カフェオレ・ライターのforkN出張エッセイ

その3( 7 / 16 )

【1月22日】

「イケメン×ツンデレ=最強」の法則!(レビュー)



さて、なんだかんだで続いているイケメンとの同棲生活ですが、引き続きレポートしていきます。


さて……前回のレポートを終えてすっかり安心していた僕でしたが、帰宅してみると、

何度目だよ……!


そもそもお前の方から住むって言いだしただろ……!


さすがの僕もこのヒモ野郎にはブチキレですよ。


今日という今日は!



絶対に!



許さん!



……ということで、貯金している者としてやってはいけないことをやってしまいましたが、仕方ありません。

何しろこのイケメンバンク、一度でもイケメンに逃げられるとそれまでのストーリーがリセットされるため、再び最初からやり直すのがとてもめんどくさいのです。

しかも500円玉を入れると必ずストーリーが進行するわけではなく、何度か入れないと話が進まないこともよくあるため、レビューを書くためにはこれはやむを得ない措置だったのです……決して給料日前でお金がなくなってきたとかそういうことではないのです……。


さて、再びタキCを選んでストーリーを進行させていきますよ。だいぶタキCの顔を出してなくて皆さんもそろそろ忘れてきたころだと思うので、まずはタキCのツラをおさらい。

←タキC

いやー……。

腹立つ顔
ですねー!


――まあそれはいいとして、前回は確か、いきなり主人公宅に押しかけてきたタキCが「今日からここに住む」宣言をぶちかまし、挙句の果てには主人公をイケメンパワーで監禁したところまででしたね。

思いもよらぬ方向へ話が進んでいきますが、いったい今後主人公はどうなるのでしょうか……このままいくと、どう考えてもイケメンバンクのコンセプトである「理想の恋愛」には程遠いバッドエンドが待ち受けているように思うのですが……。


タキCさんは、満足げにうなづくとパソコン画面に向かった。
改めて見ると、タキCさんってすごくカッコイイかも。

なぜ主人公がタキCのありえない監禁要求を呑んだのかと思ったら、やっぱり惚れてしまったようです

……わかっちゃいましたが、イケメンというだけでこのような犯罪行為が許されてしまうかと思うと実に腹立たしいですね! まあ主人公が自分で「それもいっか♪」とか納得してしまったので別に犯罪でも何でもないんですけど、なんかこう、モヤッとしますよね! ていうか仕事は行けよ!


「…どうした?」
「えっと、うーん…えへ? えっと、そのー」
「論理的でない会話は、時間のムダだ」
び、微妙に言い方が感じ悪い!

……なんか、だんだん主人公の喋り方が気持ち悪くなってきましたが、これも全部タキCのせいです。タキCが主人公を骨抜きにしてしまったからなのです。

そのくせ張本人は「論理的でない会話は、時間のムダだ」とか、相変わらずの上から目線。こんな社会人が社長やってて大丈夫なんでしょうか。

というか「会話に論理性を求める男はウザがられる」っていう意見をよく耳にするんですけど、どうやらそれはイケメンには当てはまらない法則のようです。


「あと、ワタシのことはタキCと呼べばいい」
「え?タキCさんじゃなくて?」
「そのながったらしい呼ばれ方は、好まない」
そのままタキCはパソコン画面に向き直る。
ちょっと変わったヒトだけと、嫌いにはなれないなぁ。

そしてここで、天然のたらしっぷりを発揮するタキC。

あれだけ上から目線で喋っておいて、「ワタシのことはタキCと(呼び捨てで)呼べばいい」とちょっとだけデレてみせるこのテクニック……。ツンデレ! ツンデレですよこいつ!

だいたい、「そのながったらしい呼ばれ方は、好まない」とか言ってますけど、「さん」をつけるかつけないかだけの違いに、長いも何もないですよ!


今回は短くてここまでなんですが、じゃあ最後に僕が昔本当に言われたことのある悲しいやりとりを紹介して終わりにしようと思います。

僕「今日楽しかったです。また遊びに行きましょう!」
女性「私も楽しかったですよ、○○(←本名)さん」
僕「あの、同い年だし呼び捨てでいいですよ。○○で」
女性「……そうですね」
僕「それで、次ですけど」
女性「考えときますね! じゃあまた! ○○さん!」


タキCよ、これが現実だ!

