カフェオレ・ライターのforkN出張エッセイ

その3( 4 / 16 )

【12月8日】

イケメンとの再会、そして急展開(レビュー)



いやーいつの間にか年末ですね。

年末と言えば宝くじのジャンボ! 1億円ぐらい当たったら何に使おうか今から考えないとね!


そんな話はさておき、今回はイケメンバンクレビューの続きです。

イケメンとの生活を初めてからいつの間にか1か月以上経つわけですが……。

実は今まで黙っていましたが、レビューを書くたびに一息ついてついついタキCを放置してしまい、これまでに3回ほど逃げられています

普通に生きていると、同じ男と3回付き合って3回逃げられる女性というのもそうはいない気がするのですが、これは金を入れるたびに戻ってくるタキCがダメ男なのか、それともついイケメンに金を払ってしまう主人公がダメなのか……。

まあ一番ダメなのは500円玉ですら貯金が続かない僕なんですけど、仕方ないので逃げられるたびに500円を入れてタキCを口説き直しています。

ということで、もうどれくらい貢いだのか覚えていませんが、タキCとの生活の続きを見ていくことにしましょう。

前回の展開をざっと説明すると、カフェでイケメンが持っていたカバンと自分のを間違えて持って帰ってしまった主人公。彼女は、あろうことか勝手にパソコンにログインし、中身を見ようとします。しかし結局よくわからず、再びカバンを漁ってみたところ、タキCの名刺が出てきたのでした……。

ここで気になるのは前回も書きましたが、主人公がパスワードを適当に入力して一発で解除したという点。

普通に考えて、それはありえないことだと思うのですが……。

ちなみにこのパスワードの件に関して、僕と同い年の「茅ヶ崎町役場」さんからメールをいただきましたのでご紹介させていただきます。

(略)

考えてみたのですが、タキCのパソコンのパスワードを一発 で当てた主人公の運は如何なるものか・・・。

パスワードに使用できる文字が

アルファベット26文字+数字(0~9)の10文字=36文字 として、「ーーパチパチパチパチ・・・」という擬音語が4回のタイピ ング(=4文字)であると仮定すると。。。

その組み合わせは36の4乗となり、一発で正解にあたる確率は

1/1,679,616

となります。
これは、1枚だけジャンボ宝くじを買って、1等もしくは2等が当たる 確率とほぼ同じ(http://www.its-sap.co.jp/column/column/se027.html)です。

以上から導かれる結論は、この主人公の最もドジなところは、1億を軽 く稼げる強運の持ち主でありながら、10万を貯めるためにその運を遣 い果たしてしまっているということではないでしょうか・・・。

(略)

なるほど……とりあえずこれだけタキCに情熱を注げる茅ヶ崎町役場さんが、もう僕の代わりにイケメンバンクレビューをするべきだと思いますが、それはともかく、逆に考えると宝くじに当たるのは4桁のパスワードを適当に入れて一発で成功するのと同じ確率ということですか……。

今年のジャンボ……やめようかな……。


―――


ちなみに今回のメールを送っていただいた茅ヶ崎町役場さんと僕は、80年生まれのいわゆる松坂世代です。

……松坂大輔がメジャーで頑張っている頃、同い年の僕はイケメンバンクに500円を入れて喜んでいるわけですが、そのあたりは深く考えると絶望しそうなので無視して、さっそく続きを見ていきます。


待ち合わせたのは、さっきのカフェ。
「あ、きた!」
「こんにちは、タキCです」
「すみません! あたしったら、カバンを間違えて持っていっちゃって!」
「たしかにワタシのだね」
…笑ってるんだけど…なんだか、ちょっとこわいよぉ。

どうやら見つけた名刺で連絡を取り、カフェで会うところまで話が一気に進んでいる模様。ものすごく積極的に動く主人公ですね。

ここで思い出してほしいのは、主人公が最初にタキCをカフェで見たとき「かっこいいかも」と言っていたこと。タキCのルックスがもし並以下だったなら、カフェのオーナーにパソコンを預けて話は終わっていたことでしょう。……「イケメンバンク」ですからそこにつっこむのは野暮なのですが、なんかこう、貯金箱にまで現実の世知辛さを教えられるとは思ってもみませんでした。


「ほんとうに、ごめんなさい。メイシを見つけるまで、誰のものかわからなくて、連絡が遅れちゃって!」
「いや…」
「一生懸命、パソコンも見たんですけどぜんぜんわからなくって!」
「パソコンを見た?」
「でも、電源を入れただけで中はさわってません」
「ログインしたのか!?」
「むちゃくちゃに、キーを叩いてたら、勝手に画面が変わって…」
「…偶然…か? いや、まさか…スパイ…?」

