「ありがとうございました」
般若の夢を、よく見る話はしなかった。
俺は、いつものように診察を終えると、パックのフルーツジュースを買って、病棟の外に出た。
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目を閉じると、すべてが消える。
誰もいない
音も、匂いもない世界。
俺だけが動いている。
床屋がある。
店の中に、おやじさんがいる。
猫がいる。
居酒屋がある。
胸の大きな女性がいる。
顔だけの女性
ラーメン屋
スーパー
コンビニ・・・
「(ここは、商店街か?)」
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