やすきよ

*秋*

 

やす:やす子、で~す。

 

きよ:きよ子、で~す。

 

二人:(抱き合ってキスをした後)やすきよ、で~す。(せりふを言いながら、やすは右手を、きよは左手を斜め前方に伸ばす)

 

きよ:もう秋やね~、秋といえば、食欲の秋やんか。でも、この季節、怖いのよね、太っちゃうから。

 

やす:きよはダイエットせなあかんのとちゃう。ウエスト、あらへんで。こけしみたいにずん胴やで。(やすはきよのウエストに手をやる)

 

きよ:なん、ちゅうこというねん。気にしてんのやで。美容体操、毎日やってんけど、あかんわ。食事も減らしてんのやけど。どないしょ。

 

やす:ダイエットより効き目があるのがあるで、恋や。恋愛したらええねん。きっと、やせるで。いま、彼氏おらへんやろ。その、体型じゃ、おらへんわ。ずぼしやろ。(へん顔で、ウエストを見る)

 

きよ:わかるか、おらへん。でも、ちょっと、好きな人が、先日できたんやわ。予備校のロビーでイケメンに声かけられてな。胸、はちきれそうやったわ。(両手で胸を持ち上げる)

 

やす:イケメンかいな。そいで、メアド教えたん。(きよの右肩をポンと叩く)

 

きよ:もち、教えたがな。こないだ、メールがきよった。飛び上がったわ。

 

やす:うまいこといきそうやな。何と言っても、秋といえば、恋やわ。イケメンに、おっちゃんに、デートいそがしいわ。やすは、もてるさかい。(スカートをめくってブルマーを見せる)

 

きよ:二股、かけてんのかいな?やばいんちゃうの。

 

やす:なにいっとるん、いまどき、二人はいるで。本命は、イケメンやけど、銭持ちのおっちゃんがいると、助かるで。小遣いぎょうさんくれるし、うまいもん食わしてくれるしな。ほしいものも買ってくれるし、捨てがたいんやで。おっちゃんは、かわいいで。

 

きよ:そんなのは、彼氏、ちゃうやんか。おっちゃんを、騙しとるだけやんか。そんな、あほなこと、やめとき。おっちゃん、かわいそうやで。

 

やす:そのかわり、手とか、お尻を触らせてやってんのやで。おっちゃん、ニコニしてよろこんどるで。(きよにお尻を突き出す)

 

きよ:ほんま、たち悪いわ。(やすのお尻を思いっきり叩く)

 

やす:痛いな~、そいで、イケメンとデートしたんか?

 

きよ:したがな、キャナルで。

 

やす:もう、キスしたんか?

 

きよ:あほいい、手も触らせてないわ。鉄パンツのきよやで。やすと、一緒にせんといてんか。

 

やす:いやみかいな。鉄パンツと話してたら、肩こってきた。秋といえば、旅行の秋やで。彼のバイクに乗って、えびの高原を突っ走る、最高やで~。

 

きよ:ほんま、旅行はええな~、女の子同士で、信州を旅したいわ。温泉に入って、郷土料理を食べて、ええやろな~。

 

春日信彦
作家:春日信彦
やすきよ
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