話は主人公が勝手にパソコンを見た、というところに移ります。

当然ですがログインできたということにタキCは驚きまくり。やっぱそうですよね。僕が間違っているわけじゃなかった。この主人公の勘の良さが異常なのです。

しかし、主人公もさることながら、「スパイ…?」と言い出すタキCも、これはこれでわりとファンタジックな脳をお持ちのようです。


「え? 何か言いました?」
「…いや、なんでもない。ところで、きみはパソコンが得意なのか?」
「いえ、まさか! パソコンも買ったばかりでどう使うか、わからなくて困ってるくらいです」
「なるほど…」
「よければ、キミにパソコンを教えてあげようか?」
「えっ!?」
「これも、ご縁だよ」
「それじゃ、よろしくお願いします!」
あたしはウキウキ気分でタキCさんにぺこりと頭を下げた


さらに話は急展開。なぜかタキCが主人公にパソコンを教えるということに。さすが、イケメンは仕事が早いですなあ!

どう考えても唐突すぎるナンパなのに、「これも、ご縁だよ」の一言で相手を納得させるその手腕、タキCは相当なやり手とみました。

もう最後の方とか、主人公は完全にタキCのイケメン光線にやられてしまっていますけど、僕は決してやつのイケメンスマイルに騙されることなく、これからも戦い続けようと思います!

その3( 5 / 16 )

【1月13日】

女性の本音、それは「イケメンは何をしても許される」だった!(レビュー)



さーて、イケメンとの同棲生活、前回の更新から早一か月が経ってしまいましたが、別に同棲に飽きたとかではなくて、ちょっと目を離すとすぐタキCが逃げてしまい、そのたびに500円を貢いではまた忘れて逃げられ……だめんずループに陥っていたのでした。


さて、前回の流れをおさらいすると、タキCにパソコンを返しに行ったらスパイ疑惑をかけられて、なぜかタキCにパソコンを教えてもらうという超展開を迎えたところまででしたね。

ではその後のストーリーです。


翌日。
さっそくタキCさんがあたしの部屋にやってきた
「よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく」

なんとタキC、イケメンパワー全開でまだ2回しか会っていない女性の部屋に上がり込みました。さすがイケメン社長……デキるッ……!

ていうか主人公も断りなさいよ! サスペンス映画だったら完全に死亡フラグだよ! 

……と、タキCの鮮やかな手腕にいきなり度肝を抜かれたわけですが、イケメンパワーはこんなものでは終わりません。

あれ?

「何だろう、この荷物?」

パソコンを教えにきてくれただけのはずなのに、なぜか、タキCさんの足元には、たくさんの荷物。

ここに泊まりこんで、パソコンを一からきっちりと教えよう。そのかわりキミの見たものについては一切口外しないでもらう」

「ど、どういうことですか?」

ないわ……これはないわ……。

何ですかコレ、イケメンなら何やっても許されるってか!?

これまではまだしも、「イケメンバンク本体のデータ容量が少ないから展開早いのも仕方ないか……」とか自分を納得させてきましたが、もはやそういう問題ではなくなってきましたよ。

どう考えても社長どころか社会人としてアウトな行動をとるタキCですが、やつの偉ぶった態度はさらにエスカレートしていきます。

「パソコンの中身のことだ」

「あの、中身っていっても・・・あたし、パソコンはさわれないから画面を見ただけですよ?」

「・・・その言葉を信じるか、信じないかはこれからカクニンしてからだな・・・」

「えっと?なんですか?」

「とにかく、ワタシのパソコンにアクセスしてしまったのはキミだ。ヒミツ保持とともにデータの管理も任せよう」

「だからー! あたしはパソコンなんて素人なんだってばー!」

「キミができないなら、ワタシがここで管理する

「・・・えっと、いってるイミがわかんないんだけど?」

「まとめてしまえば、ワタシがここに住むということだ」

「ええーっ!」

「そこにいられると、荷物が入れられないだろう。どいてくれ

「そうじゃなくてーっ!」

タキCさん、あたしの部屋に住む気なの!? 本気!?


