WARNING MARK 2 -廃棄物テスト-

  人間に出来る事は、何もなかった。
  人を助けようにも時間がないし、人数が多すぎた。
  風が目に映った。
  ガラスの破片、外壁のコンクリート片、粉砕した数えきれない程の物が風の流れを作った。
  瞬間的に物を噛み砕き、バリバリバリと音を立てていく、人間が目にする所々を超極細バーコード模様化して見えなくしていく。

  壺の内側をそこかしこに剥がれ落としていくように浸食してゆく。
  真上は、青空が見えていた。
  見上げれば《神》が居て、顔を戻せば、目の前に《悪魔》が居た!?
  いや!? 悪魔が消えた!? 何も起こらなく成った。
  風も止んだのである!?
  夢を見ているか、キツネに摘ままれたようだった。

  安堵と同時に緩やかな風が頬をかすめた、右手で右頬を触ると同時にゆっくりと天を見上げた。
  ドーンという身が縮まる程の凄まじい音に周りの人々は、離れて行った。
  SWAT隊の一番威勢のいい男が雷に射たれた。
  一瞬にして体中に細かい電気が走る、両手を広げた、炎が上がり膝から折れ、そして背中から倒れ落ちた。

  風が強く成り、一つ目の竜巻が、倒れたSWAT隊員一人をマジックのように宙に浮かせ、空中を舞ませ、天高く飛ばされて行った、次第に二つ目、三つ目と竜巻ができ、バイクや車を中空に引きずり込んで行った。
  人間が逃げ惑うと同時にまたハリケーンが作られていく。

  あっという間に砂嵐の中にいる感じに成った。
  目が開けられなく成り、眼前を手でかばう。
  しかし、手に何も当たらなくなり、音が無くなり、視界が開けたのだった。

  そしてSWAT隊の一人は、見てしまっていた。
  子供が居ない、大人ばかりの周囲の中にスローモーションで迫って来る、見た目大きなブロック状の細長い針型の赤いマグマが。
  ジュー、体中が小さく溶けたり、燃えたりしていく。
  悪夢の中なのか、地獄へのカウントダウンが刻一刻と経っていった!?
  逃げる余裕が全く無かった・・・・・・。

  また他のSWAT隊では、右から左から凄まじい風!?の中で、いや凄まじく多くのスズメ蜂の中で隊員達は、虫と戦っていた。
  倒れていく者が多く成っていく中で突然 居なくなり、無風状態に成った。

「あア~っ」
「ふうっ、ふうっ、ふうっ」
  ウグッ、みな唾を飲み込んだり、慌てふためいたりして心臓をドキドキさせたり、体をばたつかせたりしていた。

  しかし、気を抜いた一瞬の間に全てのSWAT隊員や民間人は、頭を目掛けてぶっ飛んで来た二段式の横に数本の釘が出た半面の仮面に人間達は、手当たり次第相手を倒す殺人マシーンに変貌していった。

  アンドロイドゾンビだった。
  敵味方関係無く倒していく、レーダーに引っ掛からない、たちの悪いマシーンがハリケーンの中でうごめいていた。
「う~」
「アア~」
と何処からか飛んで来る手に合体するオゾマシイばかりの武器に叫んでいた。
  地上の廃棄マシーン、被害者を増やしていく。

  ハリケーンは、大きく膨れあがって巨大化した。
  そして人が歩く速度程度で都市に向かって移動し始めた。
  物を壊しながら天高く吸い上げ、落として廃棄物にした。
  《廃棄物が多くの廃棄物を創作していく》
  圧倒されたその後、敵に逆探知され、不意をつかれ、妨害電波の出たリモコンモーターグライダーにより、指令本部は、爆破された。

  子供を助け、避難した大人達が走っていた。
  猛風吹のやや和らいだ中 障害物に襲われていた。
  草花を掘り起こすように天高くから遠心力を使って斜めに色々な車やビルの大きな破片が地面に突き刺さって来た。
  そして地下鉄の列車や貨物列車が地面から、風によって吸い上げられ、逃げていた大人達をみな突き飛ばしていった、大惨事が渦の中で起きていた。

迷 彩映 (mei saiei・メイ サイエイ)
WARNING MARK 2 -廃棄物テスト-
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