女子会

 縁結び温泉というのは、浴場の中心に約2メートルの男根がそびえたつ男根の湯のこと。この巨大男根を縁結びの神様にすることを発案したのは、横山だった。5年前経営不振に陥ったさしはら温泉を立て直そうと考えていた時に、横山が思いついたのが巨大男根だった。男根の湯は、国際的に縁結びの湯として有名になり、今では、海外からのお客も多かった。彼女たちは、更衣室で浴衣を脱ぐとお互いの体を見比べていた。

 

 ゆう子のふさふさした陰毛は、黒々と盛り上がっていた。ゆう子は、横山のパイパンが目に入ると驚きを声にした。「横山、いつからパイパンにしたの?アメリカで流行っているの?」横山の彼氏は、オランダ人の妻子持ちでパイパン好みだった。彼のためやむなくパイパンにしていたが、そのことは口にできなかった。「まあ、流行ってるというか、パイパンの女子って普通」

 

 小柄だが剣道で鍛え挙げたマッチョな峰岸のボディーにみんなの目が集中した。リノが峰岸のお腹をポンポンとたたいてワウ~~と驚きの声を発した。「スゲ~~、割れてるじゃん。やっぱ、鍛えられた体ってすごいのね。でも、ちゃんと胸は膨らんでいるし、うらやまし~~。こいつ」ペチャパイで悩んでいるリノは、飛び出している乳首をキュッと引っ張った。

 

 北原、リノは、身だしなみとして陰毛の手入れをしていた。リノが、ゆう子のむさくるしい陰毛を指摘した。「ゆう子、手入れしなよ。それじゃ、はみ出すでしょ。みっともないわよ。こういうことには、全く、無精なんだから。それじゃ、彼氏、逃げるわよ」ゆう子は、自分の陰毛がかなり盛り上がっていることにはっとした。去年、水着を着なかったために陰毛のことをすっかり忘れていた。恥ずかしくなったゆう子は、顔を真っ赤にして弁解した。「そう、いじらないでよ。最近は、忙しくて、手入れできなかったんだから」

 

 ゆう子は、マシュマロのような真っ白いお尻をプルンプルンと振るわせながらみんなを置いて湯船にかけていった。湯船には、すでに多くの女性が男性運がよくなるようにと祈願していた。楕円形の湯船の中心にある光り輝く紫色の亀頭を持つ朱色の巨大男根が、ハーレムを作るように迷える女性に囲まれていた。彼女たちは、男性運がよくなるようにとひたすら手を合わせて祈願していた。亀頭の下の部分には、ご神示が金色の文字で彫り込まれていた。「この男根の神に祈願せよ、必ず願いが叶う」

 

 ゆう子を先頭にみんなもドボンドボンと股間をおっぴろげて無作法に湯船につかると早速、手を合わせて祈願した。リノは、ハル君が浮気しませんように。ゆう子は、ファンが増えますように。横山は、避妊に失敗しませんように。北原は、イケメンと付き合えますように。峰岸は、三島が振り向きますように。小島は、金持ちの彼氏ができますように。校長は、やす君のインポが治りますように。それぞれ、わがままなお願いをした。

 

 そのころ安田は、鳥羽の胡坐の上で寝込んでしまったマリリンにチュ~チュ~のにおいをかがせ、必死に起こしていた。マリリンは、いったん寝付くとなかなか起きなかった。気持ちよさそうな寝顔を見つめ鳥羽が話し始めた。「なかなか起きませんね。このままそっと運びますか?とにかく、リノさんの近くで寝てくれれば、録音はできますから」安田も起きそうにないマリリンを見て、このまま運ぶことにした。

 

 「マリリンがさみしがっているといって、抱っこして運ぶことにしよう。いつもリノと一緒に寝ているから、うまくいくと思うんだが、もうそろそろ、騒ぎも収まったころだろう。ちょっと電話してみるか」安田は、内線電話で桔梗(ききょう)の部屋番号をプッシュした。しばらく、呼び出したが誰も出なかった。「出ませんね。風呂じゃないですか?今頃、みんな、裸になってるんですね。ゆう子姫も」

 

 

 安田も風呂だと思い、リノたちが戻ってくるのを待つことにした。安田は、ぶつぶつと独り言を言い始めた。「今頃は、男根に手を合わせているころだな。まったく、女子というやつは、気楽なもんだ。でも、あの男根のおかげで、リノは、俺をゲットできたのかもな。今では、俺は、セックスの拷問にあっている。男根の神を冒涜したたたりかもしれん。これからは、俺も、女子運がよくなるように、手を合わせるとしよう」

 

 鳥羽はじっと安田のたわごとに聞き入っていたが、時刻はとっくに9時を回っていた。やはり、重要な密会は、真夜中に行われるのは間違いないように思えた。「思ったより、バカ騒ぎが長引いたんですね。もうそろそろ、戻ってきてませんかね。もう一度、電話してはどうです?」うなずいた安田は、桔梗の内線番号をプッシュした。呼び出し音が3度なると受話器からリノの声が飛び出した。「はい、こちら離れの桔梗ですが」

 

 安田は、リノの声を聴いてほっとした。「おい、俺だ。リノ、お願いがあるんだ。マリリンがさみしがっているみたいなんだ。さっきから、リノがいないもんだから、さみしそうな声で、ニャ~ニャ~鳴いてるんだ。それで、今から、マリリンをそっちに連れて行っていいか?ネコ嫌いな女子はいるか?」リノが即座に返事した。「ちょっと待ってね、みんなに聞いてみるから」リノは、みんなにマリリンがやってくることを伝えたが、だれも反対しなかった。

 

 「みんな、歓迎してるみたい。マリリン、連れてきていいわよ。そいじゃね」安田は、ニコッと笑顔を作った。「うまくいきそうだ。ネコ嫌いはいないそうだ。今から、作戦開始だ」安田は、鳥羽の胡坐で寝ていたマリリンを受け取り、部屋を出ていった。しばらくして戻った安田は、ちらっと見た部屋の様子を話し始めた。「マリリン、歓迎されたぞ。みんな、かわいいといって、なでなでしてた。みんな、浴衣姿で、色っぽかったな~~。でもな、校長、すっぴんで、別人かと思ったぞ。やっぱ、女は、化け物だぞ。鳥羽、気をつけろ」

 

 

 

 鳥羽は、密会の内容が気にかかっていた。うまく録音できることを祈っていた。「あとは、録音がうまくいくことを願うだけですね。マリリンがリノさんの脚もとで寝てくれることを祈りましょう。ワクワクしますね、先輩。早く、明日にならないですかね」確かに、安田も録音内容に関心はあったが、どんな内容であれ、自分たちには関係ないことだと予想していた。「まあ、そう、焦るな。聞いてからのお楽しみだ。校長の話だ。所詮、悪だくみに決まっている」

 

 

 

春日信彦
作家:春日信彦
女子会
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