いや、なんていうか、タキC……いくらなんでも傍若無人すぎるだろ……

しかも会話の最後の方とかもう、「そこにいられると、荷物が入れられないだろう。どいてくれ」とか、すでに住むこと前提で喋ってますからね。

信じられるか? コレ、女性の心理に精通しているカウンセラーが監修してるんだぜ……。つまり、女性はこういう展開が理想なんだぜ……。


……なぜ僕は500円つっこんでまでこんな寸劇を一人で見ているのか

そんなことをふと考えた、冬の夜でした。

その3( 6 / 16 )

【1月14日】

イケメンとの同棲生活改め、「イケメンとの監禁生活」スタート!(レビュー)



前回のイケメン同棲生活レポにたくさんのメールをいただきましたが、実は僕、あれを書いてからちょっと反省したんですよね。

だって世の中にはいきなりかわいい女の子が家にやってきて脈絡もなく主人公に惚れて一緒に住む、みたいな話がごろごろ転がってるじゃないですか。つまりそれが男の願望ってことで、そう考えればまあ、タキCはかなり強引だけどイケメンだし、社長だし、あれぐらい強気に口説かれた方が女性としても嬉しいのかもしれない……つまりあれはやっぱり女性の理想の恋愛なのかもしれない……。

と、自分を納得させていたのですが、今回続きを見ていくと、やっぱりタキCはヤバい、“イケメンだから許される”という範囲を超えてヤバい、ということが明らかになりましたので、さっそく見ていくことにします。

さて、パソコンを教えるという名目で主人公宅に上がり込み、あろうことか唐突に「私は今日からこの家に住む」と言い出したタキC。一応IT系企業の社長らしいのですが、その発想は完全にヒモのそれです。


タキCさんとの同居生活は、とんでもない押し切られ方で始まっちゃった。
それでも、一応パソコンは教えてくれたんだけど、あたしのわからなさに、ちょっとだけ呆れた様子。
「…本当にキミは素人なんだな…?」
「だから、先週パソコンを買ったばかりなんだって!」
「そうか…では本当にワタシのパソコンにアクセスできたのは偶然か」
そんなに、パソコンの中身って大事なものが入ってたの?

前回のラストで、主人公が「本気!?」とかちょっと拒否する態度を見せていたから期待していたのですが、結局押し切られてしまったようです。もうダメだ……。

それにしても特筆すべきはタキCの疑り深さ。確かにパスワードを一発で探り当てた主人公のハッカーとしての才能は恐るべきものがありそうですが、どうせタキCのことなのでパスワードも超簡単なものだったに違いありません。ついでに言うと、そこまで大事なパソコンをあっさりとカバンごと持っていかれてしまったタキCの管理能力のなさにも問題大ありです。主人公がわざわざ返しに行かなければどうなっていたのでしょう……。


――とまあ、ここまでの展開はまだ許せるとして、問題はここから。


「…わかった、キミが素人であることは信じよう。だが…中を見てしまったのは事実だ。念のために外部との接触を避け、ヘヤからは一歩も出ないでくれ
「ええーっ!…ちょ、ちょっと待ってよ!」
「学校や、シゴト先があるのか?」
「あるでしょ、普通!」
休んでもらおう
さすがにちょっとムッとする。

タキCが主人公を監禁しにかかりました。

……これはヤバいです。普通に犯罪の臭いがします。

いったい何が「念のため」なのかはさっぱりわかりませんが、主人公も「さすがにちょっとムッとする」とかいうレベルで済ませていい問題じゃないですよコレ。

と、僕が憤慨しているのをよそに、


「どうした?こんなに頼んでいるのに、ナニが不満だ?
「え?」
頼んでるつもりだったんだ?
「…?」
タキCさんは、怪訝そうなカオをしてる。
本気で、あたしが何に驚いてるかわかっていないの?
もしかして、ヒトとの付き合い方が苦手なヒトなのかも…
そう考えると、さっきの会話も、タキCさんなりにお願いしてくれてたの?
「うーん、お休みかぁ…」
ちゃんと連絡したらどうにかなりそうなんだよね
「……」
うん、わかった。お休みすればいいんだよね
「それで頼む」

……受け入れてしまいました

何となくタキCの異常性に気付き始めている主人公ですが、それでもまだ「ヒトとの付き合い方が苦手なヒトなのかも…」と、かなりタキCの性格を好意的にとらえている様子。

この分だとタキCが「実は会社が危なくてね……500万円ほどあれば何とかなるんだが」とか言い出すのも時間の問題だと思うのですが、それも主人公は普通に信じて「わたしが彼を助けなきゃ!」みたいな展開になりそうですね。実際、僕はすでにけっこうな額をタキCに貢いでますし。


ということで、 理想の恋愛というよりも詐欺師の手口紹介みたいな話になってきましたが、次回から本格的な同棲生活が始まるのでしょうか。

……仕事も学校も強制的に休まされ、外部との連絡すら断たれた状態を“同棲”と呼べるのなら、ですけどね……。

その3( 7 / 16 )

【1月22日】

「イケメン×ツンデレ=最強」の法則!(レビュー)



さて、なんだかんだで続いているイケメンとの同棲生活ですが、引き続きレポートしていきます。


さて……前回のレポートを終えてすっかり安心していた僕でしたが、帰宅してみると、

何度目だよ……!


