彼の背中

「リュウ・・・!!」

あたしは、リュウのその言葉が本当に嬉しくて、ついこらえきれなくてなみだをこぼした。

「ほらあ、ずっと思ってることを口にしないで、どんどん悪い方向に考えるのはお前の悪い癖だって、

前から言ってるじゃん」

そのなみだをリュウが制服で優しくふいてくれる。

「ありがとう」

あたしは素直に、リュウに感謝の気持ちを伝えた。

これからは、ちゃんと、気になったことは逃げないで口に出そう。

もっと自分に自信を持とう。

このあたしと一緒にいてくれるリュウと言う存在をもっと信じようって心から思った。
「よし、じゃあ、一緒に帰るかあ!」

リュウはあたしの手をとり歩き始めた。

「そういえば、明日提出の数学の宿題、おまえ一人で出来るのか?」

あたしはずっと気になっていたことを言われギクッとした。

「いや~その、あの、リュウ様のお手を借りないと・・・」

あたしはおどけながらリュウの手を強く握りしめた。

「よーし、じゃ、いつもの図書館によってくか!一緒にやっちゃお」

リュウが力強くそう言った。

「うん!!」

あたしは、これからもずっとずっと、リュウとこうしていきたいと確かに感じていた。

(完)




荒久 連
作家:荒久 連
彼の背中
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