夫婦二人で年間200万円のライフスタイル入門

夫婦年間200万円生活は、案外簡単なものだった( 2 / 3 )

夫婦合わせて年間200万円の収入を得ることも難しくない

夫婦二人年間200万円生活を貯金取り崩しなしで賄うには、当然ですが夫婦二人で年間200万円収入は最低必要です。二人で200万円なら一人では100万円平均ですので、この程度の年収が得られるパートかアルバイトは今の時代なら探すにさほど苦労は無いと思われます。しかしシニアの方々がパート・アルバイトで仕事を探す場合には仕事の負荷とか通勤距離とかの制約もあるでしょうから、地域によっては難しい場合もあるでしょう。

 

そういう場合はパートやアルバイトではなくインターネットで稼ぐ方法が優れていると私は思います。インターネット上では、物販では昔からヤフオクがありますし、最近はネットフリマのメルカリも普及して売り易い環境ができました。写真を撮影して販売できるスナプマートや、楽天射塲、アマゾンなどの商品広告を自分のブログサイトに貼って広告収入を得ることもできます。このようにインターネットで稼ぐことに集中すれば年間100万円はすぐには難しいかもしれないですが何年後かには達成させることが出来る可能性を秘めています。

 

なぜかシニアはネットやITに弱いという通説があるようですが、ここで想定しているシニアとは年齢が60歳ぐらいの、今後の年金支給開始時期が65歳に向けてどんどん遅れ始めるような世代です。この世代ではサラリーマン時代にパソコンを使い生活でもスマホを使用することは珍しくもない世代ですから、今はまだネットビジネスに詳しくなくても何年か試しにやってみると覚えも早い世代だと思います。

 

そしてシニアが65歳に達したら、公的年金の支給が始まります。もし夫婦2人とも国民年金保険料だけを支払っていたとしたなら、満額で二人で約165万円なのであと二人で年間35万円を工面しなければ200万円になりません。しかしこれらの方々は主に自営業の人達です。会社員OBであれば厚生年金が支給されますから平均300万円以上の年収があればだいたい夫婦二人で年金支給額は200万円を超えています(2017年現在では)。

 

このように働き方による収入や年金の現状を眺めてみると、夫婦二人で年200万円収入という水準はさほど高いとは思えなく、多くの人にとって手が届く収入の水準だろうと思われてきます。

 

したがってもし夫婦で年間200万円で十分に暮らして行ける術を身に着けさえすれば、シニアにとっては鬼に金棒といったことになるでしょう。収入が減りそうだったとしても、そう遠からずに年間200万円以上の年金が受け取れる。あるいは年金が200万円無くても、少し仕事をして稼ぐことができれば年金と合わせて200万円をクリアすることはそう難しくない。シニアはそういうラッキーな立場に立っているのです。

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夫婦二人で年間200万円収入なら、実は税金や健康保険料が格安

私たちがふつう払っている税金の種類を数え上げると、所得税、住民税、消費税、固定資産税、自動車税などがありますが、働いて稼ぐと、その稼ぎに連動するのが所得税と住民税です。だから素直に言うなら所得税を節約したいのなら、あまり稼がない方が良いということが言えます。

 

ではいくらまでなら究極の所得税ゼロか、というと103万円の壁でお馴染みの年間103万円までなら所得税はゼロです。理由はパートやアルバイトなどの給与所得者であれば、最低でも65万円の給与所得者控除があるので、基礎控除の38万円と合わせて103万円までは全額控除になって所得税がゼロです。もし自営業だったら青色申告すれば青色申告特別控除が65万円あり、経費が計上でき、基礎控除と合わせて最低でも103万円までは所得税がかかりません。(ただし住民税は基礎控除33万円なので年収98万円まで住民税非課税)

 

したがって、夫婦二人がそれぞれパートやアルバイトまたは自営業で青色で確定申告していれば103万円の2倍の206万円までは所得税無税。さらに配偶者控除や生命保険控除などもありますから、もう少し先まで非課税の生活ができる可能性があります。さらに年金受給者であれば公的年金控除もありますから夫婦二人では200万円をはるかに超えても非課税になれる場合があります。

 

前述しましたが、税金は節約(節税といいます)をいくらしても自分の生活に影響ありません。その究極が非課税世帯になることです。住民税も含めて非課税世帯であれば後述しますが他に波及する節約効果も得られます。しかも非課税世帯とは言え、夫婦二人年間200万円が毎年得られるのです。そのように考えたらニッポンの制度はありがたく思えてきます。

 

非課税世帯になったら、国民健康保険料はかなり安くなります。国民健康保険料の計算式は税金より複雑で、自治体によって当てはめる係数が違うので一律にこうだと言えませんが、たとえばパートやアルバイトで年に98万円の収入に収まってしまうケースでは、たぶん国民健康保険料は年間3万円台とか4万円程度でしょう(自治体によって違う)。

 

その他に高額な治療費を払ったときに後日払い戻せる高額医療費制度においても非課税世帯は「低所得者」となり、自己負担限度額が低いです。このように見ると、もし200万円で快適に暮らせるのなら、どうしてそれ以上稼ぐ必要があるのでしょうか?と思えて来ます。ではどうすれば夫婦年間200万円で生活していく環境が整うのか、続きを書いていきましょう。

