グラスマン数θを使う方法で、
θのn(≧2)乗はゼロという、ちょっと得たいの知れぬ数です。
Y(X)=aX2+bX+c=0 (a≠0)
Y(X+θ)=a(X+θ)2+b(X+θ)+c
=aX2+bX+c+(2aX+b)θ
=(2aX+b)θ
Y(X+θ)=Y(X)=0とし、θずらしてもYが変化しないX値から極値が求まります。
2aX+b=0 より X=-b/(2a)なので、
あとは2次方程式の解(その2)のやり方を踏襲します。
例
6X2+3X-1=0
6(X+θ)2+3(X+θ)-1
=(6・2X+3)θ=0
ゆえに X=-1/4 (∵ θ≠0)
左辺に代入して
6/16-3/4-1=-11/8
符号を反転し、6で割って平方根を計算すると、
√(11/8/6)=(1/4)√(11/3)
根: -1/4 ±(√33)/12
Cf)
グラスマン数θ1,θ2は、
{θ1,θ2}=θ1θ2+θ2θ1=0 :反交換関係
を満たすので、
θ1=θ2=θとおくと、2・θ2=0より、θ2=0となります。
aX2+bX+c=0 (a≠0) をaで除算して
X2+(b/a)X+(c/a)=0
A=b/a B=c/aとおいて
X2+AX+B=0
X=rexp(iθ)を代入
r2exp(i2θ)+Arexp(iθ)+B=0
exp(iθ)=cosθ+isinθより、
実数部: r2cos2θ+Arcosθ+B=0 (1)式
虚数部: r2sin2θ+Arsinθ=0 (2)式
sin2θ=2sin θcosθ
cos2θ=2(cosθ)2-1 を使う
(2)式から 2r2sin θcosθ=-Arsinθ
rcosθ=-A/2 (r≠0 sinθ≠0)
(1)式から
r2(2(cosθ)2-1)+B=-Arcosθ=A2/2
2(rcosθ)2-r2 +B=A2/2
2(-A/2)2-r2 +B=A2/2
r2 =B
rsinθ=±√(r2-(rcosθ)2)=±√(B-A2/4)
よって
X=rexp(iθ)
=rcosθ+irsinθ
=-A/2±i√(B-A2/4)
=-b/2a±i√(c/a-(b/a)2/4)
=-b/2a±i(√(4ac-b2))/2|a|
三角関数の公式を記憶の片隅から引っ張りだしてみてください。
例
X2+X+1=0
実数部: r2cos2θ+rcosθ+1=0
虚数部: (2rcosθ+1)rsinθ=0
rcosθ=-1/2
rsinθ=±√(1-(-1/2)2)=±(√3)/2
X=rcosθ+irsinθ=-1/2±i(√3)/2
[x=-(√(17)+3)/2,x=(√(17)-3)/2]
CF) T:数学教師
S:生徒
T:「君がもしも電気のない無人島に流されたとしたら、この方法は通用しない。」
S:「はぁ。」
T:「私は、紙と鉛筆だけで計算できる方法を教えているわけだ。」
S:「でも、無人島には紙も鉛筆もないでしょ。」
T:「砂と君の指があれば十分だよ。」
S:「そんな生活をしていて、2次方程式を解かねばならない事態に遭遇するとは思えませんが。」
T:「そうくると思っていたよ。」
S:「・・・。」
T:「そのときには、先生のことを思い出して懐かしんでくれると嬉しいんだが。」
理想形を追求する方法を説明しましょう。
まず、
(x+y)^2=x^2+2・x・y+y^2
を思い出します。
右辺の係数比は、1:2:1できれいな数値です。
a・x^2+b・x+c=0
の左辺の係数比はa:b:cですが、
これを1:2:1にしてみせようではないか(なーんちゃって)。
x=y/zとおいて、
a・(y/z)^2+b・(y/z)+c=0
a・y^2+b・z・y+c・z^2=0
係数比a:b・z=1:2とするには、z=(2a)/bとします。
a・y^2+2・a・y+c・z^2=0
a・(y^2+2・y+1)=a-c・z^2
a・(y+1)^2 =a-c・((2・a)/b)^2=0
(y+1)^2 =1-(4a・c)/b^2
左辺を理想形に変形してキレイにすると、
右辺にはお世辞にもキレイとはいえないものが出てきます。
y+1=±(√(b^2-4a・c))/|b|
y=-1±(√(b^2-4a・c))/|b|
∴ x=y/z=(b/(2a))(-1±(√(b^2-4a・c))/|b|)
例1)
2x^2+4x+1=0
これは、2:4=1:2が明らかですので、
両辺に1を加えます。
2x^2+4x+2=1
2(x+1)^2=1
(x+1)^2=1/2
x+1=±1/√2
∴ x=-1±√2/2
例2)
5x^2+4x+2=0
左辺の1次項の係数と定数の比に4:2=2:1がみえます。
x=y/zとおいて
5(y/z)^2+4(y/z)+2=0
5y^2+4(y・z)+2z^2=0
2z^2+4(y・z)+5y^2=0
y=1とおけば、2:4y=1:2になります。
2(z^2+2z+1)=2-5y^2=-3
2(z+1)^2=-3
z+1=±(√(3/2))i :iは虚数単位
z=-1±(√(3/2))i
∴x=y/z=1/z
これで終わりにできないのが、この方法の欠点ですが、致命的ではありません。
ここで思い出してほしいのは、zの複素共役z*
1/z=z*/(zz*)
分母zz*
はzの絶対値の2乗で、実数部(-1)の2乗と虚数部(√(3/2))の2乗の和です。
=1+3/2=5/2
よって
x=(2/5)(-1±(√(3/2))i)
=(-2±(√6)i)/5
以上、1:2:1を勝手に理想的な比とデッチアゲテ計算しましたが、
諸君の好きな比でやってみてください(といっても、そんな暇人はいねーだろー)。
121=11^2
144=12^2
169=13^2 etc.