サンタクロースパイ

17.お互いに自己紹介。そして、別れ

「ところで君、名前なんて言うの?」

「私は、〝空野叶そらのかなえ〟!!」

「そっか!良い名前だね!!」

「ありがと!!お兄さんは!?」

「俺は〝網田謎留〟!!」

霧河はここで、本名を名乗った。



「分かった!!じゃあ、名前、覚えとくね!!」

「ありがとう!!じゃあ、また来年来るね!!」

「うん!!お兄さん、頑張ってね!!」

「うん!!君も頑張ってね!!おやすみなさい!!」

女の子が手を振り、

「元気でね~!!」と言った。



霧河は叶の家を出た。家を出た後、

入ってきた時と同じ〝サムターン回し〟で

外側からカギをかける。

霧河の活動はもちろん、まだ続いていた。が、

叶は、再び眠った。

18.叶の母が驚いた!!!

翌朝、叶は、目が覚めた後、枕元を見てみた。枕元には、

クリスマス仕様のラッピングがされた箱があった。



「箱はちゃんと置いてあるけど・・・やっぱり、昨日の事は

夢だったのかな?」



そう思いながら、箱を開けてみた。すると、

本当に犬の人形が入っていた!!



「え!!嘘!?夢じゃなかったんだ!!ありがとう!!

〝サンタクロースパイ〟さん!!」と言った。



その直後、叶の部屋に叶の母親が入ってくる。



「叶!もう朝ご飯、出来てるわよ~!!」と

母親は言う。そこには、母親が置いていないどころか、

買ってすらない犬の人形が置いてあった。ちなみに、それは〝チワワ〟の人形だ。

そう、霧河は、小さな女の子が好きそうな種類をチョイスしていたのだ。



「お母さん!サンタさんってホントにいるんだね!!」

叶の母は、

「まさか!私も買った覚えのないモノなのに!!何で?それと、

この娘、何で今年は〝○○が欲しい〟って言わなかったんだろ?

まぁ良いわ!不思議な事が起こったけど、叶も喜んでるし!!」



もちろん、いつもなら、霧河の幼い頃に亡くなった霧河の両親と

同じく、叶の母親が、叶が寝ている最中に密かに叶の枕元に

叶の欲しいモノを置いていた。だが、今年だけは違い、

母親すらも覚えのない事なので、母親もとても驚いている。だが、叶は、霧河に言われた約束通り、

「黒い服を着たスパイのお兄さんからもらった」とまでは言っていない。

19.またドジった!!!

ここで時間を遡ろう。クリスマスの夜、霧河は、叶に犬の人形を渡した後も、たくさんの家のたくさんの子供達にプレゼントを渡していた。2軒目~4軒目までは何事もなく渡せたが、5軒目の子供にプレゼントを渡した直後にもまた、子供が起きてしまった。



というより、今回は、霧河がドジを踏んで、その子の暗い部屋の中で、

その子が片づけそびれて床に転がったままだったフィギュアを

ゴキブリと見間違えて驚いて、慌てて思いっきりコケて大きな音を立てて、同時に、叫んでしまった事により、

起こしてしまったのだ。



「ワ~ッ!!」と子供が叫ぶ。



(マ、マズい・・・!!)と思い、急いで子供の口を霧河が

手で抑え、「シ~ッ!!」と言う。



そう、

この子は調査をしていた時、

「〝グロリアスライダー〟の変身セットが欲しい」と

言っていた男の子だ。



豆電球を点けた。

20.男の子との会話

そして、男の子と話す。



「兄ちゃん、どうやって入ってきたの?」



霧河は、金属の棒を取り出し、

「あ~、コレ使って」と言う。

「ふ~ん」



「でも、絶対、真似しちゃダメだよ!!!それと、俺の事も、

たとえ親だろうと、他の人には言っちゃいけないよ!!!」

「は~い」

「ありがとう!!!」



「この部屋を見ても分かるけど、君は戦隊ヒーローやアニメが

凄く好きなんだね!!」

「うん!!」

「やっぱりね!!そうだよね~!!」

「でも、兄ちゃんさ、一体何者なの?」

「俺?俺はね、〝サンタクロースパイ〟さ!!」

「ロース・・・パイ・・・何か美味そうな響き!!」

またさっきと同じ事を言われた。しかし、

二度目はズッコケはしても、驚いたりはしない。



「そ、そうかな?(笑)でも、俺の事は、

絶対、たたえお父さんとお母さんには言っちゃダメだよ!!!」

「うん!!!」

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