価値組という生き方

価値組としていきるための16の法則( 8 / 17 )

8 自分の本質を見極める

あなたが一度きりしかない人生の中で、本当にやりたいことはなんだろうか?

 

 この問いに、今一度あなたの思っている素直な気持ちを当てはめて向き合って欲しい。本当にやりたいことをやって生きているのか。それとも、嫌々今の人生を送っているのか。

 

 ワーキングプアの問題でも取り上げたように、価値組にワーキングプアは存在しない。この言葉に少し違和感がある読者もいらっしゃると思うので、これを更に深く掘り下げる。

 

 あなたの本質がどのようなものなのかをじっくりと検討した時に、あなたは「仕事に価値を見出す」のか、それとも「生活に価値を見出すのか」、それともその両方なのかを検討材料としなければならない。

 

 よく「お笑い芸人」の話がテレビで放映される。厳しい下積み時代、年収が100万円程度の生活を強いられ、もしくは無収入に近い状態の芸人の卵がいる。経済的な尺度から見れば、低収入で、ほんの一部の芸人しか華を咲かせることができない芸能界で、このような低賃金で頑張り続ける芸人の卵たちは、よく耐え忍んでいるなと思う方もいるはずだ。将来に対する「不確実性」が高すぎるのに反し、年収が低い。しかし、彼らのほとんどは、「人を笑わせる仕事」に自らの価値を置き、低所得で生活をしている。

 

 もし、彼らが「人を笑わせる仕事」よりも、快適な生活を求めた場合、当然仕事よりもプライベートが優先されてくる。プライベートでお金がかかるような場合には、それなりの仕事をしなければならない。このような低賃金での下積み時代を過ごしたくなければ、とっくに違う仕事をして暮らしているだろう。

 

 また、お笑い芸人で「人を笑顔にする仕事」がしたいのであれば、何も「お笑い芸人」でなくてもできる。例えば、ディズニーのバイトは、ほぼ時給1,000円以上になり、更に「お客様を笑顔にする」という使命を果たさなければならない。価値を少し移転しただけでも、違いが出てくる。

 

 また、「本当に人を笑わせたい」という価値観があなたの根本にあって、介護の仕事をしたとする。介護の現場で高齢者の方を、あなたの生まれ持った明るい性格でずっと「笑わせ続けることができる」可能性もある。介護を受ける方にとっては、とても幸せなことだ。

 

 つまり、お笑い芸人を目指すのであれば、あなたの本質は、「人を笑わせたい」、「テレビ番組や劇場等のステージの大勢の人の前でお笑いを提供したい」、そして「お笑いで将来売れっ子になりリッチな生活がしたい」などと複数の要素が絡み合っていなければ、あなたの価値観と目指す仕事がミスマッチする。そして、当然ながら、あなたの本質とその仕事があっていなければ、「嫌々お笑い芸人をする」という結果になる。

 

 本当にやりたいことをやれる幸せを感じることができなければ、あなたの価値は最大限発揮されていないことになるのだ。

 

 一般的な生活を送り、プライベートを重視したいので、仕事は正直なんでもいいという方もいらっしゃるはずである。普通に結婚して、普通に子どもができて、生活は決して楽ではないけれども、コツコツ節約して貯めたお金で年に1回は家族旅行をすることが、あなたにとって一番価値があることならば、あなたはそれをすべきであるし、誰もあなたを止める権利はない。

 

 自分の本質を見極めることにより、価値有る時間の配分が、おカネを稼ぐことに回るのか、それとも自分自身のやりたいことをやるために使うのか、それとも家族のために使うのか、それぞれのタイプによって異なってくる。

 

 「あなたが一度きりしかない人生の中で、本当にやりたいことはなんだろうか?」

 

 という質問は、あなた自身の本質を探し出すのに有効な問いである。自問自答して、あなたなりの答えを出して、価値を与え、価値のある時間を過ごして欲しい。そのためには、自分の本質を見極める必要がある。

