カフェオレ・ライターのforkN出張エッセイ

その3( 5 / 16 )

【1月13日】

女性の本音、それは「イケメンは何をしても許される」だった!(レビュー)



さーて、イケメンとの同棲生活、前回の更新から早一か月が経ってしまいましたが、別に同棲に飽きたとかではなくて、ちょっと目を離すとすぐタキCが逃げてしまい、そのたびに500円を貢いではまた忘れて逃げられ……だめんずループに陥っていたのでした。


さて、前回の流れをおさらいすると、タキCにパソコンを返しに行ったらスパイ疑惑をかけられて、なぜかタキCにパソコンを教えてもらうという超展開を迎えたところまででしたね。

ではその後のストーリーです。


翌日。
さっそくタキCさんがあたしの部屋にやってきた
「よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく」

なんとタキC、イケメンパワー全開でまだ2回しか会っていない女性の部屋に上がり込みました。さすがイケメン社長……デキるッ……!

ていうか主人公も断りなさいよ! サスペンス映画だったら完全に死亡フラグだよ! 

……と、タキCの鮮やかな手腕にいきなり度肝を抜かれたわけですが、イケメンパワーはこんなものでは終わりません。

あれ?

「何だろう、この荷物?」

パソコンを教えにきてくれただけのはずなのに、なぜか、タキCさんの足元には、たくさんの荷物。

ここに泊まりこんで、パソコンを一からきっちりと教えよう。そのかわりキミの見たものについては一切口外しないでもらう」

「ど、どういうことですか?」

ないわ……これはないわ……。

何ですかコレ、イケメンなら何やっても許されるってか!?

これまではまだしも、「イケメンバンク本体のデータ容量が少ないから展開早いのも仕方ないか……」とか自分を納得させてきましたが、もはやそういう問題ではなくなってきましたよ。

どう考えても社長どころか社会人としてアウトな行動をとるタキCですが、やつの偉ぶった態度はさらにエスカレートしていきます。

「パソコンの中身のことだ」

「あの、中身っていっても・・・あたし、パソコンはさわれないから画面を見ただけですよ?」

「・・・その言葉を信じるか、信じないかはこれからカクニンしてからだな・・・」

「えっと?なんですか?」

「とにかく、ワタシのパソコンにアクセスしてしまったのはキミだ。ヒミツ保持とともにデータの管理も任せよう」

「だからー! あたしはパソコンなんて素人なんだってばー!」

「キミができないなら、ワタシがここで管理する

「・・・えっと、いってるイミがわかんないんだけど?」

「まとめてしまえば、ワタシがここに住むということだ」

「ええーっ!」

「そこにいられると、荷物が入れられないだろう。どいてくれ

「そうじゃなくてーっ!」

タキCさん、あたしの部屋に住む気なの!? 本気!?


いや、なんていうか、タキC……いくらなんでも傍若無人すぎるだろ……

しかも会話の最後の方とかもう、「そこにいられると、荷物が入れられないだろう。どいてくれ」とか、すでに住むこと前提で喋ってますからね。

信じられるか? コレ、女性の心理に精通しているカウンセラーが監修してるんだぜ……。つまり、女性はこういう展開が理想なんだぜ……。


……なぜ僕は500円つっこんでまでこんな寸劇を一人で見ているのか

そんなことをふと考えた、冬の夜でした。

その3( 6 / 16 )

【1月14日】

イケメンとの同棲生活改め、「イケメンとの監禁生活」スタート!(レビュー)



前回のイケメン同棲生活レポにたくさんのメールをいただきましたが、実は僕、あれを書いてからちょっと反省したんですよね。

だって世の中にはいきなりかわいい女の子が家にやってきて脈絡もなく主人公に惚れて一緒に住む、みたいな話がごろごろ転がってるじゃないですか。つまりそれが男の願望ってことで、そう考えればまあ、タキCはかなり強引だけどイケメンだし、社長だし、あれぐらい強気に口説かれた方が女性としても嬉しいのかもしれない……つまりあれはやっぱり女性の理想の恋愛なのかもしれない……。