その3( 8 / 16 )

【2月2日】

だんだんと際立ってきたイケメンの異常性(レビュー)



はい、今日もイケメンとの同棲生活レポの続きです。


さて、いよいよ本格的にタキCとの同棲生活がスタートしたわけですが、その実態は「仕事にも学校にも行かせてもらえず、自宅からも出してもらえない」という夢も希望もない監禁生活でした。

……ええと、一般的な同棲生活というのは、朝起きて一緒にご飯を食べ、仲良く出勤し、帰宅してまた一緒にご飯を食べる……というような生活のことを指すのであって、決して二人して部屋にひきこもることではないと思うのですが、ここまでの流れでタキCがちょっと社会人としてヤバいレベルのサイコ野郎であることは皆さんもよくおわかりでしょうから、今さらこの程度の展開では驚くに値しませんよね。

ということで、続きを見ていきましょう。今回は一挙2話掲載です(つまり1,000円分です)。

タキCがあたしの部屋にきてから2日。
本当にタキCは外にでかけることもなくって一日中パソコンの前に座ってる
「ねえ、タキCって、いったい何をしてるヒト?」
「どうして、知りたがる」
「カイシャに出勤とかしなくていいの?」
「ワタシは、これがシゴトだ」
「もしかして、IT関係とかなの?」
「…そうだ」

異常なる同棲生活がスタートして、すでに2日間が過ぎ去ったところから物語は再開。……どちらかといえばその2日間を克明に描写してほしかったです。

それにしてもタキC、『外にでかけることもなく、一日中パソコンの前に座ってる』って、ここまでの流れを知らない人がこの文面だけ見たら、完全にひきこもりのニートだと思うのでは……。

まあ僕も休日になると似たような生活を送っているのであまり強くは言えないのですが、それにしたって平日からこれは酷い。しかも「出勤しないの?」と主人公に聞かれたときの答えが「これが仕事だ」ですよ。お前、どこの自宅警備員の言い訳だよ。

主人公も主人公です。客観的に考えて、「知り合ったばかりの男性が一人暮らしの自室に転がり込んできて一日中パソコンの前に座っている」という状況を親に見られたりでもしたら、間違いなく実家に連れ戻されて一か月ぐらいは毎日説教食らうレベルの話です。主人公はもっと真剣に現状を反省するべき。

あと前回、主人公がタキCの提案した監禁生活をあっさりと受け入れたときから思っていたことですが、いくらなんでも2日間もPCの前から動かないタキCの姿を見て「もしかしてIT関係?」とか、あまりにもポジティブに物事をとらえすぎだと思います。


「そうなんだータキCってすごいな! それでパソコンがあればシゴトできるんだね。出勤もなくていいなんて、すごい優雅!」
「べつに、こんなこと好きでしてるわけじゃない
「…え? そうなの!?」
「そうだ。本来なら、こんなことで、悩まされる…はずはなかっ……な、なんでもない
タキCは途中で話を切ってまたパソコンに向き合っちゃう。
なんだかわからないけど大変なのかな?
そっとしておいてあげよう……

なんかもう、意味不明なタキCのセリフもさることながら、よくわかっていないのに納得してしまう主人公の無邪気さがだんだん恐ろしくなってきました。あとタキCが途中でちょっと苦しそうにしているのは何かのフラグでしょうか。イケメンバンクで伏線を綺麗に回収されて感動してしまったらそれはなんかちょっと悔しいので今のうちから心の準備をしておこうと思います。

さ、さすがにおなかが減っちゃったよ!

「タキC。一緒にご飯、食べない?」

「……」

「タキC?」

「……」

うーん、ダメだ。

集中しちゃって、あたしの声は聞こえてないみたい。

「しかたないな。シゴトをしながらでも食べられるように、おにぎりを作ろうかな?」

「タキCー! おにぎりの具は何がいい?」

「…赤飯」

「お赤飯だね、わかった」

あたしは早速、おにぎり作りに取りかかる。

…ちょっと待った!

お赤飯は、おにぎりの具じゃないじゃなーい!?

…………


……主人公は、ノリツッコミをやってる場合ではないと思います。


その3( 9 / 16 )

【2月10日】

イケメンに学ぶモテの極意~スクリーンセーバーで会話編~(レビュー)



今日も楽しいイケメンとの同棲生活レポが始まりますよー。


なんか気づけばイケメンとの生活ももうかなり長く続いていますが……。 やればやるほど、本当にこれが世の女性たちの望む恋愛なのかという疑問は膨らむばかりです。

何しろ監禁された上に相手はヒモで、しかもなぜか超偉そうですからね……主人公が出るとこ出ればタキCを簡単に逮捕できるんじゃないでしょうか。

それでも顔が好みというだけですべてを許してしまう主人公……ええい、腹立たしい!