価値組としていきるための16の法則( 9 / 17 )

9 いつでも夢を描く

夢」に年齢制限はない。いくつになっても、「夢」を描くことが重要である。そして、その「夢」が現実のものになるように、最善を尽くすのが価値組の生き方だ。

 

 もし、あなたが「めちゃくちゃリッチになりたい」という夢を描いたとする。当然、この場合おカネを稼ぐために、血眼になって働かなくてはならない。手っ取り早くおカネを稼ぐには、起業して会社を上場させて、IPO(新規株式公開)させることが良い方法の一つだと私は思う。

 

 価値組は、金銭の多い少ない(多寡)では、勝負をしないって言ったじゃないかと思う読者の方がいらっしゃってもおかしくない。だが、価値組は、別に勝ち組、負け組の構図で生きたい人を止めはしない。おカネを稼ぐことに価値があれば、どんどん稼ぐべきだ。

 

 「夢は、必ず叶うというのはウソであり、成功したものだけが言える言葉」だと思ったら、それは大間違いだ。

 

 夢は、叶えるためにある。

 

 例えば、あなたが今30歳で、今まで一度もサッカーをやったことがないのにも関わらず、サッカー選手になりたいという夢を描いた場合、これは無茶な話なのだろうか。仮に、サッカー選手になってオリンピックに出場したいといっても無理だろう。サッカーでオリンピックに出場するには、23歳までという年齢制限がある。しかし、サッカー選手としてはアマチュアで活躍できるかもしれないし、決して無理とは言えない。

 

 「いつか独立して、個人の居酒屋をやりたいんだ」

 「将来、何歳になってもいいから、世界1周のクルージングをしたい」

 

 といった具合に、現実のものになる可能性が非常に高いものは、大いに夢を描いて、追いかけるべきだ。少しくらい高い目標設定にしてもよい。夢は、価値の集大成だ。

 

 つまり、夢は、現実になるものでなければならない。夢を追うのであれば、それが現実となるものであることを立証する必要がある。

 

 どんなにどんなに努力をしても達成できないような夢は、あまり歓迎できない。非現実的なものは、価値ある時間を注力する意味がないのだ。例えば、30代半ばの人が、これからワーキングホリデーに行きたいと思っても、だいたいの国は30歳以下という年齢制限があり、ワーキングホリデーに行くことはできない。しかし、海外に住むこと自体には、年齢制限がないので、別の手段を用いて、夢を叶えることはできる。オリンピックのサッカーと一緒の話だ。

 

 しつこいようだが、価値組は、物事の本質を見極める。海外に住む方法としてワーキングホリデーという手段は使えないとしても、その他の手段を用いればいくらでもその夢を叶えることはできる。本質がわかれば、ハードルが高くても達成可能か、不可能か事前に判断できるはずである。

 

 夢を描くということは、描いた夢の中に、それを達成するまでの細かな道筋が示されているということだ。そして、いくつになっても、どんな状況でも夢を描いて、突き進むことは、価値組にとって重要なポイントとなる。

価値組としていきるための16の法則( 10 / 17 )

10 良いきっかけを与えてくれる存在を大切にする

価値組にとって、「きっかけ」はとても重要な行動要素だ。何かしらの影響がない限り、「きっかけ」は生まれない。

 

 先にも書いたとおり、人間の価値観は他人の影響を受け易い。良い意味でも、悪い意味でも。そして、その影響を受けて、初めて「きっかけ」が生まれる。人間が一人で「きっかけ」を見つけることは、至極難しい。自発的に「きっかけ」を作るのが難しい理由として、日常的な普段の生活というのはあまり変化がないことが挙げられる。

 

