サンタクロースパイ

55.父との思い出

翌朝、霧河は、起きた。



そして、朝から

「窓際族」へ向かった。店長に言われた通り、昔、両親から

もらった、大切なアコースティックギターを持って・・・・・・



外から見ても分かるが、今日は、色々と

オシャレな飾りつけをしてある。



〝カランコロン〟



「いらっしゃい。おっ!今日は、パーティだとは言ったけど、

まさか、朝から来てくれるなんて!!!」

「はい!!!今日のパーティ、楽しみ過ぎて、もう、

ワクワクしちゃって!!!あ、それと、

あけましておめでとうございます!!!」

「お、そうだった!!!あけましておめでとう!!!危うく

言い忘れるとこだったよ!!」



「そうですね!!今日から2011年ですね!!!」

「そうだな!!!」

「パ~ッ!!とやりましょう!!!あ、そういえば、まだ、ここで、モーニング注文した事ないんで、モーニングをください!!!」「はいよ!!!」



〝コト〟



「わ~!!美味しそう!!!いただきます!!!あ、美味しい!!!」

「ありがとうな!!!」

「最高に美味しいです!!!」



そう言って、霧河は突然、泣いた。



「え?おい!?どうした!?霧河さん!!」

「あ、いえ!!何でもありません!!!」

「そっか・・・・・・」



実は、店長・窓河さんが作った、そのトーストやゆで卵の味が、

霧河の母以上に料理が得意な霧河の父が、休日に良く作ってくれていた、トーストやゆで卵の味に、とても良く似ていたのである。



「でも、そんなに喜んでくれて嬉しいよ!!ここの店長、

やってて良かったよ!!!」

「いえ!!こちらこそ、こんな美味しい料理達を、このお値段で

食べさせてくださってありがとうございます!!!」



霧河は、ムシャムシャと食べた。

56.年明けパーティ当日

「しかし、俺は、〝会社で働く〟って事が

合わなかったからこの仕事を始めたけど、前に、

霧河さんの話を聞いた時、本当に幸せにやってるんだな~」と

思ったよ。

「そうですか?」

「ああ!!色々と、良い仕事仲間を持てたみたいで、

凄く羨ましかった!!!」

「そうですか!!!」



「あ、そうだ!!今度、その色んな友達をここへ連れきなよ!!」

「良いですね!!それ!!!でも、僕、このお店が

凄く気に入ったから、仕事仲間達には悪いけど、

ここを隠れ家にしたいんですよ。いつか、仕事仲間達が

自分でここを見つけるまでは」

「そうか・・・・・・まぁ、それも、良いんじゃねぇのかな?!」

「はい!!!」



そして、時間が経ち、13時00分、お客さんが集まり、

〝年明けパーティ〟が始まった。



霧河は、弾き語りで演奏を始める。まず、1曲目は、

「気取ろうぜ」だった。コレは、霧河が、

大切な両親が死に、孤独になってしまった霧河が

自分を慰めたり、応援したりするために作った曲だ。



「辛い 苦しい 悲しい そんな事もあるさ

逃げ出したくて・・・

この世界で自分って人間はたった一人だから・・・

いっそ気取ろうぜ

寂しいけど 今日は星空の下で

哀愁漂う一匹狼を演じよう♪?」という曲だ。



演奏した後、

周りにいたお客さん達は、拍手しながら

「カッコ良くて渋い!!!」と言ってくれた。



両親へのあの哀悼の曲「いつか僕の心は・・・」は、

少し切ない曲でもあるため、2曲目に歌った。



「あの日から ずっと絶望していた

心に穴が開いてしまった 大きな大きな穴

考えれば苦しい 忘れようとすれば寂しい

どうすれば良いの? でも思った

ねぇ いつかきっと 変わってみせるよ

強くなってみせるよ あなたは大切な僕の一部だから♪?」

だが、その曲を演奏した後も、周りのお客さん達が、

拍手しながら、皆、

「へ~!素敵な曲!!」と言ってくれた。

「ありがとうございます!!!」と霧河は答えた。



(父さん、母さん、このギターを使って、ちゃんと皆を喜ばせる

事が出来たよ!!!)



