ひねもすのたり

「帰れないヨッパライたちへ」きたやまおさむ著~ウラとオモテと依存症

「世間を歩くときは仮面をつけて行け。むやみに人と争うことはない。」これは20世紀の巨星、oshoの言葉であるが、私たちは大人になるごとにこういった処世術を身につけてゆくものだろう。つまり「ウラとオモテ」である。

ところで、精神科医のきたやまおさむ氏は、著書「帰れないヨッパライたちへ」の中で、人間には「オモテ」と「ウラ」があり(いわゆる本音と建前のこと?)、その「ウラ」を置いておける、預かってくれる第二者が必要、つまり居場所がなければ人は生きられないと言う。私にはまさにその第二者がない。精神科医が(守秘義務もあるから)第二者になり得るだなんて何の幻想を彼は語っているのか?たとえば私は主治医には「ウラ」を預かっておける存在としての価値がないと思い、もう何年も主治医と会っていない。もちろん友人も一人も居ない。そういう意味でも私は「完全に」孤独なのである。つまり、きたやま氏に言わせれば私には第二者が居らず、生きていられないのである。

第二者の居ない者は(と言うか誰でもそうなのだが)何らかの依存症になるのかもしれない。たとえば私は処方薬に依存し、ラジオに依存し、twitterなどコンピュータに依存するなどして生きている。つまり人間にとって、悟りでも開かない限り、第二者などあり得ないのだ。依存は生きる上で必須というか必ず付きまとうものなのだ。逆に言えば生きるということは依存するということなのだ。


P1000151.JPG

度量

古くはたとえば諸行無常という言葉がある。よく生態系を変えてはいけないと言うが、生態系も自然の大きな流れの中で変わるものだろう。ましてや人々の営みなども世のシステム(仕組み)も政治勢力も時代とともに変わるものだ。ダーウィンの進化論が本当だとすれば、そうでなければ私たち人類も存在すらしなかっただろう。宇宙は途方もない歳月をかけて変わり、繁栄しまた滅びる。そういったものを進化と呼んできたのはある意味で人間の勝手な思い込みで、実はただ時間が流れただけのことかもしれない。2009年総選挙において日本国民はみずから政権を本格的に変えることを選び、そして3.11を経て、いま私たちは後悔していると言う。そのこと自体が万物流転に比べればなんと小さなことだろう。人は歳を取りやがて死ぬ。その繰り返しを歴史と呼ぶらしい。度量を大きく持ちたいものだ。

NHKラジオ放送の不適切内容について~2012年9月2日23時台のラジオ第一放送

23時台の当放送はその内容において通称「潔癖症」と呼ばれる精神障害を持つ者の人権を広くかつ著しく侵害したと思う。具体的には潔癖症がまるで本人の心がけや努力などで治せるかのような誤解に基づく放送をし、精神障害者を広くかつ著しく叱責するなどして、その人権を侵害し差別に当たるような放送をしたと思う。当然そのことによって当該精神障害者の心情を広く傷つけ、障害者差別に当たるような放送をしたと思う。また広く世間一般に精神障害に関しての誤解を与えたと思う。


上記とほぼ同じ内容の文章をNHK(日本放送協会)およびBPO(放送倫理・番組向上機構)に送付致しました。

最新型エアコンとその工事人

この夏自室のエアコンを新しくすることにしました。

ひとつの理由は近年の異常気象が心配になってきて、暑くなるにしろ寒くなるにしろ強力なエアコンが欲しくなったということ。もうひとつはもちろんより省エネタイプへの買い替えという意味です。

ちょうど7年ぶりのエアコンの買い替えはもちろん2012年型のかなり強力な、しかも超省エネタイプのものを選びました。
全財産を使えば自分のカネで買うことも出来たのですが、父に打診したところ工事費込みで15万円までなら出してくれると言うので、はじめはなるべく近所の電気店で工事費込みのものにしようと思っていたのですが、そうすると狙いの5.6kwタイプでそれなりとなると20万円近くするので、方針を変更しました。つまり本体はインターネット通販で激安を買い、工事は昔頼んだところに別発注にすることにしたのです。
結局、T社のものを10万円弱で買い、工事費は4万円弱だった。
この工事屋さんが年配の男性なのだが(それでも7年ぶりに来た彼に訊いたら60代半ばということ)、私は7年前の時の彼の仕事ぶりと垣間見えた人間性が気に入っていた。一見のろくてぐずぐずしているように見えるのだが、終わってみると確実に完璧にほぼ時間どおりにピタリと決めて見せるところが実にベテランらしく、かと言ってもちろん最新型の機種についての知識も万全で、一方人間的にも一風変わっていて、実に飄々(ひょうひょう)と自分の仕事を楽しんでいるように見えた。私はそういう彼の人間性が気に入っていたので、実は工事会社は私の家から結構遠いのですが、わざわざ出張料を払ってまで彼に頼むことにしたのです。
そういうわけで今回も彼の仕事は完璧で相変わらず飄々としたものでした。「この機種は超省エネだよ」と言いながら、仕事を終えた彼は疲れた様子も見せずに「じゃあまた7年後!」という台詞を残し、そして私は「がんばってください!」と返して、飄々と帰って行きました。

しかし私の自室(5畳ほどの洋間)には18畳用の5.6KWのエアコンは、彼が帰ってからいろいろとやっているのですが、今度は試されているのは私の使い方というか新しい機械の調子を伺いながらの腕の方で、少し慣れるまでかかりそうな気配であるのです。

私は、まるであのベテラン工事人が「あんちゃん、ちゃんと使いこなせるかい?」と笑っているような気がしているのでした。

 

篠田 将巳(しのだまさみ)
作家:shinoda masami
ひねもすのたり
0
  • 0円
  • ダウンロード

52 / 71

  • 最初のページ
  • 前のページ
  • 次のページ
  • 最後のページ
  • もくじ
  • ダウンロード
  • 設定

    文字サイズ

    フォント