満たされない世界 暇潰し対決1 ~前編~

「今から、昼休みの残り時間を使って、俺と流のどちらが上手く暇潰しを出来るかを競おうと思う!」

 

「・・・はい??」

 

しかも、言ってる意味がサッパリ分からないので、思わずそう聞き返してしまう俺・・・。

 

そもそも、その勝負とやらと、さっきの『馬鹿』発言に一体どんな関係があるのだろうか?

 

「・・・つか暇潰し対決って、何をどうすればいいのかアバウト過ぎて、全く意味が分からないんだが・・・」

 

俺は思っていた事を率直に、浩二にそう申してみた。←何か言い回しが変だな・・・w

 

「要するに、面白おかしく暇潰しをした方が勝ちなんだよ」

 

・・・そういう事らしい。

 

「・・・はぁ。面白おかしく暇潰し、ねぇ・・・」

 

そう言われても、いまいちピンとこないんだが。

 

浩二のその説明を聞いても相変わらず曖昧過ぎて、サッパリ意味が分からんぞ・・・。

 

「それで宏と雪菜ちゃんの二人には、どちらが上手く暇潰しを出来たかの判定をお願いしたいと思っている」

 

こっちは何も分かっちゃいないってのに、そのように何か勝手な事を喋り続ける浩二。

 

つか、宏は今そんな状況じゃないだろ・・・。

 

てな事を思っていると。

 

「ああ、分かった」

 

「うん、了解だよ♪」

 

「・・・・・・」

 

って! いつの間にか復活して、快く了承してるしっ!?ww

 

何だか知らんが、復活早いな~www

 

「お~し! んじゃ早速、暇潰し対決開始といきますか! あ、ちなみにお互い3回勝負で、上手く暇潰しの出来た判定の合計が多かった方の勝ちな」

 

あ、何か知らん間に、どんどん話が勝手に進んでいってるよ?w

 

とほほ~。俺はまだ一言もやるなんて言ってないのに、何か既に始まってるっぽいし。

 

もうこうなったら、覚悟を決めて(?)付き合うしかないのね・・・。

 

つか・・・。

 

「・・・昼休みの短い残り時間だけで3回も勝負すんのかよ・・・」

 

時間、足りなくね?

「ああ、3回勝負だ! ふふふ・・・俺様の暇潰しの恐ろしさを味あわせてやるぜっ!!」

 

俺のそんな疑問に対して、そう声高に即答する浩二。

 

こいつ絶対に、昼休みの残り時間配分とか考えてないだろ・・・(汗)

 

てか、ぶっちゃけ『暇潰しの恐ろしさ』とか言いつつ、不敵に笑われても全く意味不明なんだが・・・w

 

「はぁ・・・。ま、お手柔らかにな・・・」

 

何が何だかイマイチ良く分からない俺は、取り敢えず適当にそう答えておく事にしたのだった。

 

すると・・・。

 

「ふっふっふっ・・・。夜、水道の蛇口を捻る時には、せいぜい気を付ける事だな・・・」

 

「な、何だよ・・・、突然・・・」

 

唐突に、ニヒルに笑いながらそんな事を言われても全く意味不明だし・・・。

 

「蛇口を捻ったが最後! 水道管を伝って、俺様が登場するかも知れないからなっ!!」

 

「こわっ!! ・・・てか、水道管を伝って登場って、お前はどれだけ細いんだよ・・・」

 

何か(浩二にとっては)カッコイイ決め台詞を言ってるようなんだけど、マジでイミフ過ぎるぞ・・・ww

 

「はっはっはっ! どうだ? 俺様の恐ろしさを思い知ったかっ!?」

 

何故か勝ち誇ったように、そう高笑いをする浩二。

 

でも、そんな光景を改めて脳内でシミュレートしてみると・・・。

 

「や、ぶっちゃけ冷静に考えると、恐いっつ~よりはキモイんですけど・・・」

 

「なにお~っ!!」

 

あ、やっぱりキレた・・・www

 

「うわ~! 水道管を通れちゃうなんて、浩二君って凄い特技を持ってるんだね~!」

 

って、ぐはぁっ!

 

雪菜がアッサリ信じちゃってるよっ!?w

 

流石(俺だけに)天然娘と、言われるだけの事はあるぜ!ww

 

ひゃっはぁっ!! 天然娘、最高っ!!!←何故か大興奮www

 

でも可哀想だから、一応突っ込んでおいてやろう。

 

「そこ! 浩二のホラ話を真に受けないようにっ!!」

 

なんて言いつつ、雪菜の頭にチョップをする俺。

 

勿論、本気じゃなくてソフトなチョップだぜ?←誰に言ってるんだろうw

 

「・・・きゃ。って、え? 嘘なの??」

 

俺のそんな素敵な愛情表現(?)に、可愛らしい悲鳴を上げた後、きょとんとした表情でそう聞き返してくる雪菜。

 

「・・・たりまえだろ」

 

つか、本気で信じてたのかよ?