そもそもお前の方から住むって言いだしただろ……!


さすがの僕もこのヒモ野郎にはブチキレですよ。


今日という今日は!



絶対に!



許さん!



……ということで、貯金している者としてやってはいけないことをやってしまいましたが、仕方ありません。

何しろこのイケメンバンク、一度でもイケメンに逃げられるとそれまでのストーリーがリセットされるため、再び最初からやり直すのがとてもめんどくさいのです。

しかも500円玉を入れると必ずストーリーが進行するわけではなく、何度か入れないと話が進まないこともよくあるため、レビューを書くためにはこれはやむを得ない措置だったのです……決して給料日前でお金がなくなってきたとかそういうことではないのです……。


さて、再びタキCを選んでストーリーを進行させていきますよ。だいぶタキCの顔を出してなくて皆さんもそろそろ忘れてきたころだと思うので、まずはタキCのツラをおさらい。

←タキC

いやー……。

腹立つ顔
ですねー!


――まあそれはいいとして、前回は確か、いきなり主人公宅に押しかけてきたタキCが「今日からここに住む」宣言をぶちかまし、挙句の果てには主人公をイケメンパワーで監禁したところまででしたね。

思いもよらぬ方向へ話が進んでいきますが、いったい今後主人公はどうなるのでしょうか……このままいくと、どう考えてもイケメンバンクのコンセプトである「理想の恋愛」には程遠いバッドエンドが待ち受けているように思うのですが……。


タキCさんは、満足げにうなづくとパソコン画面に向かった。
改めて見ると、タキCさんってすごくカッコイイかも。

なぜ主人公がタキCのありえない監禁要求を呑んだのかと思ったら、やっぱり惚れてしまったようです

……わかっちゃいましたが、イケメンというだけでこのような犯罪行為が許されてしまうかと思うと実に腹立たしいですね! まあ主人公が自分で「それもいっか♪」とか納得してしまったので別に犯罪でも何でもないんですけど、なんかこう、モヤッとしますよね! ていうか仕事は行けよ!


「…どうした?」
「えっと、うーん…えへ? えっと、そのー」
「論理的でない会話は、時間のムダだ」
び、微妙に言い方が感じ悪い!

……なんか、だんだん主人公の喋り方が気持ち悪くなってきましたが、これも全部タキCのせいです。タキCが主人公を骨抜きにしてしまったからなのです。

そのくせ張本人は「論理的でない会話は、時間のムダだ」とか、相変わらずの上から目線。こんな社会人が社長やってて大丈夫なんでしょうか。

というか「会話に論理性を求める男はウザがられる」っていう意見をよく耳にするんですけど、どうやらそれはイケメンには当てはまらない法則のようです。


「あと、ワタシのことはタキCと呼べばいい」
「え?タキCさんじゃなくて?」
「そのながったらしい呼ばれ方は、好まない」
そのままタキCはパソコン画面に向き直る。
ちょっと変わったヒトだけと、嫌いにはなれないなぁ。

そしてここで、天然のたらしっぷりを発揮するタキC。

あれだけ上から目線で喋っておいて、「ワタシのことはタキCと(呼び捨てで)呼べばいい」とちょっとだけデレてみせるこのテクニック……。ツンデレ! ツンデレですよこいつ!

だいたい、「そのながったらしい呼ばれ方は、好まない」とか言ってますけど、「さん」をつけるかつけないかだけの違いに、長いも何もないですよ!


今回は短くてここまでなんですが、じゃあ最後に僕が昔本当に言われたことのある悲しいやりとりを紹介して終わりにしようと思います。

僕「今日楽しかったです。また遊びに行きましょう!」
女性「私も楽しかったですよ、○○(←本名)さん」
僕「あの、同い年だし呼び捨てでいいですよ。○○で」
女性「……そうですね」
僕「それで、次ですけど」
女性「考えときますね! じゃあまた! ○○さん!」


タキCよ、これが現実だ!

マルコ
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