エボリューションマン -英雄達の峡谷-

  地上では、砂が舞っていた、ほこりも舞っていた、枯れ草や葉も、紙も、破れた布も舞っていて兵士にまとわりついていた。
「ア~ン、モ~五月蝿いっ、ンー・・・!?・・・」
  風によって顔辺りにまとわりついていた破れたひし形の新聞紙を左手で強く払った。

  目の前を行く砂やほこりやしなやかな布や幾つかのひし形の光る物体を目で追う。
(何だ、あれ・・・・・・!?)
  目をしかめる。
  敵と戦い、知らずないうちに一人となった兵士 ジェームズが、その場に居た。
  ライフルを構え、戦闘体勢に入る。

  ひざをやや曲げて、目を鋭くし、目の行く方に銃口を向けて、少しずつ歩を進めて行く。

「オイオイ、そんなに動いていいの!?・・・あんた人間だよね!?・・・プラナリアじゃないよね・・・・・・!?」

「■ξ×▼!?」(ナニ!?)  声に成ってなかった。

(だから、言ったろ、君がさっき左手で新聞紙を強く払った時には、首内部の神経や血管を断ち切り終えていて、最新技術で少しずつ壊れるようにしてあり、表皮には、傷を残さない方法を取ったのさ・・・・・・当然の事ながら、声は、テレパシー・・・・・・ジェームズ、君は、じきに死ぬ・・・・・・フフフ・・・・・・ハハハハァ・・・何と原始的な動物だ・・・・・・)

  ジェームズは、引き金を引かずに何が起きたのか解らないうちにうつ伏せに倒れた。
  ・・・・・・死亡・・・・・・。

  異色の姿なき伝説的な宇宙暗殺者 jewellery 4は、ジェームズに近付いて背中上5センチメートル位の空中に円盤を置いた。  頭・両手の先・両腕・胴体・足 全てに赤く細い線が走り、色が消える。

  これで完成だった。
  人が近付くと部分部分の体が微妙に動き、生きているかのようにして近付くと爆発する人間爆弾だった。

  ひし形!?円錐が二つ重なった!?四種類の異なる色の宇宙宝石を浮かべた物の近くには、正体不明の暗殺者がいたのだった。

・・・・・・暗殺者の後ろに死体が広がっていく・・・・・・。

  正拳、裏拳、膝蹴り、肘による攻撃、回し蹴り、蹴込み、蹴上げ、いくら交戦しても致命打を与える事は、三人には、なかった。  エボリューションマン、マグママン、トラップマンのスピードや切れや威圧感のある戦い。
 秒速で形を作り、秒速でナノ微粒子に変化したりしてゆく。

  いつからか敵二人は、仁王立ちに立っていた。
「フッ、面白いね、お前」
  微笑んでいた。
  !? クッ・・・グゥッ・バ~ン・・・ナノ微粒子が瞬時に空気中でミサイルを作り出し、間近でエボリューションマンを急襲した。
  一体・・・二体、体が透明で追尾ロケットランチャーを左右に四つ持ったマシーンが十体同時にエボリューションマンを四方八方上下から忍者殺法で襲い掛かったのだった。

  弾が無くなるまで、死体確認が出来ない位にまで撃ち続けた。
  そこらじゅうで爆発音がしていた。
  爆発による煙や砂埃で視野では、全くどうなっているのか解らなく成っていた。

 次第に視界が開けてきた。
 そして見た物に目を疑った。
 空中に生き物のような流線型のロケット破片を残し、金属破片や残骸が微妙に散らかり止まっていたからだ。

  再度 目をしかめた。
「マジックか!? フッ、面白い・・・」
  クジラ!?の残骸を確かめるようにして手を触れていた。
  少し離れた所にエボリューションマンは、立っていた。
  マグママンが戦いの跡、流れを手で触りながら歩いていく。
「フフ~、貴様 何をした!? 面白い奴だ、気に入った。 ヤレッ」
  首をやや左に傾ける。

  突然 地球上でいう竜と虎と円盤が現れた。
  いずれの怪物逹も均等に並べられたダイヤモンドのような超硬い刃を内に秘めて持っていた。

  そして動物的!?な動きというか機械的!?な早い動きに動揺したのか、始めは、闘牛士のように紙一重で交わしていたが、やはり次第に三匹の野獣に捕まえられてしまっていた。
 体当たりで飛ばされ、刃に体中を傷つけられ、交わし切れずに中空に体を放り舞わされたりした。
 見ていても切なくなる程の戦いに成っていた。

 ・・・し・か・し・・・!?何を考えたのか!? そのうちに逃げずに直接 エボリューションマンは、受け止め始めた。
  当然の事ながら、普通に受け止めれば負傷し、また通り過ぎれば即 死が待っていた。

 エボリューションマンが受け止めた!?
「ナニッ・・・・・・!?」
  見ているみんなが、敵を理解し、そう思い、目を細くした。
  くすんだ紫色に各々 七色の円が、微妙に大きさが違い、重なり、扇を描いていて右にいく程小さく成っている顔に、ひし形のポンチョのような服装で右下のラインに象形文字らしい読めない文字が書かれていたエボリューションマンが、左人差し指と中指の二本で猛獣逹のあらゆる攻撃を受け止めていた。

(ナニッ、!?真剣白羽取り!?・・・・・・)

  張りつめた時間がフリーズしたような、シーンとした静寂さが周りを巻き込んで広がっていった。
「・・・・・・指二本で止めるのか!?・・・・・・」×敵・見方

「これからが本番か!?・・・・・・」

(隠れたり、見てたりしないで闘おうぜっ!?・・・・・・それとも負けるのが恐いのか~!?・・・・・・)

  テレパシーを聞いて一番早く出て来たのが、一番近くに居た、壊れたビル跡に姿を変えていたトラップマンだった。
「負・け・る・の・が・恐・い・だ・と!?・・・」
「あらっ、居たの!?か・く・れ・ん・ぼ・し・て・・・」

  時の流れでお互いに即 目にも止まらない、ヒートアップした最高級の戦闘モードに一気に入って行った。
 武器を持って無いのに戦えばお互いが確実に傷付け合うし、近付けば、カマイタチが起こりそうな激し過ぎる、荒々しいリアル組み手だった。
  その戦闘に人類の目も、怪物逹も引きずり込まれて行った。
  逃げる事のない、100%ガチバトルが繰り広げられて行く。

迷 彩映 (mei saiei・メイ サイエイ)
エボリューションマン -英雄達の峡谷-
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