堕ちこぼれウィズと魔法の成績表

アリシアには教えない( 3 / 4 )

章のタイトル嘘じゃん!

 「えっ、いや、あの、その、だから、それで、なので、なのさ。」

 「何がなのさ、なのよ!」とご立腹のアリシア。

 「私が右眼に片メガネをかけていても全てが読めるわけじゃないのよ。なのさでは解らないわ。ほんとに私にも話せない秘密なわけ?」

 「う~ん、ほんとにエムレスト山の重さくらいの超重量級の秘密みたいなんだよね。」

 「それなら尚更聞き出さなきゃね。」なんてウインクしてくるんだけど、千里眼と読心術の他に魅了の技まで会得したのかな?なんて思っちゃった。

 まあ、アリシアは信頼できる人だし大丈夫だからと思い、アビゲイル社長?との秘密の会話を話すことにしたんだけど、ココに聞かれたくないからその事を考えると、アリシアはココをここから追い出してくれた。ココは「え~っ」って言っていたけどね。隣町の畑からイチゴを摘んでくるようにって頼んで。

 そしてアビゲイル先生の申し出を受けた経緯をアリシアに話し出した。


アリシアには教えない( 4 / 4 )

アリシアって扱いやすい!

「とまあ、こんな感じで明日から補習に行く事になってるんだけどね。」

 「私も混ぜて!」

 「ええーっ、ダメだよ。」

 「どうしてダメなのよ、あっ!解った。ホーリーとの事でしょ?二人っきりになれるチャンスがって訳ね。残念でした。それこそ私の一番望んでいないっ!じゃなかった。何言ってるんだろう私。そうねせっかくのチャンスだったみたいだけど、お生憎様。私も明日からついて行きますからね。べーっ。」と顔の色をあれこれ忙しく変えているアリシア。

 「アリシア大丈夫?突然顔が唐辛子みたいに真っ赤になったりしたけど?その時、眼も蚊を追いかけているみたいに泳いでいたけど?」なんて僕も少し反撃してやった。するとアリシアの顔は更に完熟のトマト以上に赤くなっていったんだけどね。ありがとう、アリシア。伝わっているよね。まだ右眼に片メガネしているからね。

 「じゃ、明日迎えに来るからね。アリシアまたね。」と言ってアリシアの部屋を後にしたんだけど、いつもなら「私が迎えに行かないと太陽が沈むまで眠っているでしょ!」とか何とか言ってくるんだけどね。

 ちょっと刺激が強かったかな?ありがとうって言った後に、アリシアにお礼のキスをするイメージを思い浮かべたからさ。ちょっとやり過ぎたかな。てへへ。


親のお仕事!( 1 / 3 )

まずは僕のお仕事!

 そんな思いを抱きながらお隣の自宅に帰りついたんだ。

 その時の心境は気分が複雑骨折したような、それでいて浮かれているような矛盾した変な感じかな?なにせ、成績は悪かったでしょ?叱られるのは数百年前の写真集にも載っている事実でしょうしね。でもホーリーの微笑みを独り占め?って思っているのは僕だけかもしれないけど、そうみたいだったし、アリシアとの事もあるし、てへへ、それにアビゲイル先生との事もあるしね。

 叱られることへの不安と、一人じゃないって嬉しさと、希望や責任、義務なんかを考えると、やっぱり気分が複雑骨折してしまうね。まあ、僕はまだ子供なので出来ることは少ないけど、今出来ることをするしかないね。

 そう!ブービーの成績を叱られるのが僕の今最高のお仕事さ!

 「たっだいまっ。」

 「兄さん、今日は遅かったんだね。」と我が優秀なる弟君がお出ましになった。ってなんで弟に敬語を使わなきゃならないんだよ!僕ってお人よし。なんて考えていると、お母さんも登場あそばされた。ってなんで変な敬語なんだよ。って僕ってお茶目!

 「お帰りウィズ。アルも言っていたけどどうしてこんなに帰りが遅かったのですか。」とお母さん。

 「でへへ、今日も放課後まで愛着のわいた教室の机で勉強していたからなんだ。」なんて見え透いた嘘を冗談のつもりで言ったんだけどね。

 「そっか、成績が悪くて補習を受けていたんだね。納得納得。」なんてアルリードが半分正解を見抜くんだよね。さすが我が弟君って所かな?って褒めてどうするんだよ。

親のお仕事!( 2 / 3 )

きっちり親のお仕事!

 「ま、そんな所だね。へへへ。お母さん、成績の事は反省しています。努力しなかったと言う事が写しの成績表が届いていると思うので、解ってしまっていると思います。しかし、今回からアビゲイル先生に補習を見てもらう事になったので、来学年からは違ってくると約束します。自分の息子をもう一度信じてみない?なんてね。ほんと、次から頑張るからね。」と言って、見せびらかし専用の成績表と希望へのパスポートである補習通知をお母さんに見せたんだ。

 アルリードもその見せびらかし専用と希望へのパスポートを覗き込んでいたんだけど、覗き過ぎて穴を開けるなよ、って言う前に覗くのを止めてくれたので一安心ってね。ま、穴が開いても明日が見える成績表に格上げされるだけなのかもしれないけどね。そっちの方が良いかな?なんてね。

 「そうですか、明日から補習に行くのですね。解りました。次の学年で成績が上がっていなかったら、その時にまた考えることにしましょう。親の仕事をしなければいけないと思っていたのですが、次の機会までお預けですね。」

 「親の仕事って?」なんて聞かなきゃ良かったんだけどね。

 「親の仕事ってのはこれです。」

「ガツン!」って拳骨を一発、スパゲッティー入りの僕の頭を叩かれた!いたたたたっ。ちなみに何でスパゲッティーかと言うと、こんぐらかっているって事なんだけどね。そうなんだね。親の仕事ってのは、たんこぶを作るのがお仕事らしい。僕の息子にも作ってやるぞ!

星兎心
作家:星兎心
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