シニアの青春

フロント9

 

 伊都タクシーの松山社長(59歳)と植木経理部長(53歳)は、明日のゴルフのことで頭がいっぱいだった。月に一度、山本親子とゴルフを楽しんでいた。山本志保(46歳)は、離婚後、伊都タクシーに勤務するようになった。もう、かれこれタクシーを流し始めて1年半ほどになる。娘のリンダはF体育大学1回生でゴルフ部に所属している。志保はゴルフ好きの社長にリンダが日本女子アマで準優勝したと話したところ、ゴルフ好きの社長は、さっそく親子をゴルフに誘った。そのゴルフがきっかけで親子は社長に気に入られ、社長のほうから親子をゴルフに誘うようになった。

 

 リンダは、子供のころから、ゴルフ好きの両親に連れられて練習場でレッスンを受けていた。いやいやながら打っていたが、10歳のころからドライバーが飛ぶようになり、次第にゴルフが好きになった。ジュニアで九州ナンバーワンになると、プロを目指してゴルフ部のあるF体育大学に進学した。ハーフのリンダは、174センチのがっちりした体格で、太ももの筋肉は男性並みの強靭さで、高速の左腰の切り上げは、プロ並みであった。

 

リンダも社長たちと一緒にゴルフをするのは、楽しかった。と言うより、母親のために接待ゴルフをやっていた。リンダのお尻は大きく盛り上がっていて、ミニスカートを穿いてアドレスをするとお尻が半分ほど見えていた。社長たちは、最初は見ないふりをしていたが、次第にリンダのはちきれそうなピチピチの肌に魅入られて、リンダのアドレスを凝視するようになってしまった。

 さらに、社長たちの目の前で腰を下ろしてパッティングラインを読むとき、社長たちの目にリンダの色白の股間が飛び込んでくるのだった。社長たちは、やはり最初は、目をそらしたが、いつの間にか、リンダの股間に釘付けにさせられていた。リンダは、ラウンドを重ねるたび、ますます、サービスするようになった。ゴルフのおかげで母親の給料がうなぎのぼりによくなったからだ。社長は、リンダとのゴルフを始めてから、母親にお客をより多く回すように配車係に命じていた。

 

社長室に呼ばれた植木部長は、社長のいつもの興奮した口調に相槌を打っていた。社長は、伊都ゴルフクラブのメンバーで、毎週ゴルフを楽しんでいた。「社長、調子はどうですか?」社長の前に腰掛けていた植木部長は、この夏社長が新しく買い換えた本間のTW717Pアイアンのことを尋ねた。社長は、笑顔を作り答えた。「すごいぞ、このヴィザードシャフト、7番アイアンで170ヤードは飛ぶ。こんなアイアンがあるとはな~」社長は、アイアンのヘッドを磨きながらにんまりした。

 

目を大きく見開いた部長は、驚嘆の声を上げた。「そんなに飛びますか。魔法のアイアンですね。さすが、本間ですね。いい買い物をされましたね」植木部長は、ヴィザードのシャフトをじっと見つめていた。社長は、もの欲しそうに見つめている部長にひとこと言った。「君も、本間にしてみてはどうか?」顔を引きつらせた部長は、右手を顔の前でひらひらと振ると、恐縮した顔つきになり答えた。「いや、そんな高級なクラブは、私のようなヘボにはもったいないです。社長が下さったクラブでも、もったいないくらいです」

部長は、社長が10年前に使っていたタイトリストのクラブセットを一万円で譲り受けていた。部長は、ゴルフは苦手で、社長にやむなく誘われていた。部長は、コースに出て5年にもなるが、いまだ100が切れないでいる。「社長、明日は、ベストスコアが出そうですね」社長は浅黒い顔に自信に溢れた笑顔を見せた。「でもな~、リンダの股間を見てしまうと、興奮しすぎて、ダフッてしまう」にやけた顔の社長の頭の中には、リンダのはりのある色白の内腿が浮かんでいた。

 

同じくにやけた部長は、軽やかな声で心にもないことを話し始めた。「社長、最近、ゴルフが楽しくなってきました。社長にゴルフを教えてもらって感謝しています。明日のゴルフが楽しみです。明日こそは、100を切ります。見ていてください」社長は、部長の下心を見抜いていた。「そうか、楽しくなってきたか。俺のおかげじゃなく、リンダのおかげじゃないか」部長は、心を見透かされ、顔を真っ赤にした。

 

急に立ち上がった社長は、クラブをキャディバッグに入れると、腕時計をちらっと見た。「まだ、2時だ。もう少し、アイアンを打ち込まないと。部長、ちょっと付き合ってくれ」社長は、部長にアコーディアに行く準備を指示すると、社長の愛車、ブルーのポルシェボクスターに二人は乗り込んだ。アコーディアに到着すると、一階のいつもの29番に向かった。社長は、7番アイアンで160ヤードのピンを狙って、軽くボールを打った。「社長、いい感じですね。グリーンをとらえていますよ」

 

社長は、ドヤ顔で部長に答えた。「球はよくつかまるし、ボールも高く上がる。これだったら、75が出るかもしれないぞ。植木」社長は、ボールをマットの上に置くとまた打ち始めた。リンダとラウンドするようになって、時々OBするようになっていた。リンダの股間が目に浮かぶと、興奮しすぎて、力んでしまうのだった。椅子に腰掛けた部長は、じっと社長のスイングを後ろから見つめていたが、リンダの股間の奥にちらっと見える赤いショーツを思い出していた。

 

翌日、8時30分スタートの山本親子と社長と部長は、341ヤード、パー4の1番ホールのティーグラウンドに集合した。社長がオナーに決まると、さっそく右手でティーアップした。三人が打ち終えると、最後にグリーンとピンクのチェックのミニスカートを穿いたリンダがアドレスに入った。お尻を突き出すといつものように色白のお尻が半分露出した。大きくテークバックし、トップに来た瞬間ダウンスイングに入った。一気に振りぬかれたドライバーは、オレンジのボールを280ヤード先までかっ飛ばした。

 

社長と部長は、感嘆の声とともに拍手を送った。ダイナミックな腰の切り上げでひらりと舞い上がったスカートの中からピンクのショーツが一瞬現れた。ショーツの残像に呆然と立ちすくむ社長と部長を母親の志保はいつものように微笑みながら後ろからそっと眺めていた。四人を乗せたカートは、約200ヤード地点に志保を運んだ。リンダと社長はPWでパーオン。志保と部長がスリーオン。一番遠い社長からパットを始めた。ワンピンに載せたリンダが、パッティングラインを読むために何度も腰を下ろした。

 

春日信彦
作家:春日信彦
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