さて、相変わらず監禁生活は続いており、タキCは主人公の部屋に引きこもったままパソコンの前から動こうとしません

……この文だけ見ると完全に手遅れですが、イケメン補正が利いているのか、主人公はタキCにおにぎりを作ってあげるなど、すっかりとりこまれている様子。

そしてここからが今回分ですが――。


タキCに作ってあげたお赤飯のおにぎり、結局、「…ああ」のヒトことだけで手をつけられることはなかった。

「ふわ…あ」

目覚めてみるとタキCの姿はない。

あ…

おふとんで眠ってる。

「おにぎり、ちゃんと食べたかな?」

パソコンのところへと行ってみると、お皿の上はからっぽだ。

「よかった、食べたみたい♪」

でも、感想も何もない。


いやー、もうなんというか、ここまでダメ男だと逆に清々しいですね。なんか僕まで達観した気持ちになってきました。ある意味タキCは一貫性のある男と言えるのかもしれませんね。

……そうか、たとえダメな方にでもいいから、一貫している男がモテるのかな? まあ僕が女性だったらタキCとか死んでも付き合いたくないタイプですけど。

――と思っていたら、


がっくりと肩を落としてるとタキCのパソコン画面が目に入った。

スクリーンセーバーとして動いているモジが目に飛び込んでくる。

―ありがとう―

「…んもう!」

また、おせきはんを作ってあーげよ♪

パソコン画面で動くお礼のコトバを見ながら、そんなキモチになってしまった…♪


くっ……やっぱりムカつく!

なんだその、“ケーキの中から指輪がポロリ”みたいな無駄な演出は!

主人公も主人公ですよ。「あーげよ♪」とかちょっとほだされてるんじゃないよ!

……しかしまあ冷静に考えてみると、これは女性の恋愛心理に詳しいカウンセラーが監修しているストーリーなのですから、どう考えても間違っているのは僕の方……。なんか納得いかないけど、要するにスクリーンセーバーで会話すればモテるってことでOK?

んじゃ、たとえばこういうのでもいいのかな。

女性の同僚が残業中。

「もう遅いし、そろそろ帰ろうかな……」

そう思いながら隣の同僚のモニタを見ると、スクリーンセーバーに文字が……。

――キミの家の前で待ってる――


……怖いよ!

どう考えてもダメだろこれは!

ちょっと僕の例がダメすぎましたけど、とにかくまあ女性というのは本当に難しい生き物ですよね。なんかもうイケメンバンクが間違っているのか僕が間違っているのかわからなくなってきましたよ……。


というわけで、今回はもう一回分、続きを見ていきましょう。

今日もタキCはパソコン画面とにらめっこ。

「ねえ、何か手伝えることってある?」

「ん?」

「だって、こうしててもヒマなだけだもの」

「そうか。だったら、そこに設計図があるから、その通りにプログラムを組んでくれ」

「設計図?」

あたしのパソコンと、紙の束を渡される。

「タキC、あたし、ナニをしたらいいの?」

「だから、プログラムを組んでくれと言ってるだろう。キミは論理的な会話ができないのか?」

…ムッ!


なんか、タキCって普通に嫌なやつだと思うんですけど、これでいいのでしょうか……?

パソコンに詳しくないとわかっている女性に無茶な要求をして、それができないとなると「論理的な会話ができないのか?」超上から目線で説教。ドSにもほどがある。

……僕とは一生分かり合えない人種だなと思いました。

「あたし、パソコンのこと詳しくないんだよ。それなのに、そんなことを言われても、意味がわからないよ」

「あ、ああ…そうだったな」

「忘れてたでしょー!」

「…すまない」

「そういえば、パソコンを教えるって話をしていたな」

「うん、してほしいことを教えてくれたら、タキCのお手伝いもできるようになるよ」

「それじゃあ、キミにもわかるように説明しよう」

珍しく、タキCの口調が親しげな感じ?