だが、その曲が、死んだ両親への感謝の気持ちを込めて作った曲だとは、あえて言わなかった。そして、たくさん演奏したり、色々食べたり、色々喋った後、

パーティが終わった。



「フ~ッ!!楽しかったな~!!!」と、

その後、15時頃に店を出た。

57.愛が好きな小説

その後は、ヒマだったので、映画館へ映画を観に行った。



作品は、映画館内のポスターを見て、どれを観るかを決めた。



すると、去年のクリスマスにマフラーをプレゼントした女の子が

勧めてくれた、「私の幻想はホントにあった」のアニメ映画版が

上映されていた。



「へ~!コレは、今になって、アニメ映画化されてるのか!!!

じゃあ、コレ、観るか!!!」



観てみると、それは、ファンタジー作品で、

「ヒロインの女の子が、ずっと魔法の存在を信じていたが、周りの人達にそれを否定され、ある日、突然、魔法が存在する異世界に

飛ばされて、不思議な魔法使いの王子様に出会い、恋に落ちる」

という内容だった。



(へ~!!絵も凄く綺麗だし、凄く面白いな~!!!じゃあ、

この後、本屋行って、原作小説買おうっと!!!しかし、

こんなカッコ良い王子様と俺が似てるなんて・・・)と

思いながら、やがて、映画が終わった。



その後、

その同じ建て物の中にある本屋に寄り、原作小説を買う。



「良し、また今度、読もうっと!!!」

58.感謝の手紙

それから、また時間を飛ばしまくるが、

2011年12月23日(金)。



この日、霧河は、会社から帰った後、

また、毎年お決まりのサンタクロースの服装をして、毎年、

使っている必要なモノを全て用意し、色んな人に

プレゼントを渡しに行く準備をしていた。



ちなみに、その日の翌日の事だが、今年のイヴは、

有休を取ってある。



「よし、行くか!!もう、いつもの調査と買い物は

済んでるし、明日はまだイヴだけど、俺からプレゼントもらって

喜ぶ子供達が多いから、出来るだけ、たくさんの人達に渡せるように、イヴも渡しに行こう。それと、今年の元日のあの夫婦に渡したみたいに、大人達にも。

あ、何だったら、これからは、12月の間、

頻繁にあっちこっちの家にプレゼントを持って行ったり、

ハロウィンとかにもやんのも良いな(笑)。でも、何か、

毎年のこの活動は、楽しくてやめらんない!!!」と言って、

またプレゼントをあっちこっちに配りに行った。去年のクリスマスに密かに会話をした子供達には、全てパソコンで書いたモノだが、手紙も添えてプレゼントを渡した。



「グロリアスライダー」の変身セットをあげた「夢路正義」には、

「去年は話してくれてありがとうな!!本当にありがとう!!

とても楽しかったよ!!

君が〝ヒーロー〟って言ってくれたおかげで、色んな子供達に

プレゼントをあげる事がますます楽しくなったよ!!!」と、



祖母からもらったボロボロになったマフラーを、

大事にしながらも、霧河からマフラーをもらって喜んでいた

「河合愛」には

「君の、モノを大切にするところや、おばあちゃんからの思いを

大切にするところには、とても感動したよ!!!読書家なところにもね!!!これからも、そういった、君の良いところ、自分で

大事にしてね!!!あと、君が言ってたあの小説、アニメ映画版も

観たし、原作も、読んだけど、凄く面白かったよ!!!

あの王子様、凄くカッコ良いね!!!似てるって言ってくれて

ありがとう!!!」など、と。



他の、去年、密かに話した子供達にはどんな手紙を渡したか、また、それぞれ、他の家庭の人達に

何をプレゼントしたかは、あえて言わないでおこう。



そして、

その日、予定した、全ての家にプレゼントを持って行った後、

霧河は自宅に帰った。「フ~ッ!!疲れる!!!でも、やっぱ、

やり甲斐があるな!!!」


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