海沿いを走っていたバスは加賀名バス停から山間部に向けてハンドルを切った。
西岬小学校前バス停で、またも大勢の小学生が乗車してくる。
この路線バスはスクールバスの役割も兼ねている様子。
こうした実情は時刻表の無機質な数字からは、なかなか見えてこない。
時刻表によると、このバスは途中の伊戸止まり。
しかし、なぜか伊戸に到着してもストップすることはなく、その先へと進む。
時刻表が適当なのか、運行がいい加減なのか。
いずれにせよ伊戸から洲崎神社まで歩行での行軍を覚悟していた身には嬉しい誤算だった。
15時ごろ、館山駅から40分ほどで洲の崎神社前バス停に到着した。
バス停には子どもを迎えにきたお母さんたちで賑わっている。
客の中で洲崎神社を参拝に来たのは自分一人のみ、あとはすべて帰宅児童だった。
停留所の時刻表を見ると、バスの便は2時間に1本程度。
ここへ路線バスで来るのは余程の酔狂者ということだろう。
バスに揺られてきた県道257号線は通称「房総フラワーライン」という。
菜の花やポピー、マリーゴールドなど、沿道には四季を通じて季節の花々が咲き誇る。
さすがに今は真冬だけに花の姿は見かけないが、沿道の草木は青々としている。
それだけ温暖な気候が植物の育成に適しているのだろう。