翌朝、霧河は、起きた。
そして、朝から
「窓際族」へ向かった。店長に言われた通り、昔、両親から
もらった、大切なアコースティックギターを持って・・・・・・
外から見ても分かるが、今日は、色々と
オシャレな飾りつけをしてある。
〝カランコロン〟
「いらっしゃい。おっ!今日は、パーティだとは言ったけど、
まさか、朝から来てくれるなんて!!!」
「はい!!!今日のパーティ、楽しみ過ぎて、もう、
ワクワクしちゃって!!!あ、それと、
あけましておめでとうございます!!!」
「お、そうだった!!!あけましておめでとう!!!危うく
言い忘れるとこだったよ!!」
「そうですね!!今日から2011年ですね!!!」
「そうだな!!!」
「パ~ッ!!とやりましょう!!!あ、そういえば、まだ、ここで、モーニング注文した事ないんで、モーニングをください!!!」「はいよ!!!」
〝コト〟
「わ~!!美味しそう!!!いただきます!!!あ、美味しい!!!」
「ありがとうな!!!」
「最高に美味しいです!!!」
そう言って、霧河は突然、泣いた。
「え?おい!?どうした!?霧河さん!!」
「あ、いえ!!何でもありません!!!」
「そっか・・・・・・」
実は、店長・窓河さんが作った、そのトーストやゆで卵の味が、
霧河の母以上に料理が得意な霧河の父が、休日に良く作ってくれていた、トーストやゆで卵の味に、とても良く似ていたのである。
「でも、そんなに喜んでくれて嬉しいよ!!ここの店長、
やってて良かったよ!!!」
「いえ!!こちらこそ、こんな美味しい料理達を、このお値段で
食べさせてくださってありがとうございます!!!」
霧河は、ムシャムシャと食べた。
「しかし、俺は、〝会社で働く〟って事が
合わなかったからこの仕事を始めたけど、前に、
霧河さんの話を聞いた時、本当に幸せにやってるんだな~」と
思ったよ。
「そうですか?」
「ああ!!色々と、良い仕事仲間を持てたみたいで、
凄く羨ましかった!!!」
「そうですか!!!」
「あ、そうだ!!今度、その色んな友達をここへ連れきなよ!!」
「良いですね!!それ!!!でも、僕、このお店が
凄く気に入ったから、仕事仲間達には悪いけど、
ここを隠れ家にしたいんですよ。いつか、仕事仲間達が
自分でここを見つけるまでは」
「そうか・・・・・・まぁ、それも、良いんじゃねぇのかな?!」
「はい!!!」
そして、時間が経ち、13時00分、お客さんが集まり、
〝年明けパーティ〟が始まった。
霧河は、弾き語りで演奏を始める。まず、1曲目は、
「気取ろうぜ」だった。コレは、霧河が、
大切な両親が死に、孤独になってしまった霧河が
自分を慰めたり、応援したりするために作った曲だ。
「辛い 苦しい 悲しい そんな事もあるさ
逃げ出したくて・・・
この世界で自分って人間はたった一人だから・・・
いっそ気取ろうぜ
寂しいけど 今日は星空の下で
哀愁漂う一匹狼を演じよう♪?」という曲だ。
演奏した後、
周りにいたお客さん達は、拍手しながら
「カッコ良くて渋い!!!」と言ってくれた。
両親へのあの哀悼の曲「いつか僕の心は・・・」は、
少し切ない曲でもあるため、2曲目に歌った。
「あの日から ずっと絶望していた
心に穴が開いてしまった 大きな大きな穴
考えれば苦しい 忘れようとすれば寂しい
どうすれば良いの? でも思った
ねぇ いつかきっと 変わってみせるよ
強くなってみせるよ あなたは大切な僕の一部だから♪?」
だが、その曲を演奏した後も、周りのお客さん達が、
拍手しながら、皆、
「へ~!素敵な曲!!」と言ってくれた。
「ありがとうございます!!!」と霧河は答えた。
(父さん、母さん、このギターを使って、ちゃんと皆を喜ばせる
事が出来たよ!!!)
