リタイヤメントのための知的生活

第一章( 1 / 12 )

第一章 自宅に一人になれる場所をつくる

1.知的な生活をつくるには、一人になれる場所が欲しい


●お金をかけずに知的な生活の場所をつくる

知的なリタイヤメントになるためには「一人になれる時間と場所」が必要です。そういう時間と場所を使うことができれば、思考やめい想を毎日の日課にすることができます。まず手始めに「お金をかけずに思考やめい想をするにはどうしたらよいか?」について考えてみましょう。 キーワードは「お金をかけずに」です。お金をかければ何でもできますから、「お金を使って・・・をする」の考え方は知的な生活を手に入れる練習にはなりません。お金をかけないで思考やめい想ができる自分だけの手段を見つけたなら、そのとき考えた手法や手順は一生使えるでしょうから、一生お金のかからない、知的質素なリタイヤメント生活ができる可能性を秘めています。まずそう考えることから始めてみましょう。


●日常には意外とめい想できる場所がある

「思考やめい想」をする時間と場所は、一人で居られることが必要です。これは家族団らんのリビングルームにいる時間では難しいです。家族や友人とのコミュニケーションはもちろんリタイヤメントにとって欠かせませんから、こういう時間を削るのはよくありません。だから他の時間と場所を探します。 風呂の中、トイレの中、ベッドに入ってから眠るまで、あるいは朝に目覚めてから起き上がるまで、バスや電車の中、こういうアイデアがたくさん頭に閃いてくるようにすることが、知的なリタイヤメントになるための練習第一歩です。

第一章( 2 / 12 )

第一章 自宅に一人になれる場所をつくる

2.自宅に自分の部屋を探すことから始めよう


●自宅では「自分の部屋がどうしても必要」

自宅に、一人きりになれる部屋があることは「思考やめい想」をしたい知的リタイヤメントにとって必須になるだろうと思います。リビングやダイニングではダメかと聞かれれば「それではダメでしょう」としか答えられません。理由はそこには自分の他に家族がいて「思考やめい想」で思い巡らせることとはかけ離れた会話や気配がそこにあるからです。


●会社でできた「考え事」を自宅でするのは難しい

会社のデスクもきっと大勢の同僚に囲まれた場所にあることでしょう。家庭のリビングやダイニングも自分以外の家族に囲まれた場所なので、自分以外に人がいることは似ていますが、会社のデスク周辺は皆の行動が揃っているので思考の邪魔になることは少ないです。 たまに周囲で誰かが仕事を離れたプライベートの会話を始めると途端に仕事の邪魔になるように、自宅のリビングやダイニングで話される会話やテレビの声は、今考えたいことを邪魔する存在になってしまいます。 それを防ぐには、できれば自室を持って、そこに一人でいられる、ある程度長くまとまった時間を作らなければなりません。

第一章( 3 / 12 )

第一章 自宅に一人になれる場所をつくる

3.子供が巣立った後の部屋を手に入れて自分の部屋とする


●子供部屋をしつらえ直す

子供が自立して巣立ってしまったら、もはやその部屋を子供のために確保しておく必要はありません。子供の所有物は、子供の了解を得て処分するなり物置に移動するなりして、自分の部屋に変更します。部屋のムードはそこにいるときの心地良さに影響しますから、部屋の照明の色を電球色に変えたり、壁に絵を飾るなど工夫して自分好みに仕立てます。


●ベッドは部屋に置かない

多分子供の使っていたベッドがそこに置いてあると思いますが、部屋にベッドがあるとどうもいけません。ベッドに寝転びたくなる衝動に勝てません。そうなると折角の思考とめい想のための自室が、単なる昼寝の部屋に格落ちしますから、ベッドは処分してしまいましょう。


●狭い部屋は知的活動向き

ベッドが置けるような部屋は広いので、落ち着かない雰囲気が出る可能性があります。広くて何もない部屋は、くつろげるかもしれませんが、思考やめい想のためにはモノがある部屋の方がいいのです。 不便でない程度に、本棚や道具棚を部屋に持ち込み、見えるところに本や道具がたくさんある部屋にするとインスピレーションが湧く部屋となってきます。

第一章( 4 / 12 )

第一章 自宅に一人になれる場所をつくる

4.物置のための部屋を自室にしたらどうでしょう


●物置部屋を自分の部屋にしつらえる

自宅に空き部屋が無い場合は、納戸やロフト、あるいは屋根裏部屋に候補を見つけます。納屋やガレージでも良さそうです。むしろそういう場所こそ「男の隠れ家」的ムードが漂うため、自宅という家族団らんムードと一線を画すリタイヤメントのための特別な部屋に仕立て上げられます。


●四畳半の部屋が自室にできればベスト

そのような部屋は狭いでしょう。しかし狭さは必要です。なぜ四畳半の部屋がこんなにも普及したのか、その理由は経済的なものだけではありません。 四畳半という部屋の利点は、手を伸ばせば何にでも手が届くということにあると言ってもいいでしょう。そこにあるモノは全部知っていて、本でも道具でも「それが必要だ」と思ったとき、すぐにそいつに手を伸ばすことができるのです。だから思考を中断せずに今必要なモノを取ることができる実用的な部屋なのです。もしそれを手にするために、席を立ち、歩き、探し、手に入れて戻って来るようであったら、折角のおぼろげに考えていた消えそうなアイデアは、もう消えてしまうことでしょう。

大庭夏男
リタイヤメントのための知的生活
0
  • 350円
  • 購入

3 / 40