星を見つけた君ハートを見つけた僕

星を見つけた君ハートを見つけた僕250の有料書籍です。
書籍を購入することで全てのページを読めるようになります。
星を見つけた君ハートを見つけた僕を購入

第3章 回想( 8 / 11 )

チャラララ…チャラララ…という音で目覚める。この音は僕の携帯の呼び出し音だ。今はまだ夜中の三時だった。
「う~ん、むにゃむにゃ、誰だろう…こんな時間に?」と僕は眠い眼をこすりながら携帯を手にした瞬間、一気に眼が覚めた!桜だった。

「こんばんは。俊介」
「こんばんは。良く電話くれたね。あ~良かった~っ。ほんとによかった~っ」と喜びを現す僕に桜もカラカラ笑ってくれた。
「ははは、ごめんね。お返事遅くなって。実は私、先日まで付き合っている人がいて、その人と別れる時間が必要だったの」なんてかる~く凄いセリフを言ってきた。しかし桜ほど可愛い女性なら当然といえば当然の話だった。
しかし、それには僕は言葉も出なかった。
「でも、昨日ちゃんと別れてきたから。心配しないで。ねっ」なんて想像もしていなかった展開だったのだと今更ながら驚いていた。ま、でも嫌われていた訳ではない事も事実で、一安心したらもう少し眼が覚め、血の巡りが良くなってきた。
「お父さんに電話を切られてから、連絡が取れなかったから、お父さんに嫌われたのかなって思ったよ」なんてちょっと元彼の話から方向をずらしてみた。
「うん、お父さんは私のナイトを気取っているから、どんな男の子も嫌っているよ。はははっ」なんてあの時と一緒の笑いを僕にくれた。本物の桜だった。
「でも、ほんとに良かった。もう駄目か?と思いかけていた時だったんだ。毎日夢でも別れる夢ばかりにうなされていたんだぜ」なんて僕は少し外国人のゼスチャー並みにオーバーに、しかし真実を語ってみた。

第3章 回想( 9 / 11 )

「ごめんね。先に返事するのは元彼に失礼かな?って思ったからね。それに俊介にも失礼かなってね。ほんとごめんね」
「桜が謝ることじゃないみたいだね。もう謝らないで。もう充分伝わったからさ。桜の気持ちもね」こんな時間にかけてくる事を思えばなおさらだった。

「うん。ありがとう。そうそう、送ってもらった詩、素敵だね。あれ私たちだね。ふふふっ。でも函館までは行けないと思うけど、どこかに一緒に行きたいね」なんて桜がその少し甲高いが心地いい声で応えてくれた。
「うん、じゃ卒業旅行にそっちに行ってもいいかな?」
「ほんとに?うん、それじゃこの街を案内してあげるね。楽しみ~っ」と桜のキラキラした声が伝わってくる。
少し改まってもう一度確かめてみることにした。
「俺田舎者だけど、本当に俺なんかでいいの?」なんて少し弱気なセリフが口をついてしまった。
「あら、俊介ってそんなに気が弱かったの?なんか少しがっかり」なんてあの時聞いた悪戯口調でキラキラした。
「なんだよ。これでもちょっとは気を使っているんだぜ。元彼と別れたばかりなんだろ?」とちょっと強気に言って見る。
桜も少し改まって、
「ごめんなさい。私の星を見つけてくれる人を私は探しているの。だから俊介がいいの。じゃなきゃ嫌なの。これでいい?」
「うん、こっちこそごめん。女性にそこまで言わせるなんて、俺ってまだまだ駄目なやつだね。でもこれからは俺のほうから言うから」

第3章 回想( 10 / 11 )

「うん。ありがとう」
「じゃ、電話代も大変だろうし、時間も時間だからこれで切るね」と僕がこの電話を切ったら桜とはもう話せなくなるとの錯覚と戦いながら、そう言うと、
「うん、おやすみなさい」と素直な声がキラキラしたが、まだ受話器を下ろした音は聞こえなかった。
「まだ繋がっている?桜?」
「うん、なんだか私から切れそうになくて・・・・・・」
「うん、俺もだけど・・・・・・」
一分ほどの静寂がなぜか心地よく、桜と一緒にいる気分だった。
「じゃ、俺から切るね。ごめんね。おやすみ!」
「ぷーっぷーっ」
桜の声が聞こえた高揚感は一瞬にして、冷めてしまった。

その場に佇んで今、何が起こったのかを頭の整理の利かないポンコツロボットになって立ち尽くしていた。
そして一分後、機械的に無意識にもう一度電話してしまっていた。

コール音が一度鳴るか鳴らないかの内に再び桜が出た。


第3章 回想( 11 / 11 )

「ごめん、何度も」
「うん、いいよ。私ももう一度かけそうになっていたから」
「うん。言い忘れたことがあったんだ」
「うん、どんな事?」
「うん、飛行機から見えたメッセージは嘘じゃないから」
「うん、ありがとう。でも見えなかったって言ったでしょ。涙でね。うふふっ」なんて二人で笑い合えた。
「うん、今度はちゃんと見えるメッセージを送るね」
「じゃ、またね」
「うん、また」
「先に切って・・・・・・」
「わかった。お休み・・・・・・」
「ぷーっぷーっ」

今度はなぜか達成感があった、充実した気分を持て余した感じだった。

「よし!」この音と言葉は一生わすれないだろう。この高鳴る胸の鼓動が刻むリズムとありがとうを…
星を見つけた君ハートを見つけた僕250の有料書籍です。
書籍を購入することで全てのページを読めるようになります。
星を見つけた君ハートを見つけた僕を購入
星兎心
作家:星兎心
星を見つけた君ハートを見つけた僕
0
  • 250円
  • 購入