だが、その曲が、死んだ両親への感謝の気持ちを込めて作った曲だとは、あえて言わなかった。そして、たくさん演奏したり、色々食べたり、色々喋った後、
パーティが終わった。
「フ~ッ!!楽しかったな~!!!」と、
その後、15時頃に店を出た。
その後は、ヒマだったので、映画館へ映画を観に行った。
作品は、映画館内のポスターを見て、どれを観るかを決めた。
すると、去年のクリスマスにマフラーをプレゼントした女の子が
勧めてくれた、「私の幻想はホントにあった」のアニメ映画版が
上映されていた。
「へ~!コレは、今になって、アニメ映画化されてるのか!!!
じゃあ、コレ、観るか!!!」
観てみると、それは、ファンタジー作品で、
「ヒロインの女の子が、ずっと魔法の存在を信じていたが、周りの人達にそれを否定され、ある日、突然、魔法が存在する異世界に
飛ばされて、不思議な魔法使いの王子様に出会い、恋に落ちる」
という内容だった。
(へ~!!絵も凄く綺麗だし、凄く面白いな~!!!じゃあ、
この後、本屋行って、原作小説買おうっと!!!しかし、
こんなカッコ良い王子様と俺が似てるなんて・・・)と
思いながら、やがて、映画が終わった。
その後、
その同じ建て物の中にある本屋に寄り、原作小説を買う。
「良し、また今度、読もうっと!!!」
それから、また時間を飛ばしまくるが、
2011年12月23日(金)。
この日、霧河は、会社から帰った後、
また、毎年お決まりのサンタクロースの服装をして、毎年、
使っている必要なモノを全て用意し、色んな人に
プレゼントを渡しに行く準備をしていた。
ちなみに、その日の翌日の事だが、今年のイヴは、
有休を取ってある。
「よし、行くか!!もう、いつもの調査と買い物は
済んでるし、明日はまだイヴだけど、俺からプレゼントもらって
喜ぶ子供達が多いから、出来るだけ、たくさんの人達に渡せるように、イヴも渡しに行こう。それと、今年の元日のあの夫婦に渡したみたいに、大人達にも。
あ、何だったら、これからは、12月の間、
頻繁にあっちこっちの家にプレゼントを持って行ったり、
ハロウィンとかにもやんのも良いな(笑)。でも、何か、
毎年のこの活動は、楽しくてやめらんない!!!」と言って、
またプレゼントをあっちこっちに配りに行った。去年のクリスマスに密かに会話をした子供達には、全てパソコンで書いたモノだが、手紙も添えてプレゼントを渡した。
「グロリアスライダー」の変身セットをあげた「夢路正義」には、
「去年は話してくれてありがとうな!!本当にありがとう!!
とても楽しかったよ!!
君が〝ヒーロー〟って言ってくれたおかげで、色んな子供達に
プレゼントをあげる事がますます楽しくなったよ!!!」と、
祖母からもらったボロボロになったマフラーを、
大事にしながらも、霧河からマフラーをもらって喜んでいた
「河合愛」には
「君の、モノを大切にするところや、おばあちゃんからの思いを
大切にするところには、とても感動したよ!!!読書家なところにもね!!!これからも、そういった、君の良いところ、自分で
大事にしてね!!!あと、君が言ってたあの小説、アニメ映画版も
観たし、原作も、読んだけど、凄く面白かったよ!!!
あの王子様、凄くカッコ良いね!!!似てるって言ってくれて
ありがとう!!!」など、と。
他の、去年、密かに話した子供達にはどんな手紙を渡したか、また、それぞれ、他の家庭の人達に
何をプレゼントしたかは、あえて言わないでおこう。
そして、
その日、予定した、全ての家にプレゼントを持って行った後、
霧河は自宅に帰った。「フ~ッ!!疲れる!!!でも、やっぱ、
やり甲斐があるな!!!」