そして、遊舞は、学校に入り、自分のクラスの教室へ向かう。
そして、教室に入った。
「良し!!」
遊舞の教室では、担任の先生がいつものように、
ホームルームをしていた。
〝キーンコーンカーンコーン〟
「〝起立〟〝礼〟〝着席〟」
ホームルームが終わると、また色々な授業が始まる。
しかし、昼休憩になると、
遊舞の隣のクラスの「6年1組」の5人の生徒達が、
担任の先生がいない事を良い事に、
1人の生徒をいじめていた。
だが、遊舞は、
その時、運動場で遊んでいたため、
その事に気づかなかった。
「アッハッハッハッ!!!お前、いっつもいっつも、
ダサいし、地味なクセして、
先生の前で良い子ぶりやがって!!!
成績優秀の優等生だからって調子に乗りやがって!!!
ムカつくんだよ~!!!」
〝ドン〟〝ガン〟〝バン〟〝バコン〟
「やめてよ~!!!痛ッ!!!痛ッ!!!」
しかし、次の瞬間、いじめっ子達は・・・・・・
〝ボコ!!!〟
「え?アレ!?何だ!?今の!?」
〝ドカ!!!〟
「いってぇ~!!!まただ!!!一体誰が!?」
〝ボコスカ!!!〟
「ハァ・・・ハァ・・・さっきから何なんだよ!!!
まるで、見えないところから、思いっきり、
何度もパンチやキックをされてるような感じだ・・・」
そして、最後は思いっきり、まとめて吹っ飛ばされた。
〝ドンガラゴッシャーン!!!〟
「な・・・!!!何なんだよ!!!一体!!!」
いじめっ子達は、ビクビクしながら震えていた。
「に・・・逃げようぜ!!!ワ~ッ!!!」
〝トットットットットットッ!!!〟
そうして、いじめっこ達は、逃げて行った。
「フ~ッ!!!」
いじめられていた男の子は、ホッとしたが、
突然のその不思議な現象に、とても驚いていた。
「は~。助かったけど、一体、今の、何だったんだろう?」
実は、これは、アーチフィスのしわざである。
アーチフィスが透明になった状態で、
いじめられっ子の男の子を守るために、
いじめっ子達を殴ったり蹴ったりして、追い払ったのだ。
しかし、おかしいといえばおかしな事だ。
アーチフィスは、現実世界にやって来てからというもの、
喋ったり、歩いたり、食べたりなどの単純な動作は1人でするが、
今のところ、それ以外の、戦闘、魔法などの動作は、
遊舞の操作なしでした事はないし、それに、さっき、
「遊舞を守る」と言ったのも、それは、あくまでも、
遊舞がゲームで良く使っていた〝相棒〟のような存在で、
「遊舞は、〝プレイヤーという名のご主人様だから
守らなければいけないと思っている〟という使命感がある」
というだけだったからである。
なので、今の、
「遊舞以外の人を守ろうとした」というのは、
少し、不可思議な行為でもあったのだ。
もちろん、
アーチフィスがそんな事をしている事は、まだ、
遊舞も知らなかったのだ。
その後、昼休憩が終わり、5時間目も6時間目も終わり、
そして、またホームルーム。
担任の先生がこんな事を語った。
「え~、今日は、皆さんに、あるお知らせがあります。
今日の昼休憩に、隣の6年1組の、男の子達が、突然、
教室で、原因不明のケガをしたそうです」
それを聞いた遊舞は、
(え~・・・?どういう事だ・・・?)と思った。
「なので、皆さんも、注意してください。対策はありませんが、
いつ、どこで、また同じ事が起こるか分からないので、
それだけは、覚えておいてください」
(おかしな事が起こったんだな~)と、遊舞は思った。
〝キーンコーンカーンコーン〟
「〝起立〟〝礼〟〝着席〟」
その後、
遊舞は、いつものように、友達達と一緒に帰った。
今日、遊舞の下校を共にするメンバーは、
「宙尾泳」「音田奏」「十装演人」である。
