サンタクロースパイ

57.愛が好きな小説

その後は、ヒマだったので、映画館へ映画を観に行った。



作品は、映画館内のポスターを見て、どれを観るかを決めた。



すると、去年のクリスマスにマフラーをプレゼントした女の子が

勧めてくれた、「私の幻想はホントにあった」のアニメ映画版が

上映されていた。



「へ~!コレは、今になって、アニメ映画化されてるのか!!!

じゃあ、コレ、観るか!!!」



観てみると、それは、ファンタジー作品で、

「ヒロインの女の子が、ずっと魔法の存在を信じていたが、周りの人達にそれを否定され、ある日、突然、魔法が存在する異世界に

飛ばされて、不思議な魔法使いの王子様に出会い、恋に落ちる」

という内容だった。



(へ~!!絵も凄く綺麗だし、凄く面白いな~!!!じゃあ、

この後、本屋行って、原作小説買おうっと!!!しかし、

こんなカッコ良い王子様と俺が似てるなんて・・・)と

思いながら、やがて、映画が終わった。



その後、

その同じ建て物の中にある本屋に寄り、原作小説を買う。



「良し、また今度、読もうっと!!!」

58.感謝の手紙

それから、また時間を飛ばしまくるが、

2011年12月23日(金)。



この日、霧河は、会社から帰った後、

また、毎年お決まりのサンタクロースの服装をして、毎年、

使っている必要なモノを全て用意し、色んな人に

プレゼントを渡しに行く準備をしていた。



ちなみに、その日の翌日の事だが、今年のイヴは、

有休を取ってある。



「よし、行くか!!もう、いつもの調査と買い物は

済んでるし、明日はまだイヴだけど、俺からプレゼントもらって

喜ぶ子供達が多いから、出来るだけ、たくさんの人達に渡せるように、イヴも渡しに行こう。それと、今年の元日のあの夫婦に渡したみたいに、大人達にも。

あ、何だったら、これからは、12月の間、

頻繁にあっちこっちの家にプレゼントを持って行ったり、

ハロウィンとかにもやんのも良いな(笑)。でも、何か、

毎年のこの活動は、楽しくてやめらんない!!!」と言って、

またプレゼントをあっちこっちに配りに行った。去年のクリスマスに密かに会話をした子供達には、全てパソコンで書いたモノだが、手紙も添えてプレゼントを渡した。



「グロリアスライダー」の変身セットをあげた「夢路正義」には、

「去年は話してくれてありがとうな!!本当にありがとう!!

とても楽しかったよ!!

君が〝ヒーロー〟って言ってくれたおかげで、色んな子供達に

プレゼントをあげる事がますます楽しくなったよ!!!」と、



祖母からもらったボロボロになったマフラーを、

大事にしながらも、霧河からマフラーをもらって喜んでいた

「河合愛」には

「君の、モノを大切にするところや、おばあちゃんからの思いを

大切にするところには、とても感動したよ!!!読書家なところにもね!!!これからも、そういった、君の良いところ、自分で

大事にしてね!!!あと、君が言ってたあの小説、アニメ映画版も

観たし、原作も、読んだけど、凄く面白かったよ!!!

あの王子様、凄くカッコ良いね!!!似てるって言ってくれて

ありがとう!!!」など、と。



他の、去年、密かに話した子供達にはどんな手紙を渡したか、また、それぞれ、他の家庭の人達に

何をプレゼントしたかは、あえて言わないでおこう。



そして、

その日、予定した、全ての家にプレゼントを持って行った後、

霧河は自宅に帰った。「フ~ッ!!疲れる!!!でも、やっぱ、

やり甲斐があるな!!!」


59.正体がバレた!?

そして、朝・・・・・・



誰かが霧河の家にやって来て、ピンポンを鳴らした。



〝ピーンポーン〟



「は~い」

「警察です。〝霧河竜令〟さんですね?」

「はい。そうですが」

「署までご同行願います」

「え!?」



「昨日、あなたが怪しげな服装をして、

〝サムターン回し〟などの〝ピッキング〟で、色々な家に侵入しているところを、ある、とても目が良いという青年が見たそうです。証拠もあります。その青年は、懐中電灯を持っていて、

あなたの姿をしっかり写真や動画に撮ったそうです」

「え・・・・・・!?え~~~~~~!?」



〝ガチャ〟


60.敗訴!?逮捕!?大ピンチ!!!

霧河は、手錠をかけられ、事情聴取される事になった。



それからしばらくして、裁判になった。



霧河は、株取引でかなりの大金を

稼いでいるが、強い弁護士を雇ったりはしなかった。



なぜなら、

霧河は、たくさんの、子供などの人達にプレゼントを

渡しながらも、自分が犯罪行為をしている事を、自覚していたからである。



そして、今までに、クリスマスに霧河と関わった子供達、その子供達の親、そして、霧河の会社の社員達、「喫茶窓際族」の店長「窓河実爪」も出席し、開廷した・・・・・・



そこには、

「まさかあの霧河が・・・・・・」、あるいは、

「ったく、勝手に色んな人の家に入って、何考えてんだよ」、

あるいは、

「ピッキングに、住居不法侵入罪、あの大手のおもちゃ会社の係長がやるなんて、泥を塗るような真似しやがって」、

あるいは、

「大人として恥を知れよ」などと言っている者達がいた・・・・・・



そんな色々な言葉を聞いて、霧河は、

(そうだよな・・・返す言葉もない・・・)と思った。



霧河の「サンタクロースパイ」としての活動に反対する者は

とても多く、霧河の敗訴、有罪が決定しそうな空気になっていた。



(は~・・・そうか、やっぱりな。俺は、敗訴して、

逮捕されるんだ。会社の人達にも多大な迷惑をかけた。でも、

これが運命なんだ。悪い事したから、それが自分に返ってきただけなんだ・・・)



そこで、

裁判長が、判決の結果を言い渡そうとし、

息を大きく吸う。

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