こんなひとは夫婦年間200万円生活できる可能性がある( 1 / 5 )

まず、子育てが終わった夫婦

子どもが学校を卒業して自立し、親が教育費や生活費を支払わなくて済むようになった段階が子育て終了になります。

諸説ありますが、子ども一人を乳児から大学卒業まで育てるための費用は全部公立でも約3千万円、全部私立でしかも学費が高い学部となったら倍の6千万円を超えると言われています。これが一般的かどうかは分かりませんが、確かに私の子ども二人が高校生の頃には1か月の家計は約40万円でしたので1年間の家計は約500万円。さらに一人目が4年制専門学校、二人目が浪人中の1年間の生活費は学費も含めて1千万円を突破しました。

 

それから2年の月日が流れ、一人目が就職して家を出て、二人目は公立大学に入学したあたりから生活は軽くなり、学費を含めて年間400万円程度でやりくりできるようになりました。今では二人目も社会人で、しかし私の自宅から通勤しているために実質3人暮らしですが、3人での生活費は2013年時点年間230万円。ここには同居の社会人の子の日常的な買い物や光熱費、それに夫婦二人分の国民年金保険料約36万円が入っています。

 

ここから分かるように子どもが親の手を離れるということは、生活費がとても軽くなることを意味しています。

 

ただ、子どもという存在は、就職しても転職したり、一旦退職してワーキングホリデー制度を使って外国に行ってしまうことがありますから、そういう時には一時的に非常時の出費が要るかも知れないと気がかりになることがあります。さらに孫が誕生したり、家を購入する手助けをしたり、はたまた天災に遭って支援をしなくてはいけなくなったり、そういう可能性を考えると、そのための臨時出費には備えなければならないと考える気持ちも私にはあります。

 

しかし、積極的に遺産を子どもに残そうという考えは私にはありません。

お金を子どもに残すのではなくて、親としては出費が要りますが、子どもに稼ぐことと上手く生活していくための能力を身に着けることにお金を使うべきではないか、と考えています。そのためにたとえばワーキングホリデーで1年間外国暮らしするための旅費や、日本に滞在しない期間の年金の任意加入などを支援しました。そのように子どもには何かとお金がかかるものです。

 

この子育てがもたらす家計への影響は莫大なものがあり、そこから卒業することができた夫婦は、少し仕事のギヤを低くして、忙しく働きまわるより、時間にゆとりが持てる暮らしに移行していってもいい時期ではないでしょうか。

こんなひとは夫婦年間200万円生活できる可能性がある( 2 / 5 )

さらに住宅ローンを完済した夫婦なら鬼に金棒

ローンは住宅だけでなく車を買うときにも使いますが、金利支払いが大きな負担になります。住宅ローンを35年返済金利2%で3000万円の住宅ローンを組むと、金利支払いだけでも1千万円以上になります。しかし一般のサラリーマンが家を建てるときにキャッシュで払うことはあまりできないと思うので、しかたなく一旦はローンを組むしかないですが、繰上返済を繰り返してできるだけ早く完済するよう努力した方が後々のためだと思います。

 

住宅に比べて車のローンは金利も一般的に高いです。しかし車の価格は200万円程度だとしたら住宅に比べて少ないですから、ローンで買うのではなく、貯金して200万円に達したら買い替えることにしたら金利負担がありません。私は妻の絶大な協力を得て住宅ローンは8年で完済し、車は入社早々の1台目だけローンで買いましたが、二台目以降は自動車買い替え貯金をして貯まったら買い換えました。

 

ローンが無くなると、お金がどんどん貯まっていくのが実感できます。

私の場合、両親が同居を視野に戸建に建て替えを薦めてきたので、両親と共同出資で戸建住宅を私が40歳のときに建てました。そのとき以前のマンションを売却してローンを完済させ、新たな戸建の購入費用に充てたので、我が家の全金融財産は50万円だけしか残りませんでした。そのようにした理由は、私の両親が家を作るにあたってローンを組んではいけないと私に言い放ったからです。

 

おかげで家が建ってからしばらくお金の不安が絶えない日が続きましたが、それから1年経ち2年と年月が進むに連れて、お金はどんどん貯まって行き、10年後の50歳を迎える頃には1千万円が給料だけで貯金できました。

 

生活費を節約するための常套手段として、固定費を減らせ、という考え方があります。実際には金額の大小で影響が違いますから何でもかんでも固定費を減らせば節約効果が出るものではありませんが、固定費はどう自分で頑張っても節約できない出費です。ローンの金利はその代表格のようなもので、銀行などの貸し手は契約によって金利を決めてしまっているから自分では何ともなりません。唯一の方法は、残債を一括返済すれば以降の金利がかからなくなるということです。

 

夫婦で年間200万円生活は、やればできる目標ではありますが、決して裕福な予算ではありません。そのためには放っておいても出てしまう出費が少ないことが必要です。だから金利の出費は無いことが理想です。クレジットカードで買い物する場合でも金利を支払う必要があるサービスは夫婦で年間200万円生活では無いことが前提と言えるでしょう。
大庭夏男
夫婦二人で年間200万円のライフスタイル入門
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