夫婦二人で年間200万円のライフスタイル入門

夫婦年間200万円生活は、案外簡単なものだった( 1 / 3 )

ハードル高くなかった夫婦年間200万円生活

夫婦二人で年間200万円で暮らすことは、そんな暮らしをする前に想像した難しさと比べると、案ずるより産むが易しだと実感しました。確かに育てるべき子どもがいる時代には年間200万円で生活することはとて出来そうもありませんでしたが歳を重ねれば状況はぜんぜん違ってきます。 


歳が進むといろいろな事が片付いていき、お金がかからないライフスタイルにいつの間にか近づいています。子どもの教育が終わり、親から独立する時期がこの頃、ローンで買った自宅も完済しましたし、会社で一番たいへんな時期であった管理職も離れて部下が減り、祝い事などの出費も減りました。そのように気がついてみたら以前より家計の出費が減っている事に気がつきました。 


このような出費が減っていくことに気がついたら、それによって浮いた家計財源をどう有効利用するか考えてみたらいいと思います。とりあえず貯金しようでも悪くはないですが、ずっと貯金していつどのようにその貯金を使うのですか?ずっと使わないで遺産として子どもに残すのですか?それとも反対に、浮いた出費は遊びや贅沢に使いますか?自分のお金だからそれでも悪くないです。 


人それぞれにさまざまな考えがあり、趣向が異なりますから、一概に言えることは何もありませんが、私はシニアになったらできるだけ気楽に暮らして行きたいと強く思い、そのための方策を探してきました。 


夫婦年間200万円生活はそのための一つの方策で「年間200万円生活予算で暮らし続けるなら、この先は気楽に暮らしていても生活に困ることにはならないはずだ」という魔法の予算ではないか?と考えるようになりました。 


それから年間200万円を目標に、節約や倹約を始めてみましたが、意外にもケチケチ生活を極めるようなイメージではなく、200万円の中でどれだけ羽を伸ばすように出費を計画するかが年間200万円生活のポイントだと実感しまし、200万円で無理なく質素な暮らしに務めながらも適度に余裕ある暮らしが可能なことも分かりました。 


夫婦年間200万円生活を実現するためにはローンは早く減らしましょう。税金も工夫次第で減らせます。ちなみにローン金利と税金はいくら節約しても生活が苦しくなりません。また、200万円生活では節約というより私は生活のチューニングが大事だと思います。徹底的に節約するのではなくて、適度に絞って、絞り過ぎたらまた増やす。このようなテクニックを後ほど紹介します。

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夫婦合わせて年間200万円の収入を得ることも難しくない

夫婦二人年間200万円生活を貯金取り崩しなしで賄うには、当然ですが夫婦二人で年間200万円収入は最低必要です。二人で200万円なら一人では100万円平均ですので、この程度の年収が得られるパートかアルバイトは今の時代なら探すにさほど苦労は無いと思われます。しかしシニアの方々がパート・アルバイトで仕事を探す場合には仕事の負荷とか通勤距離とかの制約もあるでしょうから、地域によっては難しい場合もあるでしょう。

 

そういう場合はパートやアルバイトではなくインターネットで稼ぐ方法が優れていると私は思います。インターネット上では、物販では昔からヤフオクがありますし、最近はネットフリマのメルカリも普及して売り易い環境ができました。写真を撮影して販売できるスナプマートや、楽天射塲、アマゾンなどの商品広告を自分のブログサイトに貼って広告収入を得ることもできます。このようにインターネットで稼ぐことに集中すれば年間100万円はすぐには難しいかもしれないですが何年後かには達成させることが出来る可能性を秘めています。

 

なぜかシニアはネットやITに弱いという通説があるようですが、ここで想定しているシニアとは年齢が60歳ぐらいの、今後の年金支給開始時期が65歳に向けてどんどん遅れ始めるような世代です。この世代ではサラリーマン時代にパソコンを使い生活でもスマホを使用することは珍しくもない世代ですから、今はまだネットビジネスに詳しくなくても何年か試しにやってみると覚えも早い世代だと思います。

 

そしてシニアが65歳に達したら、公的年金の支給が始まります。もし夫婦2人とも国民年金保険料だけを支払っていたとしたなら、満額で二人で約165万円なのであと二人で年間35万円を工面しなければ200万円になりません。しかしこれらの方々は主に自営業の人達です。会社員OBであれば厚生年金が支給されますから平均300万円以上の年収があればだいたい夫婦二人で年金支給額は200万円を超えています(2017年現在では)。

 

このように働き方による収入や年金の現状を眺めてみると、夫婦二人で年200万円収入という水準はさほど高いとは思えなく、多くの人にとって手が届く収入の水準だろうと思われてきます。

 

したがってもし夫婦で年間200万円で十分に暮らして行ける術を身に着けさえすれば、シニアにとっては鬼に金棒といったことになるでしょう。収入が減りそうだったとしても、そう遠からずに年間200万円以上の年金が受け取れる。あるいは年金が200万円無くても、少し仕事をして稼ぐことができれば年金と合わせて200万円をクリアすることはそう難しくない。シニアはそういうラッキーな立場に立っているのです。

