その後は、ヒマだったので、映画館へ映画を観に行った。
作品は、映画館内のポスターを見て、どれを観るかを決めた。
すると、去年のクリスマスにマフラーをプレゼントした女の子が
勧めてくれた、「私の幻想はホントにあった」のアニメ映画版が
上映されていた。
「へ~!コレは、今になって、アニメ映画化されてるのか!!!
じゃあ、コレ、観るか!!!」
観てみると、それは、ファンタジー作品で、
「ヒロインの女の子が、ずっと魔法の存在を信じていたが、周りの人達にそれを否定され、ある日、突然、魔法が存在する異世界に
飛ばされて、不思議な魔法使いの王子様に出会い、恋に落ちる」
という内容だった。
(へ~!!絵も凄く綺麗だし、凄く面白いな~!!!じゃあ、
この後、本屋行って、原作小説買おうっと!!!しかし、
こんなカッコ良い王子様と俺が似てるなんて・・・)と
思いながら、やがて、映画が終わった。
その後、
その同じ建て物の中にある本屋に寄り、原作小説を買う。
「良し、また今度、読もうっと!!!」
それから、また時間を飛ばしまくるが、
2011年12月23日(金)。
この日、霧河は、会社から帰った後、
また、毎年お決まりのサンタクロースの服装をして、毎年、
使っている必要なモノを全て用意し、色んな人に
プレゼントを渡しに行く準備をしていた。
ちなみに、その日の翌日の事だが、今年のイヴは、
有休を取ってある。
「よし、行くか!!もう、いつもの調査と買い物は
済んでるし、明日はまだイヴだけど、俺からプレゼントもらって
喜ぶ子供達が多いから、出来るだけ、たくさんの人達に渡せるように、イヴも渡しに行こう。それと、今年の元日のあの夫婦に渡したみたいに、大人達にも。
あ、何だったら、これからは、12月の間、
頻繁にあっちこっちの家にプレゼントを持って行ったり、
ハロウィンとかにもやんのも良いな(笑)。でも、何か、
毎年のこの活動は、楽しくてやめらんない!!!」と言って、
またプレゼントをあっちこっちに配りに行った。去年のクリスマスに密かに会話をした子供達には、全てパソコンで書いたモノだが、手紙も添えてプレゼントを渡した。
「グロリアスライダー」の変身セットをあげた「夢路正義」には、
「去年は話してくれてありがとうな!!本当にありがとう!!
とても楽しかったよ!!
君が〝ヒーロー〟って言ってくれたおかげで、色んな子供達に
プレゼントをあげる事がますます楽しくなったよ!!!」と、
祖母からもらったボロボロになったマフラーを、
大事にしながらも、霧河からマフラーをもらって喜んでいた
「河合愛」には
「君の、モノを大切にするところや、おばあちゃんからの思いを
大切にするところには、とても感動したよ!!!読書家なところにもね!!!これからも、そういった、君の良いところ、自分で
大事にしてね!!!あと、君が言ってたあの小説、アニメ映画版も
観たし、原作も、読んだけど、凄く面白かったよ!!!
あの王子様、凄くカッコ良いね!!!似てるって言ってくれて
ありがとう!!!」など、と。
他の、去年、密かに話した子供達にはどんな手紙を渡したか、また、それぞれ、他の家庭の人達に
何をプレゼントしたかは、あえて言わないでおこう。
そして、
その日、予定した、全ての家にプレゼントを持って行った後、
霧河は自宅に帰った。「フ~ッ!!疲れる!!!でも、やっぱ、
やり甲斐があるな!!!」
そして、朝・・・・・・
誰かが霧河の家にやって来て、ピンポンを鳴らした。
〝ピーンポーン〟
「は~い」
「警察です。〝霧河竜令〟さんですね?」
「はい。そうですが」
「署までご同行願います」
「え!?」
「昨日、あなたが怪しげな服装をして、
〝サムターン回し〟などの〝ピッキング〟で、色々な家に侵入しているところを、ある、とても目が良いという青年が見たそうです。証拠もあります。その青年は、懐中電灯を持っていて、
あなたの姿をしっかり写真や動画に撮ったそうです」
「え・・・・・・!?え~~~~~~!?」
〝ガチャ〟
霧河は、手錠をかけられ、事情聴取される事になった。
それからしばらくして、裁判になった。
霧河は、株取引でかなりの大金を
稼いでいるが、強い弁護士を雇ったりはしなかった。
なぜなら、
霧河は、たくさんの、子供などの人達にプレゼントを
渡しながらも、自分が犯罪行為をしている事を、自覚していたからである。
そして、今までに、クリスマスに霧河と関わった子供達、その子供達の親、そして、霧河の会社の社員達、「喫茶窓際族」の店長「窓河実爪」も出席し、開廷した・・・・・・
そこには、
「まさかあの霧河が・・・・・・」、あるいは、
「ったく、勝手に色んな人の家に入って、何考えてんだよ」、
あるいは、
「ピッキングに、住居不法侵入罪、あの大手のおもちゃ会社の係長がやるなんて、泥を塗るような真似しやがって」、
あるいは、
「大人として恥を知れよ」などと言っている者達がいた・・・・・・
そんな色々な言葉を聞いて、霧河は、
(そうだよな・・・返す言葉もない・・・)と思った。
霧河の「サンタクロースパイ」としての活動に反対する者は
とても多く、霧河の敗訴、有罪が決定しそうな空気になっていた。
(は~・・・そうか、やっぱりな。俺は、敗訴して、
逮捕されるんだ。会社の人達にも多大な迷惑をかけた。でも、
これが運命なんだ。悪い事したから、それが自分に返ってきただけなんだ・・・)
そこで、
裁判長が、判決の結果を言い渡そうとし、
息を大きく吸う。