 普段の生活を思い起こして欲しい。仮に、あなたが、朝7時に起床して午前9時に出社をして仕事をしているとする。そして、日々の仕事をこなし、気づいた頃には夕方になり帰宅し、夕飯を食べ、テレビを観て、お風呂に入って寝る。そして、また次の日も同じことを繰り返し、休みの日には疲れきって家で過ごすか、あるいは友人とどこかへ出かけて食事をしたり、レジャーを楽しんだりする。そして、また仕事の日々に戻っていく。

 

 気が付けば、その繰り返しを何年も続けていて、それが日常的な普段の生活となれば、別に何かしらの「きっかけ」がない限り、新しいことにチャレンジしたり、またはあるものに価値を見出し、それに対して時間を費やそうとしたりは思わないはずだ。

 

 こうした普段の何気ない暮らしの中で、きっかけというものを自発的に見つけることは難しい。「当たり前のこと」を毎日しているので、「疑問」が生まれてこないからだ。

 

 矛盾が生まれるときに、価値観は大きく刺激されるとお話した。その何気ない普段の当たり前の生活の中で、何かに「疑問」を感じ、そして「矛盾」を感じることはあまりないと言える。

 

 ある日突然、「俺ってこんなことをしている場合なのか?」や「私は、こんな生活をしたかった訳じゃない」という半自発的ともいえるきっかけを作る矛盾は、自分の生活と別の生活を比較しなければ生まれない。つまり、何かしらの影響を受けて、今の生活とは違う自分の生活を想像することがなければ、こうした矛盾点は生まれない。誰かは、あんな生活をしている、誰かはあんなステキな人生を送っている。自分は、現状のままでいいのだろうかという疑問や矛盾は、比較によって呼び起こされる自らの価値観からの自分宛のメッセージだ。

 

 価値組は、勝負をしないと言った。しかし、比較は否定しない。比較して初めて価値観が大きく揺さぶられることは、ごく自然であるからだ。

 

 そして、社会的な責任であったり、人生の楽しみであったり、価値観が揺さぶられた時こそ、行動に出やすい。

 

 「俺ってこんなことをしている場合なのか?」と思った時に、これが社会的な責任が主因だったとする。例えば、東日本大震災で苦しんでいる人たちがいる時に、のうのうと暮らしていていいのかという矛盾や疑問は、老若何女問わず感じた人は多いはずだ。人は、こうした社会的責任を果たすために、新たな目標や生活の矛先を変えることができる。

 

 「俺ってこんなことをしている場合なのか?」と思った時に、これが自己に対する反省が主因だったとする。例を挙げれば、夜な夜なキャバクラに通って、遊び呆けていたとき、周囲の人たちは夜遊びをやめ、しっかり貯蓄をして生活をしていた。それに気が付いたときに、こういった自己反省に関する疑問・矛盾が生じる。もっとしっかりとして、貯金をして、親孝行をしたいと思うことで、自分の価値ある時間やおカネの使い方を正すことができる。

 

 これら2つの社会的責任、自己反省などは、誰かが社会的責任を負った生活をしている、自己反省しなければならないような行動を戒めるような生活を送っている人がいる。こうした規範できる人たちの存在が、私たちに良い影響を与えてくれる。

 

 こうした良い影響を与えてくれる存在を大切にしなければならない。もし、あなたが麻薬に手を染めたとするならば、誰かがあなたに麻薬を勧めなければあなたは麻薬という存在と関わることはない。それが友人なのか、或いは恋人なのか、芸能人の麻薬に関する情報を見ても、とても身近な存在が影響していることは明々白々である。

 

 身近な存在で、良い影響をもたらす人間との付き合いを重視し、その人を大切にする必要があり、また逆に悪影響しかもたらさない種の人間とは付き合わないことを徹底することが重要なのは、もはや言うまでもない。

 

 また、私たちには、テレビなどのメディアも影響を与えてくる。良い意味では、上記のような大震災のボランティア精神、痛みを分かち合う精神を刺激してくれて、寄付をしたり、震災に遭った地域の復興を願ってその土地の物産品を購入したりするきっかけを与えてくれた。非常によいきっかけだ。

