「うたがってるって・・・そんな、うたがいたくはないけどさ・・・。
あたし、何のとりえもないし料理だって出来ないし、足も遅いし・・・。
いつも周りから人気のあるリュウがあたしだけのものじゃないっていつも感じていた。
信じられないくらい幸せだった。
でも、あの日、リュウが他の知らない女の子といるところをみて、
なんか、やっぱりなっていうか、仕方がないのかもって、諦めがつくっていうか・・・」
だんだん自分が情けなくて、あたしは必至で涙をこらえた。リュウをうたがっているわけじゃない。
あたしが、あたしの魅力がたりないのがくやしいんだ。
もっとかわいくて、もっと頭が良くて、もっと人気のあるもてもてな女の子だったら
きっとこんなばかみたいな嫉妬もしないんだろうな。
くやしくて泣きそうになった。
リュウの背中が動いたかと思うと、リュウの顔があたしの真正面に向いていた。
「正直に言うけどさ、あの日、その友達に告白はされたよ。
けどな、断った。
だって、これにはおまえがいるじゃん。
俺のこと、こんなに好きになってくれるのもおまえだけだろ?」