トビウオ殿
少年探偵団がでてくるとはいよいよもって同世代ですね。それで最近の疑問点を思い出しました。
テレビの漫画やおもちゃ、ゲームなど、いい大人がそれを作るのを仕事として、子供ないしはその親に提供しますが、ありゃぁ一体何なんでしょうかね。
子供はどうしていつの世もそんな大人のお仕着せを受け入れるのでしょうかね。
ナナシ
ムメイ改めナナシ殿
女性が作られた流行を受け入れるのとはまた別でしょう。もともと子供の脳がすべてを受け入れオーケーなのでは?
作る側の大人だって、自分が楽しいもの、子供が楽しがりそうなもの、ひいては売れそうなもの、と考えますしね。
しかしこれに関してもっと詳しいことを脳神経研究者に解き明かしてほしいです。
トビウオ
こんな具合に僕らの意見交換はもっともなことに、素人談義ながらいわゆるジェンダー生成にまつわる社会の意識操作をテーマとするものとなった。
誰か個人の特定できる操作の犯人が居るわけではないだろうが、少数の権力者集団が意識して為しうることだったのか?
たとえば鎌倉幕府が武士の直接的な殺傷力をもって男子の力を誇示し、その脅威と威力を社会に浸透させるために儒教の拡張を是としたとか?
ききかじり族二名の議論の最後は疑問符で終わる。調べておきましょう、とは言うにしても。
ナナシ氏には自由時間がないわけではあるし。
ところで、その後、この旧かつらないしはカツラにして新生ムメイ、ないしはナナシの生活は、こう報告されてきた。
彼は自分は実は、かつらエッセイに不吉な影のように登場するつれあいの方である。
自分の妻が、突然自分はこれから男性になると宣言した。
これまでも自分の妻は表立っては言わないが、かなりの女権論者であって、自分の方はじゃあ男は働き蜂かよ、晩酌くらいけちるな、という典型的暴君であった。
手も出した。
それでも会社があるうちは良かったのだが、リストラ後、ぶらぶらしているのに依然として妻の役割に甘えて、上げ膳下げ膳をさせていた。
それが一年たつ頃、異変が起こった。
妻の反乱である。
自分はすっかり度肝を抜かれ、パニックになってどなり散らした。
しかし妻は一歩も主張を緩めない。
恐ろしい迫力で人間としての権利を要求しだした。
家政婦や奴隷ではなく、人間として認められないなら、男性だと思ってくれ、という。仕事ですらない、家事のような程度の低い働きをあんたは自分ではしたくない、それで妻にさせるとは何ごとか、とまるで雷のように怒鳴り返してきた。
こぶしがぶるぶる震えて、今にも殴りかからんばかりだった。
それから、と妻はなお言い募った。今後、あることないこと、文句を言うな、することなすこと間違ってるとののしるな、何事につけ自分が正しいと大声を出すな、気分任せに不機嫌かと思えば急に笑いかけるな、あんたの操り人形でもなければ、鬱憤ばらしのオモチャでもない、対等な男性だと思え。
このままの人生が続くのなら、さっさと姿を消すか、あんたを殺して監獄に行くか、いやいっそ自分が死んだほうがましだ、とまで食いしばった歯の透き間からうめいた。
嵐の時間が何日続いたかも分からなくなった。
最後の切り札まで出された自分は、もうどっちかといえば降参である。