と、自分を納得させていたのですが、今回続きを見ていくと、やっぱりタキCはヤバい、“イケメンだから許される”という範囲を超えてヤバい、ということが明らかになりましたので、さっそく見ていくことにします。

さて、パソコンを教えるという名目で主人公宅に上がり込み、あろうことか唐突に「私は今日からこの家に住む」と言い出したタキC。一応IT系企業の社長らしいのですが、その発想は完全にヒモのそれです。


タキCさんとの同居生活は、とんでもない押し切られ方で始まっちゃった。
それでも、一応パソコンは教えてくれたんだけど、あたしのわからなさに、ちょっとだけ呆れた様子。
「…本当にキミは素人なんだな…?」
「だから、先週パソコンを買ったばかりなんだって!」
「そうか…では本当にワタシのパソコンにアクセスできたのは偶然か」
そんなに、パソコンの中身って大事なものが入ってたの?

前回のラストで、主人公が「本気!?」とかちょっと拒否する態度を見せていたから期待していたのですが、結局押し切られてしまったようです。もうダメだ……。

それにしても特筆すべきはタキCの疑り深さ。確かにパスワードを一発で探り当てた主人公のハッカーとしての才能は恐るべきものがありそうですが、どうせタキCのことなのでパスワードも超簡単なものだったに違いありません。ついでに言うと、そこまで大事なパソコンをあっさりとカバンごと持っていかれてしまったタキCの管理能力のなさにも問題大ありです。主人公がわざわざ返しに行かなければどうなっていたのでしょう……。


――とまあ、ここまでの展開はまだ許せるとして、問題はここから。


「…わかった、キミが素人であることは信じよう。だが…中を見てしまったのは事実だ。念のために外部との接触を避け、ヘヤからは一歩も出ないでくれ
「ええーっ!…ちょ、ちょっと待ってよ!」
「学校や、シゴト先があるのか?」
「あるでしょ、普通!」
休んでもらおう
さすがにちょっとムッとする。

タキCが主人公を監禁しにかかりました。

……これはヤバいです。普通に犯罪の臭いがします。

いったい何が「念のため」なのかはさっぱりわかりませんが、主人公も「さすがにちょっとムッとする」とかいうレベルで済ませていい問題じゃないですよコレ。

と、僕が憤慨しているのをよそに、


「どうした?こんなに頼んでいるのに、ナニが不満だ?
「え?」
頼んでるつもりだったんだ?
「…?」
タキCさんは、怪訝そうなカオをしてる。
本気で、あたしが何に驚いてるかわかっていないの?
もしかして、ヒトとの付き合い方が苦手なヒトなのかも…
そう考えると、さっきの会話も、タキCさんなりにお願いしてくれてたの?
「うーん、お休みかぁ…」
ちゃんと連絡したらどうにかなりそうなんだよね
「……」
うん、わかった。お休みすればいいんだよね
「それで頼む」

……受け入れてしまいました

何となくタキCの異常性に気付き始めている主人公ですが、それでもまだ「ヒトとの付き合い方が苦手なヒトなのかも…」と、かなりタキCの性格を好意的にとらえている様子。

この分だとタキCが「実は会社が危なくてね……500万円ほどあれば何とかなるんだが」とか言い出すのも時間の問題だと思うのですが、それも主人公は普通に信じて「わたしが彼を助けなきゃ!」みたいな展開になりそうですね。実際、僕はすでにけっこうな額をタキCに貢いでますし。


ということで、 理想の恋愛というよりも詐欺師の手口紹介みたいな話になってきましたが、次回から本格的な同棲生活が始まるのでしょうか。

……仕事も学校も強制的に休まされ、外部との連絡すら断たれた状態を“同棲”と呼べるのなら、ですけどね……。

その3( 7 / 16 )

【1月22日】

「イケメン×ツンデレ=最強」の法則!(レビュー)



さて、なんだかんだで続いているイケメンとの同棲生活ですが、引き続きレポートしていきます。


さて……前回のレポートを終えてすっかり安心していた僕でしたが、帰宅してみると、

何度目だよ……!