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夫婦二人で年間200万円収入なら、実は税金や健康保険料が格安

私たちがふつう払っている税金の種類を数え上げると、所得税、住民税、消費税、固定資産税、自動車税などがありますが、働いて稼ぐと、その稼ぎに連動するのが所得税と住民税です。だから素直に言うなら所得税を節約したいのなら、あまり稼がない方が良いということが言えます。

 

ではいくらまでなら究極の所得税ゼロか、というと103万円の壁でお馴染みの年間103万円までなら所得税はゼロです。理由はパートやアルバイトなどの給与所得者であれば、最低でも65万円の給与所得者控除があるので、基礎控除の38万円と合わせて103万円までは全額控除になって所得税がゼロです。もし自営業だったら青色申告すれば青色申告特別控除が65万円あり、経費が計上でき、基礎控除と合わせて最低でも103万円までは所得税がかかりません。(ただし住民税は基礎控除33万円なので年収98万円まで住民税非課税)

 

したがって、夫婦二人がそれぞれパートやアルバイトまたは自営業で青色で確定申告していれば103万円の2倍の206万円までは所得税無税。さらに配偶者控除や生命保険控除などもありますから、もう少し先まで非課税の生活ができる可能性があります。さらに年金受給者であれば公的年金控除もありますから夫婦二人では200万円をはるかに超えても非課税になれる場合があります。

 

前述しましたが、税金は節約(節税といいます)をいくらしても自分の生活に影響ありません。その究極が非課税世帯になることです。住民税も含めて非課税世帯であれば後述しますが他に波及する節約効果も得られます。しかも非課税世帯とは言え、夫婦二人年間200万円が毎年得られるのです。そのように考えたらニッポンの制度はありがたく思えてきます。

 

非課税世帯になったら、国民健康保険料はかなり安くなります。国民健康保険料の計算式は税金より複雑で、自治体によって当てはめる係数が違うので一律にこうだと言えませんが、たとえばパートやアルバイトで年に98万円の収入に収まってしまうケースでは、たぶん国民健康保険料は年間3万円台とか4万円程度でしょう(自治体によって違う)。

 

その他に高額な治療費を払ったときに後日払い戻せる高額医療費制度においても非課税世帯は「低所得者」となり、自己負担限度額が低いです。このように見ると、もし200万円で快適に暮らせるのなら、どうしてそれ以上稼ぐ必要があるのでしょうか?と思えて来ます。ではどうすれば夫婦年間200万円で生活していく環境が整うのか、続きを書いていきましょう。

こんなひとは夫婦年間200万円生活できる可能性がある( 1 / 5 )

まず、子育てが終わった夫婦

子どもが学校を卒業して自立し、親が教育費や生活費を支払わなくて済むようになった段階が子育て終了になります。

諸説ありますが、子ども一人を乳児から大学卒業まで育てるための費用は全部公立でも約3千万円、全部私立でしかも学費が高い学部となったら倍の6千万円を超えると言われています。これが一般的かどうかは分かりませんが、確かに私の子ども二人が高校生の頃には1か月の家計は約40万円でしたので1年間の家計は約500万円。さらに一人目が4年制専門学校、二人目が浪人中の1年間の生活費は学費も含めて1千万円を突破しました。

 

それから2年の月日が流れ、一人目が就職して家を出て、二人目は公立大学に入学したあたりから生活は軽くなり、学費を含めて年間400万円程度でやりくりできるようになりました。今では二人目も社会人で、しかし私の自宅から通勤しているために実質3人暮らしですが、3人での生活費は2013年時点年間230万円。ここには同居の社会人の子の日常的な買い物や光熱費、それに夫婦二人分の国民年金保険料約36万円が入っています。

 

ここから分かるように子どもが親の手を離れるということは、生活費がとても軽くなることを意味しています。

 

ただ、子どもという存在は、就職しても転職したり、一旦退職してワーキングホリデー制度を使って外国に行ってしまうことがありますから、そういう時には一時的に非常時の出費が要るかも知れないと気がかりになることがあります。さらに孫が誕生したり、家を購入する手助けをしたり、はたまた天災に遭って支援をしなくてはいけなくなったり、そういう可能性を考えると、そのための臨時出費には備えなければならないと考える気持ちも私にはあります。

 

しかし、積極的に遺産を子どもに残そうという考えは私にはありません。

お金を子どもに残すのではなくて、親としては出費が要りますが、子どもに稼ぐことと上手く生活していくための能力を身に着けることにお金を使うべきではないか、と考えています。そのためにたとえばワーキングホリデーで1年間外国暮らしするための旅費や、日本に滞在しない期間の年金の任意加入などを支援しました。そのように子どもには何かとお金がかかるものです。

 

この子育てがもたらす家計への影響は莫大なものがあり、そこから卒業することができた夫婦は、少し仕事のギヤを低くして、忙しく働きまわるより、時間にゆとりが持てる暮らしに移行していってもいい時期ではないでしょうか。

大庭夏男
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