貧乏な人にならないための基礎知識 ~社畜人生を振り返って~

 

   つまり、マスメディアの発表と真相とは「真逆」なのです。

   国民の銀行貯蓄(銀行に余って流通していないおカネ)がそれだけあるから、国債もそれだけ

   バンバン発行できてる、ってなわけなんです。

   このあたりのお話は、三橋貴明氏の著書で経済学を学んでみるとよくわかりますよ。

   

   この話を説明しますと、高齢化社会になって、退職金をもらって、投資などもして増えたお金

   を使わずに、銀行やタンス預金などで大量に握り締めているお年寄りや一部のお金持ちさん

   達が増えに増えてきて、日本中でお金が消化不良状態となって社会に還元されなくなって

   いるという意味です。

 

   つまり、今までの長い長い平成不況で、設備投資や事業拡大をしないようになっている。

   つまり、「日本で富を得た一部の資産家達や高齢者が得たお金を使わずに細々と暮らして

   いるか、海外などに投資してまた個人の富を増やしている」ということなのです。

   お金持ちがお金をずっと使わないで貯めるので、銀行の預金だけが増えていき、結果的に

   経済が動かないから国に税収も増えない、税収が増えないということは貯蓄から税金を取る

   ことができないので、 「貧乏な労働者からしか取る方法がない」 という事なのです。

 

   お金持ちたちは、税金をムダに取られないように生きる知恵を知っていますし、また税金を

   それほど(生活のレベルを限界以下まで落とさなくても)払わなくて済むようなルールのもとで

   生活ができるし、またお金持ちは節税できる手段を選べるように作られているのです。

 

   少々、最初から難しい話が並びましたかね?(笑)

 

   ようは、「ニュースや周りの皆に流されながら、皆と一緒の常識感を持って生きていく事が

   この世で最も資産を減らすための生き方となる」 ということなのですね。

 

   私がいま、率直に考えている事を言います。

   私から見たら、家族を持たずクルマも家も持たず、生活維持費が携帯やネット手段以外に

   ほとんど掛からないような暮らしをしている立場の人が本当に羨ましいんです。

   

   何故かと言いますと、「収入が少なくてもそれに応じて維持費もかからない生き方」だから

   なのです。

   だけど、その本人に言わせれば「お金がなくて何もできないからしないだけで、案外つまら

   ない人生だよ」と言いたいかも知れません。

   私は、一生懸命に働いて生きてきた世代なので、「時間があり余るほどにある」という状態

   に非常に高い価値を見出しているのです。なぜなら、「働くオンリー」という収入は、時間を売る

   事によって得られる報酬だからです。 毎月の維持費によって、最低限稼がなければ生きて

   いけなくなるボーダーラインを、常に、毎月、毎年意識し続けなければ、自分自身が自分で居れ

   なくなるからなのです。

   

   いまサラリーマンで、最もきつい立場に立たされている年代が私の世代、40~50代のバブル

   経済、黄金就職世代だと思います。

   私達はとにかく若い頃から働かされて生きてきました。

   働く事の中にこそ未来の希望があったのです。 日本中のほとんどの人がそう思っていました。

   実際、日本中が投資バブル景気に沸いていた時代。 景気が良い時は、金利も高いのです。

   ですがバブル世代は、金利がどんどん高くなっても給料も右肩上がりでどんどん昇給して

   いくから、とても潤った経済循環だと希望的に植えつけられてしまった世代でもあります。

   

   そして今、毎月支払うべき高い維持費を抱えながら生活しているのも我々のような中年世代が

   ほとんどである、という逃れられない現実があります。

 

   いまの社会で、管理職としての中核を担っているのは、ほとんどが40代から50代初旬の

   我々バブル世代だと思いますが、やはりほとんどの我々世代は中途半端にブランド志向

   だったり、バブル期の夢をもう一度と捨てきれずに生きている人がかなり多いのではないで

   しょうか?

   中堅や上場企業の管理職40~50代ともなれば、おそらく年収1000~1500万円ほどは給与

   収入が保証されているのではないかと思います(私は全然違いますよw)。

   

   昨年、都心部のとあるフィナンシャルアドバイザーが、この世代への生活経済コンサルタントをしていると

   ほとんどの1000万円上中流プレイヤーの中堅サラリーマンやビジネスマンに「共通した」価値観があり、

   にわかに信じられませんが年収1200万円の家庭なのに貯金がほぼなく、奥さんは借金を

   しているという家庭まで多く見られた、というような記事を読みました。

   それって、1000万円以上もの年収があるのに、どうしてそんな事になるのかわかりますか?

 

   その答えは簡単です。

   「自分の経験した中で最高に輝いた時期にしがみつき、その時のプライドを捨てたくない」と

   いう、自分自身のステータスをずっと守りたい気持ちを強く持ったままだからなのです。

   そんな方に限って、部下や新入社員へ必ずこんな事を言います。

   「今の若いやつは根性がない、猛烈に働く意欲すらもない、最初から守りに入っている」と。

   そして、自分の持っているクルマやブランド品等をひけらかし、「お前もこのくらいは目指せ」

   などと若い世代を指導した「つもり」になっている。

   そして時間にいとまもなく、ひたすらと会社のためだけに今でもずっと働き続けている。

   どうでしょうか。なんかあまりにも身近な話ではないですか?(笑)

   

   私から思えば、その方こそが今の日本で最も破綻するリスクを大きく抱えています。

 

   何故かというと、現在の生活支出水準を収入に応じて調整できない、維持費を維持する

   ための基準を落とせない生き方が染み付いてしまっているからなんです。

   数年前に、音楽プロデューサーの小室哲哉氏が、詐欺をはたらいて有罪になった事件が

   あったのは有名な話ですが、

   彼はその才能を十分に発揮する場を得て、バブル経済崩壊期に個人としては莫大な印税

   収入を得て、その桁外れた才能をもって一躍財を築くことができました。

   しかし、栄枯盛衰の激しい音楽業界で、その後それだけのブランディングを確立しておき

   ながら、なぜ人を騙してまで財を奪うといった犯罪まで起こすようになってしまったのか?

   

   その原因は、1000万プレイヤー管理職と心理的に同じような経済観を持っているからです。

   確かに、並外れた才能や優れた知恵を持つ人で、その才覚を発揮する場が与えられ、見事

   に活躍する機会も与えられて評価され褒賞された経験を持つ人ほど、その才能によって得た

   富と名誉こそが「人生の基準」となってしまうからに他なりません。

   

   これは、一代発起して起業に成功し富を得た、成金経営者などにもよく見られる現象です。

   また、宝くじに当って一攫千金(億金?)を一夜にして得ることができた一般人にも同じ事が

   言えるらしいですね。

   

   その才能や強運によって、「技術や時の運で成功した」という人は、ほとんど例外なくその後

   の人生において、破綻したり多大な借金をつくってしまうといった歴史を繰り返しています。

   職人芸や強運によって得た一時的な富によって、一般の人よりはるかに向上した生活を送る

   事こそがステータスであり目標であるのは人として自然に持つ本能であり欲望なのですが、

   「その収入源も生涯不偏ものである」という条件がつかない限り、生活維持費をその最高の

   時期にどうしても合わせてしまう基準が成功した人間にはなかなかやめられないものです。

黎明堂
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