 

天然って、おっそろしいな~w

「くっ! 信じてないな~? なら今から、学校の水道の蛇口で実際に出来るって事を証明してやるっ!!」

 

俺と雪菜のそんなやり取りを見て、何故かやたらとムキになって、そう食って掛かってくる浩二・・・(汗)

 

「・・・それは別に構わんけど。でも沢山の見物人の前でもし出来なかったら、俺はお前の友人をやめさせて貰うからな」

 

俺が、じとー・・・とした目つきで見ながら、そう言ってやると・・・。

 

「・・・嘘です! ゴメンナサイッ!!」

 

ちょっぴり涙目になりつつアッサリそう謝る浩二。

 

・・・勝った!w

 

それを聞いて、

 

「あ~、やっぱり嘘だったんだ! 私見たかったのに~。浩二君の事、ちょっとだけ幻滅したよ・・・」

  

ガックリと肩を落としながら、雪菜が残念そうに(何故?)そう言った。

  

てか、マジで見たかったのかよ・・・。

  

「ぐあ~っ! 雪菜ちゃんに(ちょっとだけ)幻滅されちまったじゃねえかあぁぁぁっ!! 流! 貴様だけは絶対に許さんぞおぉぉぉっ!!」

 

「・・・お前、そういうのを八つ当たりって言うんだぞ・・・」

 

正確に言えば、自業自得とも言うんだけどね~ww

 

つか、キレながら「かっこ、ちょっとだけ」とか言ってる時点で、実はあまりキレてないだろお前・・・www

 

「え~い! 黙れ黙れっ!! とにかく暇潰し対決で、正々堂々と勝負だっ!!!」

 

俺は何も悪くない筈なのに、マジで理不尽すぎる・・・(苦笑)

 

ま、こいつが訳分からん事言うのはいつもの事だから、深く気にしないようにしてあげよう。

 

何て優しいんだろう俺ってヤツは・・・。←自分で言うな!w

 

「ああ! さっきの『暇潰しの恐ろしさ』発言から話が脱線しまくってるから、勝負するなら早くやろうぜ!」

 

俺がそう急かしてやると・・・。

 

「・・・さっきから、お前らのやり取りを見てるだけでも全然飽きないよなぁ~」

 

「うん、ホントホント」

 

少し前から、俺達のやり取りを黙って見ていた宏がそんな事を言い出したかと思ったら、雪菜も何故か嬉しそうにその言に同意している。

 

正直そんな事を言われても、びみょ~(苦笑)

 

なので。

 

「・・・そんな事を言われても、全然嬉しくないんだが・・・」

 

と、うんざりした顔で、宏にそう答えてやる。

 

「でも浩二は何だか、喜んでいるみたいだぞ?」

 

「・・・え?」

 

宏にそう言われて浩二の方を振り返って見てみると、確かに小躍りして喜んでいた・・・(汗)

「ひゃっほ~い♪ これが俺の実力だぜ~!」

 

「・・・ひゃっほ~い、って・・・」

 

幾ら何でも、喜び過ぎだろ・・・。

 

・・・てか、そもそも実力って何さ?w

 

「・・・きっと、すげ~単純って事なんだろうなぁ~・・・」

 

俺がそう、ぼそっと呟くと・・・。

 

「あん? 何か言ったか??」

 

「いんや、べっつに~」

 

聞こえていないみたいだったので、取り敢えずすっとぼけておいた・・・ww

 

「・・・あはは」

 

雪菜もどう言ったものやら分からずに、思わず苦笑いしてるし・・・。

 

てかどうでもいいけど、さっきから苦笑いしてばかりだな、雪菜は・・・w

 

「おっしゃ~! 今度こそ勝負開始だぜ! 先手は俺からいかせて貰うぞっ!!」

 

だが、そんな事知ったこっちゃないとでも言うように、浩二が改めてそう宣言する!

 

つか、何か勝手に浩二が先手って事になってますよ?

 

ま、別にいいんだけどさ。

 

それに俺がもし仮に先手になったとしても、正直ルールがイマイチよぉ分からんので、浩二が先手をやってくれた方が俺としても却って有り難いんだけどね。

 

おっしゃ! じゃ俺も、さっきの浩二に倣って、と・・・。

 

「うし! 矢でも鉄砲でも豆腐の角でも、どんとこいっ!!」

 

俺は浩二に対抗する為に、無駄に(俺的に)カッコイイ決め台詞で切り返してみる事にした・・・のだが・・・。

 

「え? ・・・豆腐の角??」

 

「・・・何故に??」

 

何故かきょとんとした表情をした雪菜と宏に、そう聞き返されてしまった・・・。

 

・・・どうやらカッコ良くはなかったらしい・・・(爆)

 

「や、豆腐の角って何だか固そうなイメージが・・・」

 

何か浩二に負けたような気がして、へどもどと訳の分からん言い訳を始める情けない俺・・・。

 

「でも豆腐って角も柔らかいよね~?」

 

「うん。豆腐は基本的に柔らかい食べ物だからね。凍らせれば固くなるとは思うけどさ」

 

「・・・・・・」

 

こいつらに、何を言っても無駄だったか・・・。

 

「・・・手痛い突っ込みをありがとう」

 

物凄い敗北感に苛まれつつも、取り敢えずそう謝っておいた・・・(涙)

 

チッ! (変な所で)現実主義者共めっ!!(爆)

 

「・・・何だかよく分からんけど、始めてもいいのか?」

 

そんな俺達のやり取りを、よく理解していなかったらしい浩二がそう聞いてくる。

 

「・・・あぁ、いつでもどうぞ・・・」

 

何かムカついたので、そうふてぶてしく答えておいた。

駿河 流
満たされない世界 暇潰し対決1 ~前編~
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