その後、昼休憩が終わり、5時間目も6時間目も終わり、
そして、またホームルーム。
担任の先生がこんな事を語った。
「え~、今日は、皆さんに、あるお知らせがあります。
今日の昼休憩に、隣の6年1組の、男の子達が、突然、
教室で、原因不明のケガをしたそうです」
それを聞いた遊舞は、
(え~・・・?どういう事だ・・・?)と思った。
「なので、皆さんも、注意してください。対策はありませんが、
いつ、どこで、また同じ事が起こるか分からないので、
それだけは、覚えておいてください」
(おかしな事が起こったんだな~)と、遊舞は思った。
〝キーンコーンカーンコーン〟
「〝起立〟〝礼〟〝着席〟」
その後、
遊舞は、いつものように、友達達と一緒に帰った。
今日、遊舞の下校を共にするメンバーは、
「宙尾泳」「音田奏」「十装演人」である。
すると、一緒に歩いていた奏が話しかけてきた。
「さっき、先生が言ってた、
1組で起こった事、一体、何だったんだろうね」
「さぁ・・・」と遊舞が答える。
しかし、そこで、泳が
「確かに、常識では考えられない事だけど、
ありえなくもないな」と言った。
そこで、皆、
「えっ!?」と驚いた。
泳のその一言に対し、皆、
「何で、ありえるかもしれないの!?」と言った。
泳は、
「俺、宇宙飛行士になるから、科学にも興味があって
勉強してる・・・っていうか、勉強しないといけないから
解る事なんだけど、この世の全ての事って、
実は、全部、当たり前じゃないんだよ」と言う。
すると、皆、また、
「どういう事!?」と言った。
「あのね、〝宇宙って爆発から生まれた〟って説は有名だけど、
もし、本当にそうだとしても、
〝その爆発って何がどうなって起こったのか〟までは
ハッキリ詳しくは解んないし、だから、
〝無から有はありえない〟なんて常識も、
実は違って、それも、今までに、
自分や誰かが目で見た事しか信じられない人間達が
勝手に決めつけた事かもしれないでしょ?だから、この世界、
普通に考えたらありえなさそうな色んな不思議な現象も、
もしかしたら起こる可能性があるんだよ。だから、この世界には、
もしかしたら、〝魔法〟とかもあるかもしれないし、
実際に、それが使える人も、本当にいるかもしれないよ。
たとえば、昔は、誰も、〝ある〟って事さえも知らなかった
色んな科学的なエネルギーが科学者達によって発見されて、
それを使って、〝飛行機〟みたいな空を飛ぶ乗り物、
物凄い速さで走る、〝電車〟、あるいは、〝車〟、
もっといけば、ちょっとだけ昔の80年代の人達とかが、
昔だったら信じられないような、
俺達も使ってる〝スマホ〟とかがもう、当たり前のように、
俺達の生活にあるのが何よりの証拠さ!!!」と、泳は語る。
それを聞いた皆は、
「ちょっと、話が難し過ぎて、どういう事が解んない」と言った。
泳は、
「あ~、ごめん!!ごめん!!でも、これから、
中学校や高校でも、こんな感じの事、教えてもらうし、
そのうち、解る時が来るよ!!!」
「そっか!!でも、何か、それって、
考えたら凄くワクワクする!!!」と、遊舞以外の2人は言った。
その後もしばらく歩いて、
遊舞は、泳含め、また、他の子達と1人ずつ別れ、
最後は、また、遊舞だけが1人で歩いていた。
その時、遊舞は、その、さっきの、
泳が言った事について1人で考えていた。
「ん~。さっき、泳は、あんな難しい事言ってたけど、
良く考えてみたら、どういう事か、
解らないでもないな~。泳が言ってた機械が今、
当たり前のようにこの世界にあるのもそうなんだけど、
それだけじゃなくて、僕の大好きな〝Limitless Chance!〟から
アーチフィスが飛び出してきて、しかも、それで、
会話が出来るだけじゃなくて、現実でも操作出来て、
ゲームと同じように、魔法を使わせる事まで出来ちゃうなんて事が、今、本当に起こってるんだから」と独り事を言った。
しかし・・・・・・
「今日、1組で起こったっていうあの事は、
一体、何だったんだろう?」とも言った。
遊舞は、
「普通ならありえない現象が現実世界で起こる」という現象も、
既に、アーチフィスによって体験しているし、
また、アーチフィスによって、
現実世界で魔法を目の前で見ているので、
泳の言っていた事は、後々、冷静になって考える事で
理解出来たのだが、まだ、今日、昼休憩に遊舞の学校で起こった、
「どこからともない、良く解らない現象によって、
6年1組の生徒達がケガをした」という事件が、
まだどういう事なのか見当もつかず、その真相を知らなかった。
「ただいま~」
「お帰り~」
「うん」
遊舞は、自分の部屋に入り、今日、
学校で起こった不可思議な出来事について、まだ考えていた。
「う~ん・・・にしても、今日は、1組のヤツら、
大変だったな~・・・怖かっただろうな・・・でも、
僕の身にも起こるかもしれない。先生も言ってた通り、
気をつけないとな」
そして、宿題をした。
「フ~ッ!!今日の宿題も終わった~!!
あ~、そうだ、そろそろアーチフィスの姿を戻さないと。
アーチフィスは、僕のパートナーだから、ちゃんと、
僕のそばについてるよな?」
遊舞は、ランドセルからコントローラを取り出し、
アーチフィスの〝透明〟の魔法を解く。
〝シュン〟
アーチフィスが現れた。
「やっぱり、アーチフィスは、いつも、
パートナーの僕のそばにいるんだ!!」
「はい。私は、必要のない時以外は、なるべく、
あなたのそばにいます」
「そっか!!ついててくれてありがとう!!
アーチフィスは、強いし、頭も良いから、
そばにいて、頼もしいよ!!!」
「いえいえ。コレも、私の当然の務めです。
ここに来る以前から、
あなたが私の事を良く頼ってくださっている以上、
あなたは、私のご主人様なので」
「そっか!!でも、ありがとう!!!あ~!そういえば、
アーチフィス、頭が良いからさ、
明日から、代わりに宿題やってくれない!?
そうそう!何でこんな事、早く気づかなかったんだよ!!
僕は!!!」
「ダメです。不正はいけません」
「え~!!ケチ!!僕は、ご主人様なんだろ!!!」
「それは、そうなのですが、
倫理的に良くない行動を手伝うワケにはいきません。
ただ・・・・・・」
「ん?」
「教える事は、出来ます」
「ホント!?」
「はい」
「やった~!!!やっぱ、頼もしいぜ~!!!
アーチフィス!!!」
「いえいえ」