「では、まずこのアイコンをクリックして…」

…………


……何度も言ってることですが、そろそろマジで主人公は一度ぐらいキレた方がいいと思います。にしても、これだけ腹の立つ言動をとられても辛抱強くタキCに付き合い続けるって、実は主人公はすごい人なんじゃないかと思い始めてきました。

あとタキCの言葉が全部本音なのだとしたら、ちょっと天然すぎです。というかそれだけ記憶力が悪くて、よくまあIT系企業の社長が務まるものだなあと逆に感心してしまいます。


それにしてもイケメンバンク、ここからどんな風に展開するのか予想がつきませんが、どう転んでもろくでもない結末しか待っていないような気がするのは僕だけでしょうか……。

その3( 10 / 16 )

【3月22日】

中二病が発覚したイケメンとの、楽しい同棲ライフを再開するよ(レビュー)


いやー、気づけばだいぶお久しぶりになってしまいましたが、イケメンバンクレビューの続きをやっていこうと思います。

さて……。

簡単なこれまでのあらすじとしては、カフェで出会ったイケメン社長タキCが、突然主人公の部屋に押しかけ、「今日から一緒に住む」と言い出し、その上「キミはこの部屋から一歩も外に出るな」とまさかの監禁宣言をかまし、しかも主人公は主人公で、「それもいいかも♪」みたいなノリで監禁を快諾。……狂った同棲生活がスタートしたのでした。

あらすじだけ見てもすでにちょっと何かが激しく間違っている気がするのですが、イケメンバンクは以前にも書いた通り有名な恋愛カウンセラーが監修していますので、激しく間違っているのはきっと僕の方なのでしょう。……たぶん。

ではそろそろタキCとの同棲生活の続きを見ていきましょう。


「なるほどねー キミは、意外にリカイが早いな」
「よっぽど、おバカだと思ってたんでしょう!」
「…とにかく、キホンを覚えてくれて助かった」
「まだ、キホンのことくらいしかできないけど、これからタキCの手伝いができるようにがんばるから」
「そうしてもらえると、ワタシも助かる。今まで、タニンと一緒に何かをするなんてことはなかったが…案外、楽しいものだな」

やっと本来の目的である“タキCにパソコンを教えてもらう”ことにたどり着いた主人公ですが、タキCの上から目線がものすごくムカつきます。そしてそれ以上に「これからタキCの手伝いができるようにがんばる」とか、すっかり飼いならされてしまった主人公に腹が立ちます。お前も、プレイヤーの分身ならもっとシャキッとせい!

あとどうでもいいのですが、タキCの最後のセリフが中二病くさくて、なんかニヤニヤしてしまいますね。というか社長のくせにそんな態度でいいのか。社員逃げるぞ。


「楽しくないよりは、楽しい方が絶対にいいよね。あたしも、タキCが楽しいと嬉しいよ」 
「なるほど。キミには、いろいろと教えられるものが、多いのかもしれないな」
タキCはうなずきながらまた本物の笑顔をつくってくれた。

……その笑顔が本当に本物かどうか、なぜ主人公にわかるのでしょうか。これまでの経緯を考えるとどう考えても偽りの笑顔に違いないと思うのですが。

どことなくハッピーエンドの空気が漂ってきたことに僕はものすごく不満なのですが、まさかこのまま終わってしまうのでしょうか……。

心配になってきたのでもう一話分進めてみましょう。

タキCがやってきてから数日。

「タキC、ちょっとだけ買出しに行きたいな」

「外に出るのはダメだ」

「お買いものをしなきゃ、食料もないんだよ。スーパーは近くだから、すぐに帰ってくるよ」

「…身内ですら信用できないのに、キミを信用しろと?」


急 展 開 !

これですよ、タキCはやっぱりこうじゃないと! そんな簡単に主人公と心を通わせるなんてタキCらしくないと思ってたんですよ。やっとデレたと思ったら再びツン! ツンデレツン! これがタキCですよ! さあ甘ったれた主人公に鉄槌を!

「…え? 身内が信用できないって、どういうこと?」

「…はっ!」

しまったという表情でタキCは口元を押さえた。

「なんでもない。食糧がないのなら、ワタシもキミと一緒に出かけよ う」


いいね、いいねー!

「…はっ!」とか、このいかにも中二病なタキCのリアクション

「触れてくれるな」みたいな雰囲気出しといて、本音は語りたくてしょうがない、みたいなこの感じ!

というかタキC、主人公が買出しに出かけたらそのまま帰ってこないんじゃないか、とか思ってるのでしょうか。ここ、主人公の部屋なのに。どんだけ病的な心配症だよ!

……いやまあ確かに、僕なら自分の部屋だろうが逃げ出して警察に駆け込みますけど、イケメンにイカれてしまってる主人公に限ってはまったく逃亡の心配はないので、タキCはそんなに心配することないと思います。

ということで、徐々にタキCの過去が明らかになってきたイケメンバンク、次回へと続きます。

マルコ
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