そもそもお前の方から住むって言いだしただろ……!


さすがの僕もこのヒモ野郎にはブチキレですよ。


今日という今日は!



絶対に!



許さん!



……ということで、貯金している者としてやってはいけないことをやってしまいましたが、仕方ありません。

何しろこのイケメンバンク、一度でもイケメンに逃げられるとそれまでのストーリーがリセットされるため、再び最初からやり直すのがとてもめんどくさいのです。

しかも500円玉を入れると必ずストーリーが進行するわけではなく、何度か入れないと話が進まないこともよくあるため、レビューを書くためにはこれはやむを得ない措置だったのです……決して給料日前でお金がなくなってきたとかそういうことではないのです……。


さて、再びタキCを選んでストーリーを進行させていきますよ。だいぶタキCの顔を出してなくて皆さんもそろそろ忘れてきたころだと思うので、まずはタキCのツラをおさらい。

←タキC

いやー……。

腹立つ顔
ですねー!


――まあそれはいいとして、前回は確か、いきなり主人公宅に押しかけてきたタキCが「今日からここに住む」宣言をぶちかまし、挙句の果てには主人公をイケメンパワーで監禁したところまででしたね。

思いもよらぬ方向へ話が進んでいきますが、いったい今後主人公はどうなるのでしょうか……このままいくと、どう考えてもイケメンバンクのコンセプトである「理想の恋愛」には程遠いバッドエンドが待ち受けているように思うのですが……。


タキCさんは、満足げにうなづくとパソコン画面に向かった。
改めて見ると、タキCさんってすごくカッコイイかも。

なぜ主人公がタキCのありえない監禁要求を呑んだのかと思ったら、やっぱり惚れてしまったようです

……わかっちゃいましたが、イケメンというだけでこのような犯罪行為が許されてしまうかと思うと実に腹立たしいですね! まあ主人公が自分で「それもいっか♪」とか納得してしまったので別に犯罪でも何でもないんですけど、なんかこう、モヤッとしますよね! ていうか仕事は行けよ!


「…どうした?」
「えっと、うーん…えへ? えっと、そのー」
「論理的でない会話は、時間のムダだ」
び、微妙に言い方が感じ悪い!

……なんか、だんだん主人公の喋り方が気持ち悪くなってきましたが、これも全部タキCのせいです。タキCが主人公を骨抜きにしてしまったからなのです。

そのくせ張本人は「論理的でない会話は、時間のムダだ」とか、相変わらずの上から目線。こんな社会人が社長やってて大丈夫なんでしょうか。

というか「会話に論理性を求める男はウザがられる」っていう意見をよく耳にするんですけど、どうやらそれはイケメンには当てはまらない法則のようです。


「あと、ワタシのことはタキCと呼べばいい」
「え?タキCさんじゃなくて?」
「そのながったらしい呼ばれ方は、好まない」
そのままタキCはパソコン画面に向き直る。
ちょっと変わったヒトだけと、嫌いにはなれないなぁ。

そしてここで、天然のたらしっぷりを発揮するタキC。

あれだけ上から目線で喋っておいて、「ワタシのことはタキCと(呼び捨てで)呼べばいい」とちょっとだけデレてみせるこのテクニック……。ツンデレ! ツンデレですよこいつ!

だいたい、「そのながったらしい呼ばれ方は、好まない」とか言ってますけど、「さん」をつけるかつけないかだけの違いに、長いも何もないですよ!


今回は短くてここまでなんですが、じゃあ最後に僕が昔本当に言われたことのある悲しいやりとりを紹介して終わりにしようと思います。

僕「今日楽しかったです。また遊びに行きましょう!」
女性「私も楽しかったですよ、○○(←本名)さん」
僕「あの、同い年だし呼び捨てでいいですよ。○○で」
女性「……そうですね」
僕「それで、次ですけど」
女性「考えときますね! じゃあまた! ○○さん!」


タキCよ、これが現実だ!