すると、一緒に歩いていた奏が話しかけてきた。
「さっき、先生が言ってた、
1組で起こった事、一体、何だったんだろうね」
「さぁ・・・」と遊舞が答える。
しかし、そこで、泳が
「確かに、常識では考えられない事だけど、
ありえなくもないな」と言った。
そこで、皆、
「えっ!?」と驚いた。
泳のその一言に対し、皆、
「何で、ありえるかもしれないの!?」と言った。
泳は、
「俺、宇宙飛行士になるから、科学にも興味があって
勉強してる・・・っていうか、勉強しないといけないから
解る事なんだけど、この世の全ての事って、
実は、全部、当たり前じゃないんだよ」と言う。
すると、皆、また、
「どういう事!?」と言った。
「あのね、〝宇宙って爆発から生まれた〟って説は有名だけど、
もし、本当にそうだとしても、
〝その爆発って何がどうなって起こったのか〟までは
ハッキリ詳しくは解んないし、だから、
〝無から有はありえない〟なんて常識も、
実は違って、それも、今までに、
自分や誰かが目で見た事しか信じられない人間達が
勝手に決めつけた事かもしれないでしょ?だから、この世界、
普通に考えたらありえなさそうな色んな不思議な現象も、
もしかしたら起こる可能性があるんだよ。だから、この世界には、
もしかしたら、〝魔法〟とかもあるかもしれないし、
実際に、それが使える人も、本当にいるかもしれないよ。
たとえば、昔は、誰も、〝ある〟って事さえも知らなかった
色んな科学的なエネルギーが科学者達によって発見されて、
それを使って、〝飛行機〟みたいな空を飛ぶ乗り物、
物凄い速さで走る、〝電車〟、あるいは、〝車〟、
もっといけば、ちょっとだけ昔の80年代の人達とかが、
昔だったら信じられないような、
俺達も使ってる〝スマホ〟とかがもう、当たり前のように、
俺達の生活にあるのが何よりの証拠さ!!!」と、泳は語る。
それを聞いた皆は、
「ちょっと、話が難し過ぎて、どういう事が解んない」と言った。
泳は、
「あ~、ごめん!!ごめん!!でも、これから、
中学校や高校でも、こんな感じの事、教えてもらうし、
そのうち、解る時が来るよ!!!」
「そっか!!でも、何か、それって、
考えたら凄くワクワクする!!!」と、遊舞以外の2人は言った。
その後もしばらく歩いて、
遊舞は、泳含め、また、他の子達と1人ずつ別れ、
最後は、また、遊舞だけが1人で歩いていた。
その時、遊舞は、その、さっきの、
泳が言った事について1人で考えていた。
「ん~。さっき、泳は、あんな難しい事言ってたけど、
良く考えてみたら、どういう事か、
解らないでもないな~。泳が言ってた機械が今、
当たり前のようにこの世界にあるのもそうなんだけど、
それだけじゃなくて、僕の大好きな〝Limitless Chance!〟から
アーチフィスが飛び出してきて、しかも、それで、
会話が出来るだけじゃなくて、現実でも操作出来て、
ゲームと同じように、魔法を使わせる事まで出来ちゃうなんて事が、今、本当に起こってるんだから」と独り事を言った。
しかし・・・・・・
「今日、1組で起こったっていうあの事は、
一体、何だったんだろう?」とも言った。
遊舞は、
「普通ならありえない現象が現実世界で起こる」という現象も、
既に、アーチフィスによって体験しているし、
また、アーチフィスによって、
現実世界で魔法を目の前で見ているので、
泳の言っていた事は、後々、冷静になって考える事で
理解出来たのだが、まだ、今日、昼休憩に遊舞の学校で起こった、
「どこからともない、良く解らない現象によって、
6年1組の生徒達がケガをした」という事件が、
まだどういう事なのか見当もつかず、その真相を知らなかった。