オレは仕事を辞めた。
0
いつもそうだ。
オレは小さな自分を守るために逃げ続けている。
中丸がやっていることは、オレがずっと、ずっと前から、やりたいと思っていたことだった。
夜の街を歩いていると、もう一つの目が、オレを見ている気がする。
もう一つの目は、オレのことを道端に咲いている小さな花のように見ている。
とても穏やかで、やさしく、それでいてどこか冷めている。
オレは、どうしたらいいのかわからなくなる。
自然にあるべきだという気持ちと、不自然にあるべきだという気持ちが混在している。
97 / 125