その3( 8 / 16 )

【2月2日】

だんだんと際立ってきたイケメンの異常性(レビュー)



はい、今日もイケメンとの同棲生活レポの続きです。


さて、いよいよ本格的にタキCとの同棲生活がスタートしたわけですが、その実態は「仕事にも学校にも行かせてもらえず、自宅からも出してもらえない」という夢も希望もない監禁生活でした。

……ええと、一般的な同棲生活というのは、朝起きて一緒にご飯を食べ、仲良く出勤し、帰宅してまた一緒にご飯を食べる……というような生活のことを指すのであって、決して二人して部屋にひきこもることではないと思うのですが、ここまでの流れでタキCがちょっと社会人としてヤバいレベルのサイコ野郎であることは皆さんもよくおわかりでしょうから、今さらこの程度の展開では驚くに値しませんよね。

ということで、続きを見ていきましょう。今回は一挙2話掲載です(つまり1,000円分です)。

タキCがあたしの部屋にきてから2日。
本当にタキCは外にでかけることもなくって一日中パソコンの前に座ってる
「ねえ、タキCって、いったい何をしてるヒト?」
「どうして、知りたがる」
「カイシャに出勤とかしなくていいの?」
「ワタシは、これがシゴトだ」
「もしかして、IT関係とかなの?」
「…そうだ」

異常なる同棲生活がスタートして、すでに2日間が過ぎ去ったところから物語は再開。……どちらかといえばその2日間を克明に描写してほしかったです。

それにしてもタキC、『外にでかけることもなく、一日中パソコンの前に座ってる』って、ここまでの流れを知らない人がこの文面だけ見たら、完全にひきこもりのニートだと思うのでは……。

まあ僕も休日になると似たような生活を送っているのであまり強くは言えないのですが、それにしたって平日からこれは酷い。しかも「出勤しないの?」と主人公に聞かれたときの答えが「これが仕事だ」ですよ。お前、どこの自宅警備員の言い訳だよ。

主人公も主人公です。客観的に考えて、「知り合ったばかりの男性が一人暮らしの自室に転がり込んできて一日中パソコンの前に座っている」という状況を親に見られたりでもしたら、間違いなく実家に連れ戻されて一か月ぐらいは毎日説教食らうレベルの話です。主人公はもっと真剣に現状を反省するべき。

あと前回、主人公がタキCの提案した監禁生活をあっさりと受け入れたときから思っていたことですが、いくらなんでも2日間もPCの前から動かないタキCの姿を見て「もしかしてIT関係?」とか、あまりにもポジティブに物事をとらえすぎだと思います。


「そうなんだータキCってすごいな! それでパソコンがあればシゴトできるんだね。出勤もなくていいなんて、すごい優雅!」
「べつに、こんなこと好きでしてるわけじゃない
「…え? そうなの!?」
「そうだ。本来なら、こんなことで、悩まされる…はずはなかっ……な、なんでもない
タキCは途中で話を切ってまたパソコンに向き合っちゃう。
なんだかわからないけど大変なのかな?
そっとしておいてあげよう……

なんかもう、意味不明なタキCのセリフもさることながら、よくわかっていないのに納得してしまう主人公の無邪気さがだんだん恐ろしくなってきました。あとタキCが途中でちょっと苦しそうにしているのは何かのフラグでしょうか。イケメンバンクで伏線を綺麗に回収されて感動してしまったらそれはなんかちょっと悔しいので今のうちから心の準備をしておこうと思います。

さ、さすがにおなかが減っちゃったよ!

「タキC。一緒にご飯、食べない?」

「……」

「タキC?」

「……」

うーん、ダメだ。

集中しちゃって、あたしの声は聞こえてないみたい。

「しかたないな。シゴトをしながらでも食べられるように、おにぎりを作ろうかな?」

「タキCー! おにぎりの具は何がいい?」

「…赤飯」

「お赤飯だね、わかった」

あたしは早速、おにぎり作りに取りかかる。

…ちょっと待った!

お赤飯は、おにぎりの具じゃないじゃなーい!?

…………


……主人公は、ノリツッコミをやってる場合ではないと思います。


マルコ
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