そこへ 「 どうしたの? 」と おかあさんがやってきました
「 なかに おばけがいるの まくらのおばけ 」
「 みてごらん なきまくらが いるんだよ 」
と ふたりは おしいれを ゆびさします
「 まあ ほんとうに なつかしい こどものころ いらいだわ 」
おかあさんも中をのぞくと
まくらたちはびっくりして おしいれのおくに かくれていました
「 さあ おいで・・ こわくないよ・・ でておいで 」
おとうさんは やさしい声で まくらたちによびかけると
そのうちのひとつが おそるおそる でてきました
「 さぁ いいこだね・・ 」
おとうさんは でてきたまくらをだきよせ やさしくなでながら しずかにいいました
「 なきまくらはね おおきな音や さわがしい声が にがてなんだ
だから こうやって しずかにやさしく なでてやるんだよ 」
「 そうするとね・・ きもちのいいこえで なきはじめるんだ
ほら・・ きこえるかい? なきはじめたよ・・ 」
ゆめちゃんが 耳をすませていると なにかきこえてきました
ごろごろ・・ごろろ・・ ぶるんぶるん・・・
ごろごろ・・ごろろ・・ ぶるんぶるん・・・
「 ほんとだ・・ ないてる 」
「 こどものころには どこの家にも よくきていたけどね 」と おとうさん
「 おしいれのあるいえが へったせいかしら 」と おかあさん
ふたりは なつかしそうに まくらのこえを きいています
しばらくすると ようすをうかがっていた ほかのなきまくらたちも でてきました