実は甲斐国一之宮の浅間神社は、鉄道を利用すると非常に行きにくい場所に存在しているのだ。
乗車して運賃を支払う際に「甲斐一宮まで」と言うと、運転手から「通りません」という返答。
あれ? と首を傾げたら、追って「一宮バス停には止まります」との注釈。
それそれ! と納得し、相模湖→一宮の運賃850円を支払う。
ここで逆に「高速バスを利用するのなら始発の新宿から乗車すればよかったのでは?」という疑問も湧こうというもの。
実は今回の巡礼には「青春18きっぷ」を利用したので、高速バスと最も効率的に併用するため、相模湖までJRを利用した次第だ。
師走という時期と早朝という時間帯の割に、バスの車内は閑散としている。
というより、この時期にしては高速道を走るクルマの通行量そのものが著しく少ない。
乗客を疎らに積んだバスは、スカスカの中央道を西へ向かって順調に走っている。
しかし、バスは大月インターで中央道を降り、一般道の国道20号線に入った。
その理由も、車内が閑散としていた訳も、クルマの通行量が少なかった原因も、すべてここにある。
平成24(2012)年12月2日、笹子トンネル内で発生した天井板落下事故。
トンネル内に吊り下げられていたコンクリート製の天井板が、突如100メートル以上に亘って崩落。
走行中の車両が巻き込まれ、9名もの犠牲者が出た史上最悪のトンネル事故である。
まだ事故の発生から日も浅く、復旧工事は緒についたばかり。
このため全ての車両が大月インターで降ろされ、一般道の走行を強いられているのだ。