まえがき
前作「東海道・東国編」に続き、西国八州(甲斐/駿河/遠江/三河/尾張/伊勢/志摩/伊賀)を巡った「西国編」を上梓いたしました。
東京在住ゆえ東国の諸御宮は日帰りで参拝できましたが、西国ともなれば日帰りというわけにもいかず、どうしても宿泊を重ねて巡礼することになります。
まさに本書のタイトル通りの「一巡」…一之宮巡礼の旅を実現するに至りました。
今回の旅で苦労したのは、甲斐國一之宮「浅間神社」と遠江國一之宮「小国神社」でした。
共通しているのは、どちらも鉄道駅から遠く、しかもバスの便がないこと。
自家用車での参拝が常識となった昨今、それを使わないのは非常識なことかもしれません。
しかし「巡礼」とは宗教的な儀式であり、古来より洋の東西を問わず苦行が付き物。
モータリゼーションに支配された昨今のほうこと、そうした本来の意味での「巡礼」を行うのに相応しい…そんなパラドキシャルな時代となりました。
続刊「畿内編」も取材は終えているのですが、いつ発刊するのか?
できれば年内に発刊したいと思ってはいますが、それは神様の思し召し。
末永く、気長にお付き合い頂ければ幸いです。
平成26(2014)年9月20日
経堂 薫