彼女も子宝に恵まれず、来る日も来る日も周囲から「赤ちゃんまだ?」なんて責められる毎日なのだろうか?
藁にもすがる思いで木花咲耶姫命にすがっていたのではなかったのか?
そこまで神様に頼み込む必要のある厄介事として、不妊は十分な理由になり得る。
そう思うと(いつまで拝んでんだよ!)などと立腹した自分が恥ずかしく思えてくる。
とは言っても「紫の君」が子授けを祈願していたのか否かは定かではないのだが。
“紫の君”の願掛けに必死さを感じたのは、木花咲耶姫命が「子授安産の霊徳神」ゆえに他ならない。
「古事記」によると、木花咲耶姫命は瓊瓊杵命との子を一夜にして孕んだとある。
しかし、瓊瓊杵命に「一夜で孕むなんて…本当に私の子なのか?」と怪しまれてしまった。
これに憤怒した木花咲耶姫命は「天孫の御子ならば炎に焼かれても無事に生まれてくるでしょう!」。
そう言って産屋に入ると内から土で出口を塞ぎ、出産直前に自ら室内に火を放った。
猛火の中で木花咲耶姫命は三柱の御子…火照命(ホデリノミコト)、火須勢理命(ホスセリノミコト)、火遠理命(ホオリノミコト)を産んだ。
火遠理命は別名を日子火火出見命(ヒコホホデミノミコト)という。
上総国一之宮玉前神社にも登場した、日本の昔話「海彦山彦」の弟、山彦のこと。
ここで玉前神社と浅間神社が繋がった。