エボリューションマン -英雄達の峡谷-

  正拳、裏拳、膝蹴り、肘による攻撃、回し蹴り、蹴込み、蹴上げ、いくら交戦しても致命打を与える事は、三人には、なかった。  エボリューションマン、マグママン、トラップマンのスピードや切れや威圧感のある戦い。
 秒速で形を作り、秒速でナノ微粒子に変化したりしてゆく。

  いつからか敵二人は、仁王立ちに立っていた。
「フッ、面白いね、お前」
  微笑んでいた。
  !? クッ・・・グゥッ・バ~ン・・・ナノ微粒子が瞬時に空気中でミサイルを作り出し、間近でエボリューションマンを急襲した。
  一体・・・二体、体が透明で追尾ロケットランチャーを左右に四つ持ったマシーンが十体同時にエボリューションマンを四方八方上下から忍者殺法で襲い掛かったのだった。

  弾が無くなるまで、死体確認が出来ない位にまで撃ち続けた。
  そこらじゅうで爆発音がしていた。
  爆発による煙や砂埃で視野では、全くどうなっているのか解らなく成っていた。

 次第に視界が開けてきた。
 そして見た物に目を疑った。
 空中に生き物のような流線型のロケット破片を残し、金属破片や残骸が微妙に散らかり止まっていたからだ。

  再度 目をしかめた。
「マジックか!? フッ、面白い・・・」
  クジラ!?の残骸を確かめるようにして手を触れていた。
  少し離れた所にエボリューションマンは、立っていた。
  マグママンが戦いの跡、流れを手で触りながら歩いていく。
「フフ~、貴様 何をした!? 面白い奴だ、気に入った。 ヤレッ」
  首をやや左に傾ける。

  突然 地球上でいう竜と虎と円盤が現れた。
  いずれの怪物逹も均等に並べられたダイヤモンドのような超硬い刃を内に秘めて持っていた。

  そして動物的!?な動きというか機械的!?な早い動きに動揺したのか、始めは、闘牛士のように紙一重で交わしていたが、やはり次第に三匹の野獣に捕まえられてしまっていた。
 体当たりで飛ばされ、刃に体中を傷つけられ、交わし切れずに中空に体を放り舞わされたりした。
 見ていても切なくなる程の戦いに成っていた。

 ・・・し・か・し・・・!?何を考えたのか!? そのうちに逃げずに直接 エボリューションマンは、受け止め始めた。
  当然の事ながら、普通に受け止めれば負傷し、また通り過ぎれば即 死が待っていた。

 エボリューションマンが受け止めた!?
「ナニッ・・・・・・!?」
  見ているみんなが、敵を理解し、そう思い、目を細くした。
  くすんだ紫色に各々 七色の円が、微妙に大きさが違い、重なり、扇を描いていて右にいく程小さく成っている顔に、ひし形のポンチョのような服装で右下のラインに象形文字らしい読めない文字が書かれていたエボリューションマンが、左人差し指と中指の二本で猛獣逹のあらゆる攻撃を受け止めていた。

(ナニッ、!?真剣白羽取り!?・・・・・・)

  張りつめた時間がフリーズしたような、シーンとした静寂さが周りを巻き込んで広がっていった。
「・・・・・・指二本で止めるのか!?・・・・・・」×敵・見方

「これからが本番か!?・・・・・・」

(隠れたり、見てたりしないで闘おうぜっ!?・・・・・・それとも負けるのが恐いのか~!?・・・・・・)

  テレパシーを聞いて一番早く出て来たのが、一番近くに居た、壊れたビル跡に姿を変えていたトラップマンだった。
「負・け・る・の・が・恐・い・だ・と!?・・・」
「あらっ、居たの!?か・く・れ・ん・ぼ・し・て・・・」

  時の流れでお互いに即 目にも止まらない、ヒートアップした最高級の戦闘モードに一気に入って行った。
 武器を持って無いのに戦えばお互いが確実に傷付け合うし、近付けば、カマイタチが起こりそうな激し過ぎる、荒々しいリアル組み手だった。
  その戦闘に人類の目も、怪物逹も引きずり込まれて行った。
  逃げる事のない、100%ガチバトルが繰り広げられて行く。

 怪物七匹と対戦し、空気を切る音と地面が裂ける音が増えていく。

 五匹の怪物のうち、デストロイヤマンとダイヤモンドマンが現代の世界で戦い、マグママンとブラックホールマンとトラップマンが仮想世界で戦う事が出来た。
  つまり、現場戦闘型と頭脳リモートプレイヤー型だった。

「味方だという事を判って貰う為にナノワールドの玉の秘密・構造を立体映像で教えて上げましょう。 どうぞ御覧下さい」
 立体映像がハッキングされ、敵地に強制的に流し出された。

 大きな透明なシャボン玉が現れた。
 そして周りには、緻密な国家最高極秘マシーンや最高のスーパーコンピューターがあった。
 その中心に合ったのが見慣れない形の《鍵》があった。

「私達の最高のスーパーコンピューターの中心にあるのは、チッブです。  貴殿方の世界でいう《精子》です。 知能の優れた、選りすぐられた戦闘能力を持った精子です。 機能を極小化し、生き抜く知恵を記録され、最新型人口知能と進化する事を考えられるマシーンです。 空間に電気を流してくっ付いたり、変化したりして戦闘します。
 そしてチッブにも色々な種類や種族があります・・・」

(実は、優れた精子(鍵)は、囚人や悪人や殺人鬼の選りすぐりの精子達のコピーなんだよ・・・・・・)

  三匹のエイリアン達は、高性能スーツや自らの脳と直につながれた立体戦闘画面でプレステを楽しむ気分で空間と点や線や予測運動をコンピューターに掛けて実際に戦争をして敵を倒していた。 またゲーム内を共有して敵を打ちのめしていた。

 子供のゲームと子供気分の痛みを知らない、感情を持たない戦争ごっこ。
  始末が悪い物だった。
  遊びまくる、遊び続ける、のめり込む、もう止められなく成って行った。

 機械を壊したような原色を多く取り入れた現代の若者のダラシがない服装姿風の怪物が現れた。 その名もデストロイヤマン。
 最も人間に近い雰囲気を持ち、少しツッパッたインテリチックな怪物。 それがトラップマンだった。
 あとの三匹は、赤・黒・シルバーのシマ模様のツナギといった感じの見たままだった。

迷 彩映 (mei saiei・メイ サイエイ)
エボリューションマン -英雄達の峡谷-
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