 

しかし、悪い影響で言えば、青少年のテレビ暴力シーンへの接触量と暴力行為の経験との関連を見ると、テレビ暴力シーンへの接触量が多くなるほど暴力行為を経験している者の割合が多くなっている[i]というような間接的要因もあれば、テレビのニュースのコメンテーターなどで適当なことを有識者ぶって話をしている割にはその根拠が薄く、しかも間違った情報を流して直接的要因として影響を受けることもある。

 

例として挙げれば、福島第一原子力発電所から大量に放出された放射性物質の件では、かなり専門家と呼ばれる有識者の方たちの意見が分かれた。そして、こうした不透明な情報が入り組んで報道されてしまったことがきっかけとなり、風評被害が広がり真っ当な商売をしている方たちが苦労をされている。

 

こうした情報に対する自己防衛も価値組には必要だ。価値観は影響を受けやすい。良い方向への影響に対してはオープンに、そして悪い影響に対しては、自己防衛することが求められてくる。きっかけを与えてくれる存在を大切にして、良いきっかけを与えてくれる人を自分の傍に呼び寄せなければならない。



[i] 青少年とテレビ、ゲーム等に係る暴力性に関する調査研究http://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/tv/tv.htm

価値組としていきるための16の法則( 11 / 17 )

11 追われる立場から追う立場へ

価値組の行動では、「追われる」ことよりも、「追うこと」が重要なポイントになる。

 

「明日はあれやんなきゃだ、次はこれやんなきゃだ」と何かに追われているような毎日では、ゆとりが生まれることも少ないだろう。

 

 疲れ切ってしまうと、生活に余裕がなくなる。時間的余裕も、精神的余裕も。いつも張りつめた緊張感の中では、なかなか人間の価値観は有意義に働かない。あなたが、あなたらしく生きるためには、誰かに追われていてはいけない。あなたの夢や目標をあなた自身が追わなければならないからだ。

 

そのためには、自分だけの空間を作ることを心がける。できるだけ、「癒し・ヒーリング」といった要素が含まれていることが望ましい。お風呂でもいい。香りのよい入浴剤を使い、1日の疲れをお風呂に浸かりながらゆっくりと癒す。そして、もし何かに追われていたのなら、追う立場に方向転換できるように、疲れをリセットすることが求められる。

 

この空間は、あなたの価値観で判断をして欲しい。例としてお風呂を挙げたが、近所のカフェでもいいし、気の許せる友人が集まる居酒屋、見晴らしのいい公園。気持ちをリフレッシュする場所を見つける。空間といっても、場所でもいいし、時間でもいい。あなたが、あなたらしくいられるために、常にリセットをかけることを心がけてほしい。

 

 時間的にも精神的にも余裕がなくなると、「きっかけ」すら見落としてしまう危険性がある。すぐそこに本来やるべきことがあったのに、見過ごしてしまう。これでは、価値ある時間をただ浪費してしまう結果に陥ってしまいかねない。

 

 また、「追われること」と「追うこと」は、表裏一体で、コインの表と裏。本当は、夢や目標に向かって突き進んでいたはずなのに、いつの間にか自分がその夢や目標を達成しようと思うばかりに追われるようになってしまったら、方向性を失いかねないし、日々の生活が嫌になってしまうかもしれない。

 

 あまり急ぐ必要はない。あなた自身のペースで「追っている」と認識しながら前へ進んでいくといい。せっかく夢を描いたのに、せっかく良いきっかけで進むべき道がわかったのにもかかわらず、それを不意にしてしまうのは、この「追う」、「追われる」の違いが自分自身の中で区別がつかなくなったとき。

 

 ここは、とても価値組にとって重要な立ち位置であるからこそ、見つめなおすという行為が必要となってくる。

長谷川こうせい
作家:長谷川こうせい
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