです。
a・bやcの三乗根なんてものもありますが、この際ほっときましょ。
定係数K1、K2、K3を使って、
α=K1・b/a+K2・(√(b2+K3・ac))/a
β=K1・b/a-K2・(√(b2+K3・ac))/a
とおきます。
ここで、根と係数の関係式から、
α+β=2・K1・b/a =-b/a ∴ K1=-1/2
α・β=(K1・b/a)2-(K2/a)2(b2+K3・ac)=c/a
(K1・b/a)2-(K2・b/a)2 -(K2)2K3・c/a で
bの項は無用なので、
K1=K2
-(K2)2 K3=1から
K3=-(K2)-2=-4
例
3X2+X-2=0
X=K1/3±K2・(√(1-6・K3))/3 とおきます。
α+β=-1/3 から 2K1=-1 K1=-1/2
α・β=-2/3から
K1=K2 と
(K2)2・6・K3/9=-2/3
K3=-((2/3)・9/6)・4=-4
∴ X=-1/6±(√(1-6・(-4))/6
=-1/6±5/6
=-1 または +2/3
実は、3が1と3の積で、-2が、1と-2の積なので、
(3X-2)(X+1)=0に因数分解できます。
何十年も経って、定係数K1、K2、K3をうろ覚えの方にはいいかも知れませんが、
こんな面倒な計算やってられるか!、という方には、根の公式を再び丸暗記する方法をお勧めいたします。
無理やり因数分解を推し進める方法です。
a(X+B)2-C=0の形に変形します。
C≧0の場合、C=(√C)2
(√a・(X+B)+√C)(√a・(X+B)-√C)=0
∴ X=-B±√(C/a)
C<0の場合、C=(i√|C|)2
(√a・(X+B)+i√|C|)(√a・(X+B)-i√|C|)=0
∴ X=-B±i√(|C|/a)
例
X2+2X+2=0
(X+1)2+1=0
(X+1)2-i2=0
(X+1+i)(X+1-i)=0
X=-1±i
この方法は正道であり、根の公式を求める場合にも通用します。
但し、公式など無用というワケにはいきません(制限時間がありますので)。
もっとカンタンな方法があるかも知れませんが、
カンタンなものほど人は忘れてしまうものです。
グラスマン数θを使う方法で、
θのn(≧2)乗はゼロという、ちょっと得たいの知れぬ数です。
Y(X)=aX2+bX+c=0 (a≠0)
Y(X+θ)=a(X+θ)2+b(X+θ)+c
=aX2+bX+c+(2aX+b)θ
=(2aX+b)θ
Y(X+θ)=Y(X)=0とし、θずらしてもYが変化しないX値から極値が求まります。
2aX+b=0 より X=-b/(2a)なので、
あとは2次方程式の解(その2)のやり方を踏襲します。
例
6X2+3X-1=0
6(X+θ)2+3(X+θ)-1
=(6・2X+3)θ=0
ゆえに X=-1/4 (∵ θ≠0)
左辺に代入して
6/16-3/4-1=-11/8
符号を反転し、6で割って平方根を計算すると、
√(11/8/6)=(1/4)√(11/3)
根: -1/4 ±(√33)/12
Cf)
グラスマン数θ1,θ2は、
{θ1,θ2}=θ1θ2+θ2θ1=0 :反交換関係
を満たすので、
θ1=θ2=θとおくと、2・θ2=0より、θ2=0となります。
aX2+bX+c=0 (a≠0) をaで除算して
X2+(b/a)X+(c/a)=0
A=b/a B=c/aとおいて
X2+AX+B=0
X=rexp(iθ)を代入
r2exp(i2θ)+Arexp(iθ)+B=0
exp(iθ)=cosθ+isinθより、
実数部: r2cos2θ+Arcosθ+B=0 (1)式
虚数部: r2sin2θ+Arsinθ=0 (2)式
sin2θ=2sin θcosθ
cos2θ=2(cosθ)2-1 を使う
(2)式から 2r2sin θcosθ=-Arsinθ
rcosθ=-A/2 (r≠0 sinθ≠0)
(1)式から
r2(2(cosθ)2-1)+B=-Arcosθ=A2/2
2(rcosθ)2-r2 +B=A2/2
2(-A/2)2-r2 +B=A2/2
r2 =B
rsinθ=±√(r2-(rcosθ)2)=±√(B-A2/4)
よって
X=rexp(iθ)
=rcosθ+irsinθ
=-A/2±i√(B-A2/4)
=-b/2a±i√(c/a-(b/a)2/4)
=-b/2a±i(√(4ac-b2))/2|a|
三角関数の公式を記憶の片隅から引っ張りだしてみてください。
例
X2+X+1=0
実数部: r2cos2θ+rcosθ+1=0
虚数部: (2rcosθ+1)rsinθ=0
rcosθ=-1/2
rsinθ=±√(1-(-1/2)2)=±(√3)/2
X=rcosθ+irsinθ=-1/2±i(√3)/2