リタイヤメントのための知的生活

第一章( 5 / 12 )

第一章 自宅に一人になれる場所をつくる

5.自室になるような部屋が無いときには・・・


●家族のいない時間帯と部屋を自分用に独占使用する

もし自宅に一人になれる自室を持つことができなくてもまだ「一人になる手段」はあります。家族がいないリビングやダイニングを使うことです。家族の寝てしまった後のリビングやダイニングは自分一人のスペースにできます。そこで本やノート、道具を広げて知的な作業をすることは十分可能です。


●自宅フレックスタイムで自室的な時間を得る

 そのために、時差生活をしてみましょう。奥様が起床するより数時間後に遅い朝を迎え、夜は奥様の就寝より数時間遅くする。その数時間のリビングやダイニングの営みこそが、知的作業を支える時間帯になるのです。 もっともそういう夫婦時差生活を送るためには家族の理解が必要です。しかしそんなに難しい理解ではありません。もしかしたら「一人になりたい時間を作りたい」という表現が家族にとっては「家族は邪魔だ」と誤解される可能性があります。そうではなく「思索の時間が欲しいのだ」と説得しなければなりませんが、その誤解さえ解ければ、自宅に自室は無くても思索の時間が作れるようになります。 夜中を知的作業に使うアイデアの他、家族が出勤中の留守の間なども同様に活用できるでしょう。

第一章( 6 / 12 )

第一章 自宅に一人になれる場所をつくる

6.自分の机と自分の椅子を部屋に置く


●何はともあれ自室に机と椅子を置く

一人の部屋はよく言われる「男の隠れ家」。女性も同好の指向があれば隠れ家の部屋を持つことでリタイヤ後の知的活動は、楽しく充実したものになるに違いありません。部屋には机と椅子が必ず必要です。その部屋でどのような作業をするにしても、その基盤となる道具が机と椅子です。机はできれば広いものを用意したいところですが、自宅に余っている、例えば子供が長年使っていた机を流用するのもやむを得ないでしょう。有るものを有効利用することは、有るものを捨てて新しい見慣れないモノを買うより気分は和みます。 その机の大きさに不満なら、もう一つ別の台を机の脇に置くことにしましょう。


●机は大きなものを、椅子は二脚を

知的作業に一旦とりかかると、紙やパソコン、広げたままの本などを一時的に置く場所がどうしても要ることが起こります。そのようなときに置くべき場所が机の上に無い場合に台が無いとイラッとなります。 料理中に盛りつけた皿を置く場所が手元に無いときを思い浮かべてみると、そのイラッとする気分が推し量れると思いますが、自室で書き物をしているときもまさに同じ気分になってしまいます。 広めの机、または書類や本が置ける台が部屋には必要です。 椅子も二脚、種類の違うものを配置します。疲れたら椅子を代えると気分転換になりますし、空いている椅子に両足を載せればくつろぐことも可能です。

第一章( 7 / 12 )

第一章 自宅に一人になれる場所をつくる

7.自室にベッドは置くべきでない


●ベッドは知的活動に向かない

ベッドを置くと室内を狭くするだけでなく、活動をしようとする気分を萎えさせる効果も運んできます。ベッドを見たら寝転びたくなる。そういう気分は知的活動には向きません。室内には知的好奇心を強める備品だけを置くようにします。 もし自室の中で寝転ぶ必要があるのなら、床に寝転ぶようにします。畳敷きでもフローリングの床でも、寝心地があまりよろしくないから、寝転んでいても頭は冴えたまま維持ができます。


●自室はいつも仕事するムードにキープする

自室の目的は一人になって思索を行い、アイデアを湧き出させる場所ですから、副交感神経が働きすぎてしまわないよう、仕事をする雰囲気にしつらえなければなりません。 もし「自分はベッドの上で、朝目覚めた直後に良いアイデアが浮かぶような性格の持ち主だ」という場合は、自室とは別の寝室枕元にメモを置き。そこにアイデアを書きとめるようにします。あくまでも自室は仕事の場所としておかないと、リタイヤメントライフにつきものの、ダラダラ生活になってしまう危険があります。

第一章( 8 / 12 )

第一章 自宅に一人になれる場所をつくる

8.本と本棚を置く


●本の背表紙を眺めるとアイデアが湧く

自分のために購入した本は、自分のために用意してしつらえた部屋に本棚を置き、そこに集中して並べましょう。全部の本の背表紙が机の前に座った位置から見えていることが理想的です。自分でお金を出して買った本は、たとえ内容の記憶がおぼろげになっても、その本の背表紙のタイトルを見ただけで印象に残った記述の一端を思い出せるものです。従って考え事をするときに、自分で買った本の背表紙は集中力を引き上げてくれることがよくあります。だから本の背表紙がいつも見えていることが大事なのです。 さらに本の背表紙に書かれた本のタイトルは、見事なキャッチフレーズになっていますから、書きたい文章の良いタイトルがなかなか思い浮かばない場合の助けにもなります。


●本棚は机の横に、倒れ止めして設置する

本棚にする棚は、本専用のものが一番収納効率が良いので、他の棚の流用はしないで購入するとしましょう。置く場所はできれば机の前に座った位置から手を伸ばしてその多くに手が届く場所がいいです。しかしこの場所は机の真横、つまり自分の真横にもなりますから、本棚の倒れ止めは必ずしておきましょう。本棚と天井の間に転等防止の突っ張り棒を挿入するか、本棚後ろの壁にL字型金具と木ネジを使って本棚を固定するのが良い倒れ止め方法です。 リタイヤメントになって知的活動に力を入れようとする人は、その本棚横にこれから長い時間在席することになりますから、大きな地震の揺れに遭遇する悪いチャンスは少なくないです。せめてそのような不幸中は本棚から転がり落ちた本のみが体に当たる程度に被害を軽減する方策はとっておくべきでしょう。

大庭夏男
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