チッチとミーコ

チッチとミーコ( 4 / 29 )

ああ、寒い

街がどこかに流れて行く
街がどこかに流れて行く
お前の夢の場所はここじゃない
お前の行き着く先はここじゃない
そうつぶやきながら
街がどこかに流れて行く

街がこんなにちんけだから
街がこんなにちんけだから
癒やしてくれる猫さえも
いなくなったじゃないか
おかげで人も減ったじゃないか
街がこんなにちんけだから

華やかな彩りのネオンは
見た目だけのイルミネーションに変わり
温かさのなくなった街を映し出す
夢も見られなくなった街を映し出す。
青と白だけの無機質な
寂しい街を映し出す

街はきっと凍えているんだ
街はきっと凍えているんだ
あの時の夢はいつか終わったんだ
だから今は現実の生活に思いを馳せるんだ
気がつかないうちに気温が少し下がったんだ
だから街が凍えているんだ

チッチとミーコ( 5 / 29 )

お猫のブルース

猫にとって人間というのは
迷惑極まりない存在なのである。
だから空腹時以外の飼い猫は
人間に近寄っていかないし
いついかなる時も野良猫は
人間には近寄っていかない。

いったん人間に捕まると面倒だ。
のどをなでるし、鼻を押すし
肉球を触るし、腹をさするし
尻尾をつかむし、フラッシュたくし、
すぐに抱き抱えようとするし
好き勝手な名前で呼ぶし・・

猫が必要としているのは
誰にも邪魔されずに
ゆっくり寝られる時間だ。
猫が必要としているのは
誰にも干渉されずに
のんびり出来る空間だ。

だからオモチャ扱いにして
時間や空間を邪魔してくる
人間の子供を嫌うのだ。
だからいつもジッとしていて
時間や空間に干渉してこない
年寄りのそばが好きなのだ。

猫にとって人間というのは
実に鬱陶しい存在なのである。
だから空腹時以外の飼い猫は
人間に近寄っていかないし
いついかなる時も野良猫は
人間には近寄っていかない。

チッチとミーコ( 6 / 29 )

コーヒーのカンカン

駐車場の白い線の上に
コーヒーの缶が置いてある。
誰が置いたのかは知らないが
ご丁寧に真っ直ぐに立ててある。
思うに、缶を投げ捨てないあなたは
缶を投げ捨てない程のいい人なんだ。
そんなにいい人なんだから
そこを歩く猫がつまずかないためにも
もう一歩だけいい人になって
ゴミ捨てに捨ててきて下さいな。

チッチとミーコ( 7 / 29 )

イメージ

うちの駐車場に数匹のネコがいる。
ペット禁止のマンションなので
もちろん彼らはノラである。
誰も餌を与えてないはずなのに
彼らは一様に人懐っこい。
そこに住んでいる常連さんはもちろん
営業でやって来る一見さんを見ても
逃げようとはしない。
きっと何かを期待して
愛想を振りまいているのだろう。

さてそんな数匹のネコは
肥ったヤツや痩せたヤツ
中肉中背まで揃っている。
同じ食生活をしているはずなのに
この差は一体何なのだろう。
もしかしたら肥ったヤツは
引き寄せの法則だとか
宇宙にお願いだとかを知っていて
餌をたんまり食べている自分を
イメージしているのかもしれないな。
樹田真太
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