未完聖堂と桜色のgakufu

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  決めてゆく事が多かった、
「何か、色々と解らない所や問題点が出て来ると思います、その時々にまた、ご相談や質問をさせて頂く事と成りますので宜しくお願い致します」

「ここ2、3日だと思いますので・・・・・・ついてやってて下さい」
「はいっ、わかりました」

「あと4ヶ月か、半年の命でしょう」
「はいっ、わかりました」

「親父の余命が今年いっぱいか、もって半年だって・・・ちょっとツラいです」
「●●●さん、お父さんについてあげてね、出来るだけ長生きをしてほしいよね、無理をしないでね」

  疲れているんでしょう、卓上で寝ていました。
  俺は、テレビのボリュームを出来るだけ下げ、成るべく音を立てないようにして寝かしててあげました。

  寒い冬に咳をしていました。
「おかん、うがい手洗いしたか~!?、咳が出るうちは、《うがい手洗いをしろよ~》それでも治らないなら、医者に行かないとダメだよ~」

  寒い台所は、風邪をひかれると困るから、食後の食器洗いは、手伝って台所にいる時間を短くしました。

「おかん、兄弟みんなに連絡をするよっ、いいね」
  おかんが頷いていた。

  血圧が少しずつ下がって来ていた、もう、既に標準値以下だった。
「おまん、もしもの事があっても倒れなんなや」
「・・・わからん!?・・・」
  自分の心臓がどうなるのか、自分では、判断出来なかった。

  pi~、看護婦さんが音に気付き、部屋に来た、《血圧測定不可能》、先生に電話をしに行った。
  先生が部屋に来て、生死の判断をくだす。

  俺の尊敬する人は、仲間の一人で小学生と、中学生の時に両親を亡くしていて、苦労人で突っ張らずに温厚な奴だった。
  俺には、出来ない立派な大人だった。
  金持ちな奴より、上の奴だった。

  年がえも無く、欲しいと言って、買って貰ったクリアーな数珠をこの頃  左腕に付けていた。

 

  自然に脳の回想が始まる。

 

「うちは、24日に亡くなったんだ、●●ちゃんとこは、25日だよね~、早いよね~、時が過ぎるのって~、もう3ヶ月経ったんだね~」
「俺さ~、今だから話が出来るけど、さんとうちの親父が、あの世に逝  俺、きちんと手を合わせているじゃん、俺、きちんと線香上げてるじゃん、俺、きちんと鐘を叩いているじゃん・・・・・・。
  気持ち届いてないのかな~・・・、まあ、夢には、出て来てないんだけどさ~・・・・・・何も音沙汰無いからさ~・・・いいのかな~、今のままで!?・・・・・・。 (汗)

「この頃 亡くなった爺さんや婆さんが夢に出て来るんだよな~」
  困っちゃうよな~!?。

「いいねかね、たま~に会いに来てくれて~」
  凄いポジティブに物事を考えていた母親だった。

  頭を下げた事がない親父が病院のベッド上で頭を下げた。
「宜しくお願いします」

  仏前で線香も点けずに、
「今まで有難う御座いました」
  の一言を言い、号泣をした。

  感受性が豊かで、涙もろい子だった。
「女の子みたいだってよくいっていたよね」
  そう言っていたとしても母は、みんなの前では、無言の無表情でいた。

「良くやったって~、お父さん、喜んでるって~」

  お線香を上げさせて貰った。
「うちのお父さんね、24ってまでもケンカをしてないだろうな~と思ったよ」
(笑)

(・・・そうか~、もう3ヶ月が経ったのか~・・・・・・そうか~、もう東日本の地震から3年が経ったのか~・・・)

「こんなに寒くて家の中に細か~い雪が吹き込む家なんか、要らないな、今度は、リフォームじゃなくて建て替えだな!?」
「・・・家は、家だねかね、無いよりマシだよ・・・」
(・・・家という物を考えさせられた!?・・・・・・家族という物も!?・・・)

 

  死刑を宣告された囚人は、《●●、俺は、今でも君を愛してる》という言葉を最期に残すという話しを聞いた事がある。

「暖かく成ったね~、ストーブが要らなく成った~」
「そうだね~、でも日影に成ると寒く成るよっ」
「そうだねっ」

「ほ~ら、さんから、ふきのとう貰った、天ぷらにする~」
「そうだね~、いいね~、有り難いねっ~、持って来てくれて」

  1日3回のご飯の時間 2回は、後片付けの茶碗洗いを手伝った。
  なぜなら、協力し合わなければいけないと考えた結果の《結論》からだった。
  自分の出来る範囲で、自分の出来る事をしようと。

「俺、普通の人のサイズじゃないんだよね、一回り大きいLサイズなんだよね~、履くの」
  そう話をしていた。
  詳しく聞いていると寝る時のトレーニングズボンの話だった。
「へ~、大きいんだね、体が・・・ところでサイズ何だったっけ~、スリーL!?」
と分かっているのに突っついた。
「だから、Lだって、スリーLじゃないって」
「ナニッ、スリーL!?」
「だから~、Lだよ、スリーLじゃないって、ズボンが落っちゃうでしょっ」
(笑)
  そうバカ話しをしていた。

  小さめの炊飯ジャーがご飯が炊ける音を出し、ブツブツブツといっていた。
  思わず俺は、左のジャーを見た、湯気が上がっていた。
  近くにネズミが騒いでいるのかと思っていた。
  すると母親も同時に見ているのが分かった。
「おまんがオナラをしっているのかと思った」
「俺が″ブツブツブツ″と終わらないようなオナラをするか!?」
(笑)
  母親と一緒に笑っていた。

 

  残った人間は、故人を尊び、先を見て進んで、歩んで行かなくては、いけないという義務があると私は、思った。

(一人減ったから、また一人二人 増やさないとな~)

  太陽の日差しが毎日 上がるように、完成しない、創作し続けるサクラダ・ファミリア教会のような終わる事のない家庭を作り、明るく楽しい家族を作り、愛や人間らしさ、助け合う心や常識度などの芽を育て続けていきたい・・・。

  前途多難かもしれないけど・・・・・・。

  それが私の夢だから。

 

  少しずつ×2、暖かく成って来ていて小さな桜もつぼみを持ち始めて来ていた。
「筋が一本通っていれば、いいんだよ・・・・・・」 
(オヤジっ・・・!?)
  タイヤ交換が終わり、ノーマルタイヤの洗車をしている時に思い出した。
  太陽が眩しかった。

  久しぶりの青空、雪が消えつつあり、春が近付きつつあった。
  内気で不器用で相手に退屈させてしまう私がいた。
  彼と少しだけ濃い目なキスをした。
「ね~ね~、子供出来ちゃったみたい、産んでもいい・・・!?」
「本当に!?・・・」
「うん」
「もちろんさ、一緒に育てて行こうね」
  目を合わして、再びキスをして抱き締め合った。
  春らしい少し暖かみのある桜色っぽい風!?が頬にまとわり付き、舞い、通り行った。

  そして視線の先には、雪がとけた事により出来た《羽馬》が見えていた。

 

・・・これが幸せな時間なのかも!?・・・

・・・ゆっくりと進みますように・・・。

・・・少しでも、この子に幸が多い事を願う・・・。

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迷 彩映 (mei saiei・メイ サイエイ)
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